第3話 レベルの存在
店の裏にある広場へと移動。
「じゃぁ今日もやりましょうか」
「よろしくお願いします」
お互いに木刀を持ち構える。
まずは魔法なしから模擬戦スタート。
この戦いでは主に基本的な動きの確認からスタートして少しずつペースアップしていってる。
「ロド、もっとしっかり踏み込んで!!」
「っ…はいっ!!」
「スキだらけよ!!」
俺の左腕に木刀が直撃すると同時にポキっと音がして骨が折れる。
「ぐっ…つぅ…」
「あらまた折れたの?もっとしっかりと鍛えなさい。さっさと立つ。次は身体強化を使ってもいいわ」
魔法で腕を治療し、改めて構え身体強化を発動。毎日の魔力操作の練習や魔力をゼロにしてから寝てた成果なのか、ここ数年で身体強化の効果が上がっている。魔力量が増えてるということなのだろう。しかし、身体強化を発動しようと母さんには勝てない…
力が増したこところで、剣を受け流されてしまう。力では勝てるが技術で負ける。
しかも身体強化してるのは俺だけという屈辱。結局身体能力が上がってもボコボコにされて終わり。骨は折れないが痛いものは痛い。
「母さんに勝てる未来が見えないよ…こんなんで冒険者としてやっていけるのかな…」
「安心しなさい。あなたなら大丈夫よ」
「ケガしてて、全力が出せない。しかも現役じゃない母さんに勝てないのに?」
「あなたは剣より魔法に才能があるでしょ?実際に魔法も有りの戦いだったら昔の私ならともかく、今の私の実力なら確実に負けるわね」
「ん〜たしかに魔法を使えば戦術の幅が増えるけど…僕は剣で母さんに勝ちたいの!!」
「なら基礎体力を上げるのと技術を磨くことね。あなたの剣は素直すぎるわ。魔物には通用しても人には通用しないわよ。あと一応確認なんだけど、あなた自分がまだレベル1なのを忘れてないわよね?」
「あっ……」
「やっぱり…レベルが全てではないけど、それでもレベル1でそれだけ戦えてるのがおかしいのを自覚しなさい。一応教えておくけど、一般的な冒険者の強さの基準で言うと、身体強化したあなたはBランクになれるかどうかくらいの力はあるわよ」
「そんなに⁉︎」
「えぇ力だけならね。技術が身につけば確実にAランクよ」
「覚えておくよ。ちなみに母さんはレベルどれくらいなの?」
「私に勝ったら教えてあげるわ」
レベルのことすっかり忘れてたな…
ステータス画面とか無いし、魔法に夢中だったしな…レベル上げか…
「レベルを上げるにはどうすればいいの?」
「魔物を倒すかないわ」
魔物か…町の外には出たらダメって言われてるし、冒険者になるまでこのままだな。
「12歳で冒険者登録できるんだよね?」
「そう。それまでは、あせらずに今できることをやりなさい」
「そういえば、魔物図鑑とかないの?今のうちから魔物について勉強しておきたいな」
「ん〜、知ってるのと知らないのとでは危険度が違うものね。図鑑は冒険者ギルドにあるけど、図鑑より父さんに聞くと良いわ。図鑑にない知識も教えてくれるわよ」
「分かった〜」
あと2年。現時点で魔法はかなり使えるようになっている。前世の知識がある分、空間や雷、氷、といった一般的に上級魔法と言われる物も簡単に覚えることができた。
今は時間を研究中。なぜかと言うとアイテムボックスに時間停止を付け加えたいからだ。
色んな魔法は使えるようになったが、なんだかんだ遊びで良く使ってる音魔法が1番得意だったりする。
両親には言ってないが、音=振動なので、たとえば耳の近くに爆音が出る魔法陣を設置して鳴らしたり、直接体内に振動を送ることも考えている。冒険者になって魔物に出会ったらやってみよう。
そして俺が振動魔法を頑張っている理由がもう一つ。いや、最大の理由だ。
振動なんだよ。繊細な振動コントロールができるように、この振動魔法を極めれば俺は夜の世界で人気者になれるはず!!色んな女性から求められる男になるのだ!!
話がそれた。それから俺は父に冒険者としてやっていくために必要な知識と、世界について教えてもらった。
種族に関しては人族、エルフ、ドワーフ、獣人族がいて、それぞれの種族ごとに国があり、どの国とも友好な関係なので大きい街に行けば色んな種族に会えるらしい。
ハージノ町は人族しか見たことないから実際に違う種族を見てみるのが楽しみだ。
待ってろよ未来の彼女たち…
そして、予想はしてたが、奴隷制度というものがあった。犯罪奴隷と借金奴隷とあり、騙されて借金奴隷になる人もいるから気を付けるようにと言われた。
何を気を付ければいいか分からないが気を付けよう…
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