第18話 アーバインとか言う貴族

 ダンジョンに潜りだしてから1年。


 俺、レベル35

 バッツ、レベル25

 カリーレベル22


 週に5日間ずっと、食事と寝る時間以外は魔物を倒し続けてこのレベル。

 レベルってなかなか上がらないのかもな…


 バッツも、カリーもボスのオークキングをソロで簡単に倒せるようになり、そろそろこのダンジョンでの訓練もお終いかなと思う。


「2人に聞きたいんだが、もぉこのダンジョンの敵が弱く感じているのではないか?」

「そうだな。ボスを倒すのも作業としか思えなくなってきてるのは確かだ」


 バッツは最近オークキングを素手で倒してみるなんていう縛りプレイをやりだしているからな…素手でもほぼワンパンなんだけど…


「私もそんな感じ」


 カリーは回復や防御面を頑張ってきた。今ではオークキングごときの攻撃ではカリーの結界は壊せない。


 しかも、俺が思いつきでその防御結界にカウンターの属性?を組み込んでみたら面白いんじゃないかと言ったら、そこから色々と頑張ってオリジナルカウンター防御結界を作り上げた。


 あれは恐ろしい。結界を壊そうと攻撃をしたらそのまんまのダメージが自分に跳ね返ってくる。


 カリーはそこで終わらず、あえてダメージを溜め込んで、蓄積されたダメージを一気に跳ね返すこともできるようにした。


 物理攻撃相手に対して無敵の強さを手に入れたカリー。今は魔法攻撃用のカウンター結界を考えている。


「と言うことで、そろそろこのダンジョンから出て、新たな所で修行をしないか?」


「「新たな所?」」


「そう。バッツは今、戦闘に必要な力を手に入れ、カリーは守る力を手に入れた。俺も含めてだが、あと俺たちに足りないのは経験、応用力みたいなものだと思う」

「まぁそうだな。戦闘の技術がある人相手だと力だけでは難しい」

「そうね。私も色んな攻撃魔法を知らないと防げないし」


「お金も使いきれないほどある今、カリーが冒険者になるまでの残り1年間、俺たちにぴったりの場所がある」

「お、違うダンジョンとかか?」


「俺の実家だ」


「「えっ?」」


「俺の実家だよ。ハージノ町ってところ」

「どこだよそこ、聞いた事ないぞ」

「本当にか⁉︎ちょっとショックだぞ。まぁでもな、バッツ、俺は母さんに魔法無しの戦闘で一度も勝てた事がない」

「マジかよ!!嘘だろ?」

「自分で戦って確かめてみた方が良い」


「私はロドニーから魔法が教えてもらえるならどこでも良いよ」

「カリー、俺に魔法を教えてくれたのは父さんだ。両親は元冒険者で俺の知らない魔法や魔物にも詳しい。きっと俺より勉強になるはずだ」

「なるほど。行きたい!!」


 レベルは目安でしかない。レベル上げよりも今は色んな知識と経験が必要なのは間違いなく、みんな俺の実家に行くことに賛成してくれた。


 問題は両親に何も伝えてないこと…まぁ大丈夫だろう。妹のマリンは元気だろうか…


 ハージノ町には転移のポインターが無いので馬車とかで行くしかないが、めんどくさいので、2人に浮遊魔法を教え、みんなで空の旅をすることに。


 2人とも魔力量も増えたので問題ないだろう。バッツは魔力のコントロールが少し苦手みたいで、どこかに飛んで行きそうだが、俺が補助すれば問題ないだろう。


 グランデの街から馬車で10日ほどだから、飛んで行けば遅くても2日くらいかな?

 野営は俺が豪華な部屋を出せば問題ないし楽な旅になりそうだ。


 とりあえずグランデの街へ行き、2日後に出発するということでそれぞれ準備などをすることに。


 俺はルドルフさんにしばらく実家に帰ることを伝えるが、ルドルフさんにはアイテムボックスのことなども教えてるので、遠慮なく、転移が出来ることを伝える。何かあれば冒険者ギルドを通して連絡をくれと伝えた。


 冒険者ギルドには通信魔道具があり、お金を出せば連絡がすぐに出来るようになっている。


 ここのギルドマスターにも一応挨拶しておこうと冒険者ギルドへ。夜の蝶を教えてくれたし、初回は奢ってくれたからな。


 受付にアリアナさんがいる…ちょっと気まずいな…


「アリアナさんこんにちは。ギルドマスターはいますか?」

「なんだロドニーじゃない。しばらく顔を見なかったから死んだのかと思ってたわ」


 勘違いで胸を触ったことまだ怒ってるのか?もぉ1年前のことで、ちゃんと謝ったのに?


「えぇまぁ残念ながら生きてました」

「ふっ本当に残念だわ」


 いや、さすがに失礼すぎるだろ

なんかもぉいいか、ギルドマスターには夜の蝶の店長から話をしてもらうことにしよう。

俺は何も言わずに受付を後にする。


「ちょっと、どこに行くのよ」


 完全に無視。


「待ちなさいよ!!」


 外に向かって歩いていると俺の前に誰かが立ち塞がる。


「君、アリアナさんが待てと言ってるのに何故止まらない?」

「誰だお前?」

「だ、誰だって、君、この僕のことを知らないのかい?」

「知らねぇから聞いてるんだけど?」


 俺、不機嫌モードである。


「ふっこの僕を知らないとは、そうか!!君は冒険者になったばかりの子なんだね」

「で?」

「そんな君に教えてあげよう。僕はルイス。ルイス・アーバイン。あのアーバイン伯爵家の3男にしてB級冒険者さ」


 アーバイン?貴族か。


「で?」

「でって君、貴族であり、先輩冒険者の僕にたいしてその態度はダメじゃぁないかい?」

「そうですか。それでその貴族様が俺に何のようで?」

「まぁいい。アリアナさんが君を呼び止めているだろう。何故止まらない?」

「知らない人ですね」

「なるほど。差し当たり、アリアナさんに言い寄って断られたから八つ当たりしてるのだろう。つまらない男だ」


 いや、おっぱいを触って怒られた…間違いではないのか?いや違う、誤ったけど、謝るのに疲れたが正しいな。


「アーバイン様、そうなんです!!こいつがしつこく口説いてくるから冷たくしたら、逆ギレしたんですよ」


 アリアナがアーバインとか言うやつに便乗してきた。


「じゃぁそれでいいです。もぉ2度とこのギルドには来ないのでどいてもらえませんか?」

「いや、ここで君をちゃんと教育しようではないか。後輩の態度を改めさせるのも先輩冒険者としての務めだからね」


 こいつめんどくせーーー!!!

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