第22話 戻ってきたハージノ町
ご飯を食べ終えた俺たちは、明日の合流時間だけ決めてそれぞれの部屋へ。
今更だが、あの2人には魔力操作と魔力を増やすことをメインにやらせて来たが、たった1年でソロでドラゴンを倒せる実力になるとは思わなかった…
純粋にあの2人の日々の頑張りなんだろうけど、このまま行くといつか俺が負けそうでちょっと焦る…
魔力量で言うと圧倒的に俺が勝つんだけどな…
翌日。時間通りに合流し、俺の故郷へと向かう。
「ロドニーの故郷ってどんなとこなんだ?」
「ん〜小さい町で海があって、冒険者より漁師が多いとこかな」
俺も前世の記憶が無かったら冒険者より、漁師の道を選んでたかもしれない。
「私はロドニーの妹さんに会うのが楽しみ」
「そうだな。カリーのことお姉ちゃんって呼ばせようか?」
まだ家を出てから1年ほどだけど、マリンはどれだけ大きくなったのだろうか…
1日目は野宿という名の魔術で作った簡易ホテルに泊まり、カリーのカウンター結界を張って寝ることに。ほんと便利な結界だよ。
翌日も空の旅を楽しみ、何事もなく俺の故郷のハージノ町に到着。
町の入り口に降りても良いかなと思ったけど、念のため手前で降りて歩いて行くことに。
「もしかして、ロドニーじゃないか?」
門番の人が話しかけてきた。
あの人は…よくお店に来てくれてた…
名前が…ぶ、ぶー…出て来ない。
「こんにちは〜。戻ってきました」
「おかえり。そっちの2人は?」
俺は2人を紹介し、またしばらくこの町にいることを伝える。
「そうか。俺はブリックだ。よろしく」
そうだ!!ブリックだブリック!!
名前も分かったとこで町の中へ。
「海だ!!すごい!!」
「おぉ!!ホントだ!!海ってでかいな!!」
「二人とも海を見るの初めてなのか?」
「そうだよ。まさか自分の目で海が見れる日がくるなんて…」
カリーが少し涙ぐんでる。
俺と出会った時、二人で生活してたんだったな。いつから二人で生活してるのかは聞いてないが、想像以上に辛い生活だったのかもしれないな…
みんなで海を眺めた後、夕方でお腹が空いてきたので、実家の食堂へ行くことに。
「ここが俺の家。やすらぎ亭だ」
「おぉ〜なんか良い匂いがするぞ」
「お兄ちゃん、ちゃんと挨拶するのよ」
「分かってるって、早く中に入ろうぜ」
3人で中に入る。
「あら、ロドニー、おかえりなさい」
「母さん、ただいま。でも今はお客さんとして来たよ。テーブル座るね」
「あらそうなの?」
「初めまして、ロドニーと一緒に来ました、バッツです」
「カリーです。良い匂いがするからご飯が楽しみです」
さっそく座り、今日はボアのステーキがあったのでそれと、サラダを注文。エールも忘れない。
「ロドにぃー!!おかえり」
「おおーーマリン、元気にしてたか?」
「うん!!マリンね、父さんに教えてもらって、魔法使えるようになったんだよ」
そう言って小さな水を出して、俺のコップに注いでくれた。
「すごいなマリンは。いつの日か父さんをも超える大魔法使いになるかもな」
「えへへ。でもね、母さんが言うには、マリンは魔法より剣の方が才能あるんだって」
「ホント?それは楽しみだな。俺も負けないように頑張らないと」
母さんが認めるとかどんな才能だよ…
二人に妹を紹介。マリンもご飯がまだだったようで同じテーブルに座り、4人でご飯を食べることに。
さっそくカリーとマリンは仲良くなり、
カリーお姉ちゃんと呼ばれて、バッツはマリンにカリーを取られたみたいで少し寂しそうだった。
食事も終わり、俺の部屋がまだあるとのことで、ひとまず部屋に行き荷物を置く、
店の営業が終わるのを待ち、改めてバッツとカリーを両親に紹介。
「父さん、母さん、この二人が今俺と一緒に行動してるバッツとカリーだ」
「バッツです」
「カリーです」
「ロドニーの父、ロイルだ。息子が迷惑をかけてないといいが、遠いとこまでよく来たね」
「母のマギーよ。で、どうしてここまで来たの?」
今までの経緯とカリーが冒険者になるまであと1年、ダンジョン巡りより、父さんと母さんから色々学んだ方が良いのではないかとなり帰ってきたと説明。
「ふ〜ん。なるほど。ロドが師匠って不安しかないわね。あなたどこかぶっとんでるから」
「母さん、そんなこと無いと思う…よ」
「まぁたしかにロドは魔法も先入観なく色々使っていたからね。マギーの心配も分かる」
「父さんまで…」
「私は良いわよ。久しぶりにロド、あなたとも手合わせしたいし、あなたが育てた子がどれだけ強いのかも知りたいしね」
「父さんも協力しよう。たしかに魔物とか魔法についてはまだまだアドバイスできるかもしれないからな」
両親が色々教えてくれると分かり、ほっとする。
「でも、住む場所はどうするの?」
「母さん、それなんだけど、家の裏に広場があるよね?そこをちょっと使わせて欲しい」
「良いけど、何するの?」
「見た方が早いね」
両親をつれて家の裏の広場へ行き、土魔法を使っていつもの簡易ホテルを作る。
「あとの細かいとこはカリー、よろしく」
「分かった〜」
「土魔法でここまで出来るとは…」
「父さんも出来るでしょ?」
「まぁ出来るが、お前みたいに魔力が多い訳でもないからな。さすがにこの大きさは無理だ」
たしかに多少魔力は使うが、俺からしたらそこまで大変ではない。それだけ俺が魔力お化けってことなのだろう。
「ちなみに、カリーちゃんは中で何をやってるんだい?」
「せっかくだから皆んなで見に行こうか」
やはり父さんは魔法使い。魔法のことになると色々と興味が出てくるようだ。
カリーは中でお風呂やトイレを快適に過ごすための道具であったり魔法陣を設置している。
「カリーちゃん、ちょっと教えて欲しいんだが、このお風呂のお湯を出す魔法陣、誰が考えたんだ?」
「えっ、あ、ロイルさん、それは私が自分で考えて作りました」
「ほぉ自分でか。ロドに何かアドバイスとかはもらった?」
「いえ。ロドニーからは魔法陣の基本的なことしか教わってないです。戦闘系の魔法陣なら色々アドバイス貰いますが、生活の方は自分で色々考えてやってみたくて」
なにやら興味深そうに魔法陣を見る父さん
「なるほど。ではカリーちゃんの意見を尊重して、この魔法陣、少し工夫すれば魔力を半分にできるよ。色々考えてみて」
「え?は、半分にですか?」
「ロド、お前は分かるか?」
「ん〜、半分か…俺には分からないな。ただ、俺ならこれに温度調節と、保温機能を付けられる」
「はっはっは。お湯の温度を調整できて、しかも一定の温度を保つことができるのか!!それは面白い。是非教えて欲しいよ」
「あの、私、考えてみます!!」
さすがは父さんだ。やはり魔法のことだと俺の知らないこともあるようだ。
「魔力を半分にできる方法、俺も考えてみるから、カリー、どっちが早く正解できるか勝負な」
「負けないよ!!」
ちなみに、温度調節機能、保温機能は父さんに教えてあげた。母さんとマリンが大喜びでお湯の温度が下がらないのが気に入ったらしい。これ、ルドルフさんに教えたらまた貴族に売れるんじゃないか?
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