第28話 ライラvsカリー

 ギルドの訓練所

冒険者、Bランクパーティー蒼炎と俺、バッツ、カリーが集まる。

 何故か、父さんと母さん、ルドルフさんや、この町の人達がけっこう来ていた。


「おぉみんな集まったな〜」


 そんなことを言いながらギルドマスターもやってきた。


「いやぁ〜この町にはあまり娯楽がないからか、試合するってなったらみんな来てしまったよ。だ〜はっはっは」


 試合なんていつ言ったよ。手合わせだよ手合わせ。


「まぁなんだ、俺が審判を務めるからよ。お前らしっかりやれよ」


「がんばれ〜」「きゃ〜ランス様〜」「ライラちゃんがんばれ〜」「ロドニー君がんばれ〜」

 何故か盛り上がる会場。


 相談の結果、バッツとカリーは戦いたい相手を指名して戦う。

 俺は何故か最後に蒼炎の皆さんと順番に戦うことに。


 まずはカリーから。カリーは同じ魔法使いのライラさんを指名。

 他のみんなは離れて見守ることに。


「ライラさん、よろしくお願いします」

「カリー。ロドニーの弟子…負けない」


 昨日、ランスさんに油断してると負けると言ってあるからか、蒼炎のみなさんから油断は全く感じない。むしろ挑戦者として挑もうとしてる感じだ。


「はじめ!!」


 ギルドマスターの掛け声で動き出したのはライラ。頭上に3個の魔法陣が浮かび上がり、それぞれ火、水、土の球体が発射された。


「なるほど。防御結界展開」


 冷静に防御結界を展開し、あたりまえのように3つの魔法を跳ね返してカウンター攻撃。


「くっ。なに、その結界。厄介」


 自分の魔法を跳ね返されてもライラは冷静に避けながら次の魔法陣を展開。


「これならどう。サンダーランス!!」


 雷の槍、先程のボール系の魔法とは桁違いの速さでカリーに向かうが、それもカウンター結界により跳ね返される。


 しかし、ライラも対策を考えていたのか、サンダーランスを時間差でもう一発出しており、カウンター結界で跳ね返ったやつと時間差で出したやつが当たって相殺。


「雷もダメ。どうすれば…」

「ライラさん、私の結界はそう簡単に攻略できませんよ。次はこちらから行きますね」


 カリーはそう言うとアースランスのを放つ。ライラも結界魔法は使えるが、防御のみの結界。防御に回ると攻撃が疎かになる。


 カリーはそれを理解してるので、徐々にアースランスの数を増やしていく。


「まだまだ増やしていきますよ」


 まるでライラがどこまで耐えられるのかを試してるかのようだ。


「くっ、なめないで!!」


 ライラは結界を広げ、複数飛んできてるアースランスを防御すると素早く雷属性の魔法陣を展開。


「雷獣。お願い」

『ガルルル』


 魔法陣から虎の頭みたいなのが出てこようとしている。

 カリーは新しい魔法が見れてすこし嬉しそうにしながらも冷静に対処。


「ライラさん、面白そうな魔法ですが、させませんよ」


 カリーがそう言うとライラの魔法陣がサッと消えていく。


「う、ウソ…なんで?」

「魔法陣に干渉して魔力供給を止めました」

「そ、そんな……くっ」


 その後もライラは様々な魔法陣を展開するが全て起動できずに消されていく。


「バケモノ…勝てない。私の、負け」

「やった〜!!」


 ライラvsカリーはカリーの勝利。

 蒼炎のメンバーはかなり驚いていて、試合を見に来ていた冒険者達も騒いでいる。


「な、なんなんだあの子は」「魔法陣が消えたぞ!!」「そんな…ライラたんが負けるなんて…」


 俺はカリーのとこへ行き、声をかける。


「お疲れ、カリー。それにしてもすごいな。B級冒険者を圧倒じゃないか。魔法陣に干渉するやつもすごい!!」

「うん。試したいこともできたし、私も一人で戦えるって自信ついたよ」


「…教えて、なんで私負けたの?」


 ライラが手に持った杖を強く握りしめながら聞いてくる。


「ん〜、私は勝つ為ではなく、守ることや、負けない為の魔法を訓練してきました。結界魔法もそうですけど、魔法を発動させないこともそこから考えてます。だから今回は私の負けない為の魔法が勝ったということでしょうか?」

「何のために魔法を使うのか…ありがとう」


 ライラはお礼を言うと蒼炎のところへ戻って行った。


「なるほどな。負けない為の魔法か」

「ちなみにロドニーは何のために魔法を使ってるの?」

「そんなの簡単さ、みんな(女性)を喜こばせる為だよ」

「そういえばマリンちゃんがロドにぃの音魔法がくごく面白いって言ってた。今度私にも見せてね」

「あぁ、良いよ」


 教えてではなく、見せてと言ってくるあたり、だいぶ俺と父さんに影響されてきてるな。父さんも教えてとは言うが実際には魔法陣を見せて終わり、原理までは教えない。

自分で考えた方が勉強にも為にもなるという考えだ。


「よし、次は俺だな!!」


 バッツが気合い十分に声を上げた。

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