第21話 思ったよりだいぶ弱くね?
ドラゴンと戦えるとなり、元気になったバッツ。やはりバッツは戦闘のセンスがあるのか、ドラゴンの攻撃を冷静に受け流したり避けたりしている。
「お、お、おい、私が見てるのは幻か?」
ぞろぞろと兵を連れてやって来たルイスに話しかけられる。
「これはこれは、ルイス様ではありませんか。幻かどうか殴って確かめて差し上げましょうか?」
「いや、いい…」
ルイスも兵士達も何が起きてるのか分からないのかただ突っ立ってるだけだ。
そりゃそうか、13歳の子供が1人でドラゴンと戦っている。信じろと言う方が難しいな。
「バッツ、どうだ?倒せそうか?」
「ん〜、ブレスが来ない限り、負けることは無いけど、こっちも倒せるだけの火力が足りないな…武器もこのままだと保たない」
「なるほどな。今後の課題だな。そろそろ変わるか?」
「そうだな。ドラゴン相手でも戦えることが分かったしな。最後に思いっきり殴ってみるよ」
バッツは身体強化をさらに練り上げる。
拳に魔力を集中させドラゴンのお腹に向かって思いっきりパンチをする。
『グギャーーー』
「おお!!かなり効いたぞ!!」
「恐ろしいパンチだな…お前それ、魔力を武器に纏わせて切ったらどうなるの?」
「武器に魔力を?」
「そう。拳を強化したみたいに、武器を強化するイメージでさ」
「そうか!!やってみるよ」
口から血を吐いたドラゴンがバッツへ向かってくる。けっこう効いたみたいだな。
ドラゴンが右手をバッツ目掛けて振り下ろしてくる。
攻撃を避けて魔力を纏った剣で、手を切りつけると、剣が深いとこまで行き、大量の血が出てくる。
「あっ、切れた」
「お兄ちゃんすご〜い!!」
「ドラゴンの鱗も切れた。次は俺の番な」
「了解」
そのままバッツと入れ代わる。
「っと、その前に、元気にな〜れ、ヒール」
ドラゴンがみるみる回復していく。
「お、おい、バッツ君だったかな?ロドニー君は何をしているのだ?」
「ルイス様、えっと、ドラゴンと戦うなんてあまり無いことだと思って、1人ずつ試したいことをやってます」
「あ、あぁ。僕にはロドニー君がドラゴンを回復させてるように見えるのだが?」
「そうですね。元気な状態じゃないとすぐに倒しちゃうので…」
ルイスが、こいつら頭おかしいのじゃないかって目で見てくる…
「さてと。まずは軽くいこう」
俺はドラゴンの左手の中にトゲトゲの氷の塊を転移させる。
するとドラゴンの左手から氷のトゲトゲが飛び出してきて千切れた。
『ギィャーーー!!』
声を出して怯むドラゴン。
体内に魔法も転移させることが出来た。
次にドラゴンの背中に転移してそっと手を当てて、強力な振動を体内に送る
『ぐふっギャっ』
あらゆるところから血を出して死んでしまった…
「まじか…ドラゴンならもう少し耐えると思ったけど、加減を間違えたな…」
「ななななな、な、な、何が起きたのだ?」
「あぁ。これはこれは、ルイス様。もしかしてルイス様もドラゴンと戦いたかったのですか?」
「違う!!どんな攻撃をしたらドラゴンがそんな死に方をするのか聞いている!!」
少し興奮気味に聞かれる。
「それは企業秘密ですよ」
「…そ、そうだな。いや、すまない。少し興奮してしまっていたようだ」
多分アリアナさんが関わってないから、なんだかんだで良い人なんだよなこの人。
「とりあえず約束通り、僕らが倒したので、ドラゴンも僕らがもらいますね」
「あ、あぁ」
「それでは僕らはこれで帰ります。2人とも行くよ」
ドラゴンをアイテムバックに回収。アイテムボックスが使えるのを隠すために、わざわざ作ったのだ。
そのままみんなで空の旅へ。
グランデの街へ戻り、冒険者ギルドに。アリアナさんが俺を発見して何か言いたそうだが完全に無視。バッツとカリーを連れてそのままギルドマスターの部屋へ向かう。
「ギルドマスター、ロドニーです」
「おぉロドニーか、準備が整ったのか?」
「いや、ドラゴン倒してきました」
「は?倒した?」
俺はレッドドラゴンの頭だけアイテムバックから取り出して見せる。
「おお!!それでルイス達は?」
「そのうち帰ってくるんじゃないですか?流石にドラゴン以外の魔物の面倒まで見れないですよ」
「まぁそうだな。それでその2人がお前が育ててる冒険者か?」
「バッツです」「カリーです」
「今回は助かった。ありがとう。それで報酬なんだが、白金貨2枚だ。ドラゴンの素材を売ってくれたらもう少し行くがな」
「白金貨2枚⁉︎そんなに⁉︎」
「そんなにって、それほどの脅威なんだぞ」
何回もヒールをかけて遊んだなんて言えない…
そういえばAランクは英雄や勇者並みの強さがある人って言ってたな。
ドラゴンはそんな人が5人集まってやっと倒せるレベル。そう考えると白金貨2枚は安いのか?まぁいい。
「ドラゴンはしばらく保管して素材として使いたくなったら使うので、白金貨2枚だけでお願いします」
「ちょっと待っててくれ」
しばらく待つと報酬の白金貨2枚を持って来てくれた。
俺はそのまま1枚ずつバッツとカリーに渡しギルドを後にする。
「ロドニー、いいのかこんなに貰っても」
「気にするな、今となってはルドルフさんのおかげで金に困ってないからな」
「でも、今まで私たちにいっぱいお金使ってくれたのに、なんか悪いよ」
そう言われてもな…
「なら、今日はこのお金でロドニーにご馳走するよ。せめてもの気持ちだ」
「おぉ。それは嬉しいな、人のお金だからたくさん食べようかな」
「おう。どんどん食べてくれ」
そのまま3人でお店を探し、入る。
料理とエールを頼み、食べながら今日の戦いを振り返るとバッツが言う。
「それにしてもドラゴンって意外と弱かったのな…もっと苦戦するかと思ってたよ」
「一応、ギルドマスターが言うにはドラゴンはAランク冒険者5人で頑張って倒すらしい」
「嘘だろ⁉︎」
「ん〜ギルドマスターが嘘を言う意味がないし、報酬もそれなりに高かったしな…」
「ドラゴンの体当たりでも壊れない結界だってことが分かって良かったけど、正直私も物足りない戦いだった」
「そうだな。俺たち自分が思っている以上に強くなっちゃったみたいだな…」
これでさらにレベル上げたらどうなるんだろうな…
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