第33話 まさかの繋がり

 ワーグ商会へ向かう途中、ローラが話しかけてきた。


「なぁ主人よ。あんた何者なんだ?」

「何者って、ただの冒険者だけど?」

「絶対ウソだろ。ただの冒険者がそんな大金持ってる訳ねぇし、それにあの殺気…」

「あぁ、ちょっとやりすぎたかな?ごめんね」

「いや、主人があやまることじゃぁねぇ。あたいが悪かった」


 そんな会話をしながら歩いていると…


「ちょっと待ちなさいよ!!」


 なんか聞いたことある声。無視しよ。


「ちょっと、お願いだから…待って…」


 ローラが不思議そうに俺に聞く。


「主人に話しかけてるんじゃねぇか?」

「あぁ。いや、無視すればいいよ。俺あの人嫌いなんだよ」

「へぇ〜。どこまでも優しいやつかと思ってたら、意外とそうでもねぇんだな」

「まぁ色々あってね」


 そのまま聞こえてくる声を無視してワーグ商会へと向かう。

 が、女性が俺の目の前に来てしまった。


「待ってって言ってるじゃない」

「…。何かよう?」

「助けて欲しいのよ」

「嫌。じゃぁ」

「お願い…します。話だけでも聞いて下さい」

「忙しいから無理」


 俺はそのまま歩き出す。


「なぁ主人、話だけでも聞いてあげたらいいんじゃねぇか?困ってるみたいだしよ」

「ならローラ、お前が代わりに聞いて。俺はその人と関わりたくないから。聞き終わったら家に帰っていいよ。じゃぁ」

「えっ、あ、分かったよ」


 俺はローラを残しワーグ商会へと向かう。

必要な家具とかを色々購入。ついでにハージノ町へ転移して、両親に家を買ったからちょっとカリーに手伝って欲しいことを伝える。

 バッツも家を見たいと言うことで、3人でグランデへ転移。家に戻った。


 家に入るとバロックとリリーが仲良く掃除をしていて、ローラはまだ戻ってきてない。


「主人、おかえりなさい」

「あぁバロック、ただいま」


 バッツとカリーにも二人は俺が今日買った奴隷だと伝え、仲良くやって欲しいとお願い。


「よし、じゃぁカリー、色々とリフォーム手伝って」

「わかった」


 1階はお店にする為、俺がリフォーム、2階の部分はカリーに任せた。


「ロドニー、1階を全部お店にするとしたら、2階だけだと部屋が足りなくなるんじゃない?キッチンとかお風呂場とかどうする?」


 カリーが聞いてきた。


「たしかに…ん〜なら1階の半分をお店にして、残りをキッチンとお風呂、ついでだから増築してつなげようか」

「なら2階の部屋は少し広めにするね」

「よろしく」


 俺は横の空いてる土地に土魔法で家を増築する。ダンジョンのやつと同じレイアウトにしておいた。


 バロックとリリーは何が起きてるのかと驚くばかり。

 そんなことをしてるとローラが帰ってきた。


「ローラおかえり」

「主人、ただいま〜って、この家こんな形だったっけ?」

「とりあえず増築してみた」

「魔法ってそんなこと出来るのか?」


「ローラ、我らの主人は人間ではないのかもしれん。普通は無理だ」


 バロックが会話に入ってくる。


「ちょっとバロック、俺は人間だよ。カリーもこのくらい出来るし」

「そうなのか⁉︎信じられん」

「ロドニー様すごいです!!」

「おぉリリー、そうだろ!!俺はすごいのだ」


 ローラにもバッツとカリーを紹介。

とりあえず簡単なリフォームが終わったから一旦食事にすることに。


「主人、あのアリアナって女の話なんだけどよ」

「聞こうか」

「そのアリアナって女の姉が重い病気なんだと。それで治癒魔法を使える人を頼ったんだが、治癒魔法を使っても、少し良くなってすぐ具合が悪くなるらしい。主人なら何か分かるかもしれないって必死だったんだよ」

「なるほどね。まぁあの人は嫌いだけど姉のことと言うなら…」


 俺はサーチを使いアリアナさんの姉を探す。具体的には魔力がおかしい人だな。

 一人だけ魔力が上手く流れず苦しそうな人がいた。たぶんこの人だろう。


「カリー、俺の代わりに行ってくれるか?」

「えっ私?」

「たぶん呪いかなんかだろ。魔力が上手く流れてないだけだから。と言うことでローラ、カリーを連れてってあげて」

「この子を?大丈夫なのか?」

「心配ない」


 カリーもサーチを使って探している、しばらくすると見つけたみたい。


「あぁ確かに呪いだね。でも誰に?」

「そこには首を突っ込まなくてもいいんじゃい?どうせ嫉妬した男かなんかでしょ」

「たしかに…行ってくる」


 ローラとカリーが出ていこうとするが、バッツが俺も行くと一緒に付いて行った。


「バッツ、これ持ってけ」


 俺はバッツにお小遣いを渡した。


「ローラはきっと無駄遣いするだろうからお前が管理するように」

「ありがとな!!」

「バロック、俺もお店の従業員を探しに行ってくる。テキトーに休んでていいよ。お風呂も自由に使って、リリーもね」

「主人、そんなのでいいのか?」

「そんかんでって?」

「俺たちは奴隷なのに」

「奴隷なんて思ってないから、二人にもお金渡しておく。散歩するなり、買い物するなり自由行動で。じゃぁ」


 よし、では行きましょう夜の蝶へ。


「店長、こんちは」

「ロドニー様、いらっしゃいませ」

「今日は、お客としてもそうなんですが、前に言ってたお店のことでご相談に」

「そうでしたか。かしこまりました。どちらを先にしますか?」

「そうですね。話から先でお願いします」


 店長が言うには今は辞めたい女の子は居ないが、最近体調を崩して休んでる子はいるとのこと。


「体調崩してるんですか。それは心配です」

「えぇ。本人も頑張って治そうとしてるみたちなんですが、上手くいかないみたいで」

「上手くいかない?」

「ええ。色んな治癒士に頼っても原因不明と言われて終わりなんだとか…」


さっき似たような話を聞いたよな…


「…あの、その人、妹さんとかいます?」

「なぜ知ってるんですか?」

「あぁ〜…ちなみにお名前を聞いても?」

「アマンダですよ」


 アマンダさん。クジラ君の時にお世話になった人、アリアナさんのお姉さんだったのか…カリーじゃなくて俺が行くべきだったか?


「えっと、アマンダさんなのですが、僕が治しましょう。その代わり、もしアマンダさんが良ければ僕のお店で働いてもらうことって出来ます?」

「アマンダは妹のためにずっと頑張ってきた子なので、正直居なくなると寂しいですが、アマンダが良ければ私はいいですよ」

「ありがとうございます。ちょっとアマンダさんのとこへ行ってきます。お店の利用はその後でお願いしますね」

「あはは。もちろん。お待ちしておりますね」


 とりあえず出てきてしまったけど、アマンダさんと俺の関係をカリーに知られるのはなんか恥ずかしいな…アマンダさんもプロだしそこはなんとか目で訴えようかな…

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