第25話 アーバイン再び⁉︎

 ある日のこと。

グランデの街でルドルフさんと会っている。実家に住んではいるが、ちょくちょくこの街には転移でお世話になりに来ている。


「ルドルフさん、これがお風呂のお湯の保温と温度調整の魔法陣です」

「おぉ〜!!これはすごいの。よくもまぁこんなこと思いつくもんじゃ」

「ちょっとした会話から思いつきまして。で、これなんですが、また貴族用とかに売れませんかね?」

「こんな便利な物、飛ぶ様に売れるじゃろ」


 これでまた俺の元に大金が入ってくる…

夜のお店に使っても使いきれないほどのお金。どうやって使おうか…贅沢な悩みだ…


「話は変わるがロドニー君よ。君に会いたいと言う貴族様がおるのじゃが?」

「貴族ですか…会わないとダメなやつですかね?」

「ふむ。わしもお世話になっておる方じゃから会ってくれると助かる」

「ルドルフさんがお世話になってる貴族ですか…分かりました。ちなみにその方のお名前は?」

「おぬしも知っておるじゃろ。この街の領主、アーバイン伯爵様じゃよ」


 …今一番会いたくない人…


「…ちなみになんですが、なんで僕に会いたいんですか?」

「ドラゴン退治のことでお礼が言いたいそうでな。冒険者ギルドに言っても連絡が無いからと、わしにも相談されたんじゃよ」

「あぁ…この街の冒険者ギルドには行きたくないので…ルドルフさんが領主様とお会いする日の調整とかって出来ますかね?」

「ふぉっふぉっふぉ。仕方ないの。では明日にでも会えるようにしておこう。このお風呂のお湯の魔法陣も売りに行きたいしの」


 できればアーバイン伯爵には関わりたくなかったのだが、ルドルフさんから頼まれたら仕方ない。


 ルドルフさんと別れたらもちろん行くのは夜の蝶。明日のアーバイン伯爵に会う前に気力を上げなければ!!


 お店へ行くと、今は新人の子しか空いてないみたいで少し迷ったが、入ることに。

 気分的には色々と慣れたお姉さんに甘えたい気分だったが仕方ない。金ならあるんだ。何回でも来ればいいさ。


 新人の子は犬の獣人族でまだ18歳。今の俺からしたら十分年上なのだが、そこはそこだ。


「は、は、はじめまして。ミーナと言います。よろしくお願いします」

「初めましてミーナさん。今日はよろしくお願いしますね」


 結論から言うと微妙だった…一生懸命やってくれるのだが、違うんだよな…

 真面目に頑張ってくれてるからなんか見守る雰囲気になってしまったし…

俺が攻めたら足がくがくになってたしな…

消化不良である。


 終わって部屋から出ると店長からどうだったと聞かれる。


「頑張ってはいましたが、今日は少し甘えたい気分だったので、また時間あけてもう一度来ますね」

「それは大変申し訳ございませんでした」

「店長が謝ることではないですよ。新人さんと分かってお願いしたのは俺ですし、まだウブな感じが好きな人もいますからね」


 そう言ってお店を後にしようと思ったが、ふと思いつく。


「店長、ただの興味本位で聞くんですけど、このお店で働けなくなった女の子はどうしてるんですか?」

「働けなくなった女の子と言うと?」

「そうですね。年齢とか、体力とかの関係で客が離れていって辞めて行った女の子とかです」

「そうですね。基本的にみなさんそれまでには結構な稼ぎがあるはずなので、その後のことは正直把握してないですね」


 なるほど。まぁそれもそうだよな。


「ちなみに、今日の新人さんは自分から入店したいと来たんですか?」

「ロドニー様といえど、女の子の個人的なことは話せないんです」

「あははは。そうですよね。失礼しました。じゃぁ話を変えましょう。お店を辞める子がいたら僕が雇っても大丈夫ですか?」

「雇う?ですか?」


 店長が不思議そうな顔で見てくる。


「そうです。まだ先の話ですが、お酒を出すお店でもやろうかと思いまして」

「なるほど。ではそのお店の話が本格的になったらまた相談して下さい」

「そうですね。ありがとうございます」


 お店を後にしながら思いついたことを改めて考える。


 お金はあるから、バーみたいな感じでお店を作る。娼館を辞めた子を雇う。男の扱いが分かってるから上手くいくのでは?


 とりあえず近くの飲み屋でも回って色々調べてみよう。



 何軒か回った結果、だいたいは冒険者の客が多く、お店をやってる人も引退した冒険者とかが多い。大衆食堂みたいな感じで、落ち着いてお酒を飲む場所は見つからなかった。


 そりゃぁそうだよな。お店ではケンカが頻繁に起こるし、それを止めれる人が店側にいないとやってられない。



 翌日。ルドルフさんがアーバイン伯爵と会えるようにしてくれてるはずなので、ワーグ商会へ向かう。


「ルドルフさんおはようございます」

「おぉロドニー君。おはよう。ちゃんとアーバイン伯爵様には話を通しておいたからの。準備するからちょっと待っててくれ」


 少し待つと、馬車に色々と詰め込んでいく。終わったみたいで、馬車へ乗り込みさっそく向かうことに。


 道中、俺は昨日思いついたことが出来るかどうか聞いてみることに。


「ルドルフさん、聞きたいんですけど、この街で自分のお店を開きたいと思ったら、やっぱり商業ギルドへの登録が必要ですか?」

「ふぉっふぉっふぉ。もちろん必要じゃ。商業ギルドへ登録しないと闇営業のお店として扱われるから気をつけるんじゃぞ」


 その後も色々と聞いて、分かったのが、

ここアーバイン伯爵領では、全ての土地、建物がアーバイン伯爵の持ち物となっており、

そこに住んでる人はアーバイン伯爵に家賃を払うことになっている。


 商売をしてる人は家賃と売り上げの1割を払う決まりになっていて、売り上げは商業ギルドへ報告する義務がある。

 不正を行った場合は二度と商売ができないようになったり、あまりにも不正が酷い場合は財産没取の上、犯罪奴隷へと落ちる。


「奴隷落ちですか。怖いですね…」

「アーバイン伯爵様はまだ優しい方での。違う貴族様だと売り上げの2割とか、色々あるからその街の商業ギルドで確認することじゃ」


なるほど。比較的この街は商売をするには優しい街ってことなのかな?


「ちなみに、奴隷ってどこで買えるんですか?」

「ふぉっふぉっふぉ。奴隷か。それなら知り合いのお店を紹介してあげよう」


 娼館で働いてた人を雇って、用心棒で強そうな奴隷がいればお店のセキュリティーは行けそうだな。

でも鑑定が無いのに強さって分かるのか?

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