第15話 初めてはやっぱり緊張する

 俺は今ギルドの前にいる。

ゴブリン集落のなんやかんやの報酬をもらいに来てるのだが、今朝のアリアナさんとの事件で入りずらいのだ。


「何突っ立ってんのよ。邪魔なんだけど」

「あ、アリアナさん」

「邪魔だって言ってんの」

「あ、はい」


 そのままギルドに入り、無事に報酬をもらって終了。今回は金貨15枚もらえた。

 一応もう一度受付でアリアナさんに謝罪。


 これからギルドに入るたびに謝罪しなきゃいけないのかな…


「ロドニー、おはよう」

「おぉバッツ、おはよう。今日が試験日だったな。お前なら大丈夫だ。気楽にな」

「頑張るよ」


「ロドニーおはよう」

「カリーも応援か?」

「うん。私もあと2年したら冒険者になってお兄ちゃんを助けたいから、見て勉強するの」

「良い心がけだ」


「バッツ、無事合格したら午後から森にでも行くか?」

「おぉ!!行く!!」


 ついでだ、俺も試験を見にいく。

何事もなく無事に合格、見た感じ今のカリーも魔法使えば余裕で合格できるだろうな。


 試験が終わりバッツは合格。


「合格おめでとう。バッツ、お前は薬草採取のクエストでも受けるか?」

「そうだな。付いてきてくれるんだろ?」

「あぁ。あとカリーも一緒にな」

「カリーはまだ冒険者じゃないけど大丈夫なのか?」

「カリーはクエストを受けられないだけで、手伝うことは大丈夫だろ。たまたま俺とカリーが森に行ったら、クエストを受けたお前がいたってだけだろ?」

「そうだな」


 2人を連れて薬草が採れる森へ、


「カリー、探知魔法を使って周りを警戒してて欲しい」

「わかった」

「バッツは薬草採取をしながら探知魔法な」

「まかせろ」


 まだ魔力操作がぎこちないとこはあるが、このまま続ければそこらへんの冒険者より強くなるだろ。


「なぁロドニー、聞きたいんだけどさ、魔力操作ってこの先ずっとやってくのか?」

「そうだな。俺は終わりが無いと思ってる、魔力操作が上達すると、同じ魔法でも少ない魔力量で発動できるし、初動も速くなる。いいことずくめだ」


「魔物の反応あった」

「気付いたか。ちなみにバッツは分かるか?」

「俺のにはひっかかってないな」


 カリーの方が魔法は得意だから仕方ないだろう。それにしてもけっこう広い範囲の探知ができてるな。おそらく2キロほど。

 こっちに向かって来る速さから、おそらくウルフ。群れからはぐれたのか?


「カリー、そのまま魔法で倒せる?」

「やってみる」


 カリーは少し時間はかかったものの、ウォーターランスの魔法陣を作って待機。

 自分の射程距離までじっと待つ。


「バッツ、カリーのフォローを忘れるなよ」

「あいよ」


 ウルフが100メートルまで迫ってきた時にカリーがウォーターランスを放った。

 当たれば討伐できる威力。


「ダメ、避けられる!!」


 カリーが言うとバッツはウルフに向かって走り、剣を使って討伐。


「初戦にしては上出来だろう。カリーの魔法も良かったぞ」

「でも当てられなかった」

「なら次はどうする?」

「もう少し引きつけてから、いや速度を上げる?ん〜」

「色々自由な発想でやってみることだ。焦らずに行こう」


「バッツはどうだった?」

「俺?なんか分かんねーけど、ウルフの動きが遅く見えたんだ、だから焦らずに対応できた。けど、なんだったんだろう」

「ゾーンに入ったってことかな?」

「ゾーン?」

「俺もよく分かってないけど、集中力が極限に達すると周りが遅く見えるみたいな?」

「たぶんそんな感じだった」


 もしそれが本当ならすごいな。俺はそんな感覚になったことないし、もしかしてそのうちバッツに剣術で負ける日が来るかも…


 ウルフを解体し、薬草も集まったので街に戻ることに。


 バッツの昇格祝いでみんなでご飯を食べに行く。皆んなどのお店が良いかなんて分からないから、場所はバッツに決めてもらった。


 テキトーに注文し、俺とバッツはエールを1杯だけ飲むことにした。


「聞いて欲しいんだが、カリーが冒険者になってすぐに活動ができるように、なるべくバッツのクエストには3人で行こう。2人の実力が上がったらクエストを通さずに大きめの魔物をねらってもいいかもな」

「私がんばる!!」


 カリーが冒険者登録するまではこの街に住むことに。

 2人にはアイテムボックスの魔法も習得して欲しいことを伝えた。俺は転移の魔法の習得を頑張ろう。


 ご飯も終わり、今後の方針も決めたのでそのまま解散。


 そして俺は今『夜の蝶』の前にいる。

そう。バッツたちと別れてついに来たのだ。


 …深呼吸をしてから中に入る。


「いらっしゃいませ」

「あの、ギルマスのスパイクさんがこのお店をオススメしてくれたので来ました」

「もしやロドニー様でしょうか?」

「そうです」


 ギルマス、ちゃんと話を通しておいてくれたんだな。こんど何かお礼をしてあげよう。


 奥の部屋に案内され付いていく。

部屋の中に入ると色んな種族の女性が並んでおり、この中から選べば良いとのこと。


 人族、獣人族、エルフなどだ。ドワーフは居なかったな。


 しばらく迷ったが、エルフのサマンサさんにした。やっぱりエルフって憧れるじゃん。


 部屋に移動してたわいもない話をして、お互い体を洗いっこ。


 サマンサさんに振動(バ○ブ)魔法を使用。手でもそうだが、もちろん自分の息子も振動させるのを忘れない。自分の息子の感覚遮断も適度に行う。時間いっぱい楽しむためだな。


 結論。

次のお客さんに入る体力が無くなってサマンサさんのその日の仕事は終了。


 店長にちょっと怒られた…が、後日サマンサさんが、「自分から求めてしまった。ロドニーさんは悪くない」と説明。


 その後、夜の世界で俺は少しずつ有名になっていく。女の子ではなく、なぜか俺の技術を習得したいと、おっさんから追いかけまわされることになることも知らずに…

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