第19話 ギルドマスターからのお願い

 アーバインとかいう貴族冒険者に絡まれ、だんだんとイライラしてきた俺はもぉどうでも良いやと投げやりになる。


「ほら、これ俺の冒険者カード、見える?俺Aランクなの、先輩かなんか知らないけど、そこどいてくれます?」

「はっはっはっ。君、いけないよ、冒険者カードの偽造は罪になるんだよ」


 あぁ〜イライラする…


「確かめもせず偽造と決めつけるのか?」

「ふっ。どう見たって君がAランクだなんて信じられないよ。冒険者になったばっかりだから、Aランクがどれほどすごいことなのかを知らないんだね。ダメだよ君」


 チラッと横にいる受付穣に目をやるが、何も反応が無い。お前俺がAランクなの知ってるのに何も言わないのか?


「っはぁ〜。もぉいい。どけ!!」

 殺気を出して命令する。


「ひっ…あわわわ」


 なんか泡ふいて倒れた…

周りを見渡すとみんな同じように倒れてる…

やべっ。やりすぎたか?


 少し冷静になり、どっかの貴族とよく分からない受付嬢以外は全員起こしてクリーンの魔法をかけてあげた。


「ちょっとイライラして、関係ない皆様まで巻き込んでしまいました。申し訳ありません」


 周りは何も言えずに、「はぁ」「いぇ」とかしか言わない、初めて殺気を出して、加減が分からなかったからな…


「あ、あの、その、2人はど、どうするんですか?」


 少し若い受付嬢がまだ倒れてる2人を指して聞いてきた。


「そのうち起きると思います。とりあえず、皆様にはご迷惑をおかけしました。あの2人以外には迷惑料として今日の飲み代を置いておきますね。もちろんギルド職員の方もこれで好きなだけ飲み食いして下さい」


 そっと白金貨1枚をおいてギルドを後にする。ギルドからは「「うぉーーー」」などと歓喜の声があがっている。やはり世の中金か。今やバ○ブ成金となった俺には白金貨1枚など安いものだ。


 俺はそのまま溜まったストレスを発散するために夜の蝶へと向かう。


「ロドニー様、いらっしゃいませ」


 店長に出迎えられ、女の子が待つお部屋へ。


「今日は甘えたい気分だから、そうだな。サマンサさんをお願いします」


 初めてこの店に来た時に指名したサマンサさん。何事でも初めての人は印象深いものだ。俺だけかもしれないが…


 さっそく手を繋ぎ移動。


「ロドニーさん、今日は甘えたい気分なんだ。私にどんなことされたいの?」


 やはりサマンサしんにして良かった。こちらのことをさりげなく気遣ってくれて、かつ気分も盛り上げてくれる会話が心地いい。


 そんなこんなで1回目のサービスを終えての会話パート。


「サマンサさん、アーバインって貴族、様?知ってる?」

「アーバイン伯爵様のこと?」

「そうそう」

「この街の領主様ね」

「げっ、まじか〜」


 ここの領主の3男を気絶させてしまった…


「ふふっ。何かあったみたいね。お姉さんが聞いてあげようか?」

「実は…」


 受付穣のおっぱい事件のことも全て話した。


「あらあら、ルイス様もそうだけど、その受付嬢許せないわね、ロドニー様を困らせるなんて」

「やっぱりギルドに顔を出さなければ良かったな〜。って、サマンサさん?」

「なぁに?」

「あの、お話してるので、僕のをサワサワされると…その…お話に集中できなっいっと」

「うふふ。かわいい」


 そのまま2回戦目に突入。今度はしっかりと俺の振動(バ○ブ魔法)でサービスさせていただきました。


 心も体もスッキリしてお店を出る。

まぁ冒険者ギルドのことは知らないふりすることにした。白金貨1枚置いてきたし、俺の味方も多いだろ。


 宿に行くとバッツとカリーもちょうど帰ってきたところで、ちょうど良いと一緒に夜ご飯を食べることに。


 エールを飲みながら、この街の領主様の息子を気絶させちゃったことを伝える。

 2人には関係ないかもしれないが、行動を共にしてる以上念のためだ。


 バッツはやっちゃったね〜みたいな反応。

カリーはなぜか貴族よりも受付嬢に怒っていた。Aランクなのを証明できる人なのになぜ何も言わなかったのか。その受付嬢のせいで俺が怒ることになったから俺は悪くないと言っている。


 そういえば蒼炎の皆さんにも挨拶したかったな。まぁ冒険者やってればまたどこかで会うだろうし、ルドルフさんから伝えてもらうとしよう。


 翌日、今日は予定も無いので少し遅めに起きる。これといった予定もないが朝ごはんを食べようと宿の食堂に降りると、何故かギルドマスターが居て、目と目が会う。


 やましいことはしてないのに、いや、領主様の息子の件かなと冷や汗が…


「ロドニー!!」

「ぎ、ギルドマスター、どうされたんですか?」

「昨日の件聞いた。本当にすまなかった」


 綺麗なお辞儀である。


「えっ?ど、どういうことですか?」

「昨日のアリアナの件だ。ギルドに戻ったら冒険者達が飲んだくれててよ。どうしたのか職員に聞いたら、全部教えてくれた」


「あ、あの、どう言う風に聞いてます?」


「お前とアリアナの間で何があったかは知らないが、アリアナがお前に失礼な態度をとった。それでお前がギルドを出ようとしたらルイスが絡んできて、アリアナが悪ノリしたと。しかもお前の冒険者カードを偽造とまで決めつけたとか」


「まぁそうですね。隣にいたアリアナさんが本物だと知っていたのに何も言わなかったので、さらに悪い方向に話が行きましたね」


「完全にうちのアリアナの責任だ。本当に申し訳ない」

「いや、ギルドマスターが謝ることではないですよ。もぉ終わったことですし、なんなら、ここの領主様の息子を気絶させちゃったことを咎められるかと思ってました。あはは」


「それなら大丈夫だ。その場にいた冒険者たちがお前は悪く無いと証言しているからな。それに領主のアーバイン様は話の分かる方だ。安心していい」


「それは良かったです。不敬罪とか言われたら全力で逃げようと思ってましたから」

「はは。領主様もそうだが、ルイスのやつも悪いやつではない。ちゃんと冷静に話せば分かるやつなんだが、アリアナのこととなるとあいつは周りが見えなくなってな…」


 なるほど。まぁ問題ないならよかった。


「それで、今日お前に会いに来た理由はもう一つあってな」

「どうしました?」

「実は、ドラゴン退治をお願いしたい」

「ドラゴン!!」

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