第29話 ランスvsバッツ
「よし、俺はランスさんと戦いたい」
「おぉ、俺か?悪いが手加減はできないぞ」
「お願いします!!」
ランスさんとバッツの戦い。
ランスさんは王道の剣士スタイル。経験豊富なランスさんにバッツがどこまでやれるかと言うのが周りの反応。
「あのカリーとか言う女の子もかなり強かったから、あの男の子も強いんじゃ?」「それでもランスには勝てないだろ」「手加減してやれよ〜ランス〜」
色々言ってる人をかき分け俺は母さんのとこへ。
「母さんはどっちが勝つと思う?」
「バッツが、あのランスって子を殺さないか不安ね」
「……へ?」
「だから、バッツがランスって子を殺さないように手加減できるか不安だって言ったのよ」
「えっと、母さん、バッツに何教えたの?」
「何をって身体強化のやり方よ」
「身体強化って今更何を言ってるの?」
「あなたは魔力量が多いから分からないでしょうけど、普通の人は身体強化しても強化できるのは1.2倍ほどよ。それを3倍までできるように鍛えたわ」
「……普通って1.2倍くらいなの⁉︎」
「あなたは魔力量に物を言わせて3倍くらいまでなら出来るから教えなかったのよ」
たしかにこのままだとランスさんが死んでしまうかも…
俺は音魔法でバッツの耳の近くに声を届ける。
『バッツ、身体強化は使っても1.5倍までにしておけ。母さんがお前がランスさんを殺さないか心配してる』
バッツは少し驚いた顔をしたが、すぐに理解してランスさんと向き合う。
「試合開始!!」
ギルドマスターの声で先に動いたのはバッツ。
「ランスさん、勉強させてもらいますよ!!」
「ふっ。何が勉強させてもらいますだ。そう思うんだったら本気で来いよ!!」
ランスさんもバッツが様子見で剣を振ってきてるのが分かったのだろう。少し不満気に剣を交えている。
一向に勝負に出る気のないバッツに痺れを切らし、ランスさんが勝負にでた。
「ソードスラッシュ!!」
剣を横に振り、風魔法と一緒にバッツを吹き飛ばす。
「俺も舐められたもんだよ。そっちが本気にならないんだったら、もぉ終わらせる」
突然ランスさんの剣が燃え上がる。
剣を炎の魔法で纏ったのか。
俺と出会った時はそんなこと出来なかったのに、魔力操作を頑張ったんだな。
「きゃ〜ランス様〜かっこいい〜」「おぃ、なんだあの剣は!!」「ランス様〜抱いて〜」
くっ。俺も抱いて〜とか言われたい…
「なるほど。そう言う使い方もあるんですね」
バッツは吹き飛ばされながらもしっかりとガードをしていたので無傷。ランスさんの燃え上がる剣を興味深そうに眺めている。
「来ないなら行くぞ!!」
ランスさんは剣で踊ってるかのような華麗で隙の無い攻撃をバッツに繰り出すが、全て避けられる。
「くそっ。なぜ当たらない!!」
「見えてるからですよ」
「これならどうだ!!」
スピードを上げて攻撃するがバッツには当たらない。
「舐めやがって!!」
「ではこちらも行きます!!ソードスラッシュ!!」
「な、なに!!」
自分の技をやられて焦るランスさん。
「まだまだですよ!!」
バッツはそう言うと自分の剣に炎を纏わせる。炎が出たかと思ったらその炎が小さくなっていき、最後には真っ赤になった剣が出来た。
「か、母さん、あれってやばくね?」
「そうね。かすっただけでも焼け死ぬわね」
『おぃバッツ、お前とんでもないことしてるぞ!!それかすっただけでも焼け死ぬって母さんが言ってる!!』
慌てて音魔法で伝える俺。
「えっ⁉︎え〜っと」
慌てた様子で赤くなった剣を元に戻していくバッツ。
ランスさんは目の前で起こっていることをただ見つめるだけ。
「あ〜、なんか待っててくれてありがとうございます。では続きいきますよ!!」
「えっ⁉︎いや、まぁ…って、うそだろ⁉︎」
元に戻った剣で今度はバッツが攻撃を仕掛ける。
「おまっ、それは!!俺の!!」
そう。完璧なランスさんの攻撃のコピーをやってみせるバッツ。
「ここから俺のオリジナル行きます!!」
「くっ…」
「シャドウエッジ」
「えっ、消え…た」
バッツはランスさんの目の前から消え、ランスさんの後ろから首元にそっと剣を添える。
「くっ、俺の負けだ」
「ありがとうございました」
「な、なんなんだあいつは!!」「きゃーランス様が負けた」「ランス様が…」「おい最後の見えたか?」「俺にはさっぱり」
リーダーのランスさんが負けて動揺が隠せない蒼炎のメンバー。
最後のシャドウエッジ、普通に後ろに回り込んだだけだが、一瞬だけ身体強化によりスピードを跳ね上げた。
次は俺の番なんだけど、ライラさんもランスさんも、すでに戦う気力がない。俺はエンリケさんとリーナさんと戦うことに。
「おい、ロドニー、お前残りの二人相手でも大丈夫だろ?」
「ちょマスター、急に何を言い出すんですか⁉︎」
「あ⁉︎命令だ、お前は2対1な」
ギルドマスターが言うなら仕方ない。でも二人相手か、殺さないようにどうすればいいかな…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます