第2話 音の鳴る魔法陣
妹が産まれた後、両親は妹に振り回される毎日へと変化。ちなみに妹の名前はマリンになった。
夜はなかなか寝ないし、何故泣いてるのか分からない日々、母もだんだんと疲れが見えてくるように。
「まさか子育てがこんな大変だなんてな」
「そうよね。ロドニーの時はなんにも手がかからなかったから同じように考えてたけど…」
両親の会話が聞こえてくる。
なんかごめん…
その会話を聞いてから、俺も積極的にマリンの子育てに参加することに。
俺の担当はオムツ交換と遊び相手。
オムツ交換はクリーン魔法で簡単だったし、遊び相手も魔法で小さな灯りを手の届きそうなとこに何個か浮かべる。
そうするとマリンは嬉しそうに笑ってくれた。
「しかしロドニー。お前はすごいな。父さんでもそんな繊細な魔力コントロールはできないよ」
「そうなの?ただ浮かべてるだけだよ?」
「普通は魔力にバラつきが出て、多少大きさが違ってくるんだよ。でもお前が浮かべてるのは全て必要最小限の魔力が均等に行き渡っている。目の前にある光景なのに信じられないよ」
「そうなの?でも慣れれば簡単だよ?最近はこの灯りを蝶々の形にできるようになったんだ。でも本物みたいに動かせないんだよね。どうしたら良いと思う?」
そう言って父の前に魔法で作った蝶々を出す。
「………」
「父さん?」
「!!…っいや悪い。まさかそんなことまで出来るようになってるとは…動かすだったな。なら魔法陣を勉強するといいよ」
「魔法陣⁉︎」
「そう。今のロドニーは魔力を性質変化させて体の外に出して維持してる状態。ちなみに、その灯りをあっちへ飛ばせるかい?」
部屋の外を指されたので、そっちに向かって灯りを飛ばすイメージをしてみるとフワフワと飛んで行くが、途中で消えてしまった。
「魔力があそこまでしか維持できないのか…」
「よく気付いたね。そう。自分の体の周りにはある程度魔力を広げることが出来る。ただ、その範囲を超えると消えてしまう。魔力量が増えれば範囲も広がるけど効率が悪い。そこで魔法陣が必要になってくる」
父さんの説明をまとめると、今の俺は自分の体の周りに無意識に魔力を広げてる状態。
そこの範囲内なら魔法を維持できる。
魔力量が増えれば範囲も広がるが、魔力を無駄に消費してしまうから効率が悪い。
魔法陣には威力、距離、範囲、動きなど様々な命令を書き込むことが出来る。
魔法陣を通して魔法を使うと命令通りに魔法が発動する。
「つまり、魔法陣に蝶々の動きを書き込むことができれば、生きてるかのように動かせるということ?」
「そういうことだ。明日にでも魔法陣関連の本を用意するよ。お店を手伝ってくれてるお礼だ」
「ほんと⁉︎ありがとう!!」
次の日、父さんから魔法陣の本をもらいさっそく読んでみたのだが、けっこう難しいな…まぁゆっくりやっていこう。
さらに5年後
転生して10年。妹のマリンも5才になった。俺が5才の時は店の手伝いをしていたので、両親がマリンにお手伝いをさせたのだが、上手くいかず、お店の客にも心配される始末。しかしそれが可愛かったのか、今ではお店のアイドルとしてみんなの話し相手になっている。
俺はと言うと、魔法陣のこともある程度理解し、魔法で色んな音を出すことも出来るように。父さんが言うには、音を消すサイレント魔法を使う人は多いが、わざわざ音を出す魔法や魔法陣を使うのは聞いたことないと言っていた。
「ロドにぃ、あの音のなるやつ出してー」
「おぉマリン。よし今日はいつもと違うのにしてみよう」
そう言って俺はマリンの周りに小さい魔法陣を何個も展開。マリンは嬉しそうに魔法陣にタッチしていく。
『♪』『🎶』『♪マリン〜🎶』
「あははっ。ママの声だ!!」
魔法陣にタッチすると音がなる。ただそれだけだったのだが、そこから声が出るようにしてみた。
「次はこっちに触りながら何か話してみて」
「触りながら?えっと、「マリンだよ」」
「よし、じゃぁもう一度その魔法陣に触ってごらん?」
『♪マリンだよ』
「あー!!私の声だ!!すごーい!!」
録音機能だ。
魔法陣に触れる度に少しずつマリンの魔力は減ってるのだが、微々たるものなので心配ない。
そして、なんだかんだ言っていた父さんも、楽しそうに遊ぶマリンを見て、音を出す魔法陣を必死に勉強したのは言うまでもない。
俺とマリンはお店で吟遊詩人的なポジションになっている。俺が音楽を奏で、マリンが歌う。マリンが一生懸命に歌う姿はみんなの癒しとなっている。
成長したのは魔法だけではない。俺が6才のころから少しずつだが母さんに剣術を教わっている。
将来冒険者になりたいからと自分からお願いしたが、すぐに後悔することに。
訓練が厳しすぎる…今まで知らなかった俺が悪いのかもしれないが、母さんは剣を握ると性格が変わる人だった。
「ロド〜、訓練始めるわよ〜」
「……母さん、今行くよ」
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