第7話 僕の幼馴染み様の“闇”
僕はこれまで、僕以外のプレイヤーの事は割と気にしないでいた、それは当然の話しで、僕以外のプレイヤーも僕の事など『一緒にプレイするプレイヤー』だとしか思っていなかった。
けれど―――僕の家に居候をしているヒルダさんは別だった、僕が学校をズル休みした時その理由を追及されてつい口を滑らせてしまったのだ、それで口封じ(?)の為に僕がプレイをしているという『
「⦅ま…まさ、か―――瑠偉ちゃん?⦆」
「⦅そう言うあなたこそ…そんなちっちゃな女の子の
知らなかった―――とは言え当然だ、私もここ最近で気が合い、一緒に狩りなどをしてくれる『トラビアータ』と言う幼女キャラクターが、私の幼馴染みである『山本健闘』だったなんて…
「⦅えっ…じゃあなに?僕はマクドガルが瑠偉ちゃんだってことを知らずに、一緒に組んでプレイをしていた?⦆」
「⦅それは私だって同じだよ…私もそんな可愛い幼女がまさかの健くんだったなんて―――⦆」
「⦅んー?なに2人とも深刻な顔してんだあ?お互いが知らない仲じゃないだろうし、そんな悩む必要ある?⦆」
「⦅あるよぉ!あるに決まってんだろう!大体僕みたいなのが『
「⦅は?⦆」
「⦅それは私も同じよぉ!私の隠れた趣味が『ガチムチのマッチョ嗜好』だなんて知られでもしたら…腐った女子確定、明日からは後ろ指指されて生きていかなくちゃならないんだわあ~!⦆」
「⦅へえ?⦆」
僕の『幼女嗜好』はまだ自分の事だから判っていたとはいえ、まさかの幼馴染みが『腐女子』だったなんて…そうかあ~それはさぞや知られたくなかったに違いない、けれどなんて言っていいのやら『知ってしまった』―――幼馴染みの女子の『知ってはならなかった嗜好』を知ってしまった今となっては今後どう対応をしていいか判らない!まずい…まずいぞおお~?
「⦅あのーさあ?お2人さん?お互いの事を知り合うってそんなに悪い事なの?⦆」
「⦅それは当然でしょうが!ましてや僕の“
「⦅それは私も同じよぉ…まさか同じゲームをプレイしているフレンドに知り合いがいるだなんて……⦆」
「⦅そうかなあ?私んとこでは逆に知られたくない秘密を知った仲は同じ秘密を共有する者同士その繋がりを強固にしたもんだったが―――⦆」
「⦅え?ヒルダさんの処でも?⦆」
「⦅『ヒルダ』…って、やっぱりその美人のエルフは健くんの処に転がり込んで来たって言う女子生徒の事よね、(…)ねえ健くん今はこう言う状況だから話して貰えない、詳しい事…⦆」
ヒルダさんの余計なひと言が波紋を呼び、今や瑠偉ちゃんにもどうしてこうなったかの経緯を詳しく話さざるを得なくなった、とは言えいくら僕でもまだ半信半疑、まあ人間離れした風貌(耳が長いとか、やたら美形に整っているとか…)を何とか誤魔化すようにはしてるけれども、事情の一切を知らない幼馴染みが……
「⦅ええ~っ?!ひ、『ヒルデガルド』さんて、元々はこことは異なる世界のエルフの王国のお后様~!?すっごぉい…それでしかも現役の冒険者だなんて―――⦆」
あっさりと、信じてしまった―――てか、えええ~?!
「⦅ふっふっふ、私もこのゲームをやり始めた時『チュートリアル』?で盗賊を狩る(※『討伐』ですので念の為)てのがあったジャン?ケドサアーーー私にしてみれば暇つぶしン時の“日課”のようなもんだったからお茶の子さいさいだったワケよぉ、しかも私の暴れっぷりから
お、おぉぅ…まさかここに来て王后様の武勇譚を聞かされる羽目になるとは、しかも“その話し”聞いてたけどさあ?え?国の収益の4割が『(盗賊からの)強奪品』?エルフの王国が…そんな盗賊みたいなことしてていいのか?
「⦅す…すごい―――えっ?けどエルフって華やかにして
「⦅ン?
「⦅へええ~~それで―――それでそれで?それでどうなったの?!⦆」
えっと…あの……瑠偉さん?なんなの―――この喰い付き様!
「⦅ちょ…ちょっと高坂さん、一旦待とう、というより落ち着いて?なんでさあ…エグいエピソード話してるのに異様に喰い付いてんの?⦆」
「⦅へっ?(…)あっ―――わ、私ったらつい…け、けれどヒルデガルドさんの武勇譚聞いている内にそのお話しは是非にとも聞いておかなくちゃ―――と思ってて…⦆」
「⦅(ン?)瑠偉…さん?⦆」
「⦅そーの前にさあー嫁ちゃん、『ヒルデガルドさん』なんて
「⦅そう…ですか―――それだったら、健くんも私の事を『瑠偉さん』だなんて呼ばないでほしいな、だって
いや、僕が『
「⦅それに―――ね、もうここまでバレちゃったから健くんに隠しても仕方がないんだけれど、実は私…そのぅ…ネットの『投稿サイト』に作品をアップしててね?その作品て言うのが~~~ちょーっと異世界テイストを混じりあわせた『二次創作モノ』でして…⦆」
「⦅(ン?)ちなみに…その時の
“彼女”には、もう一つの『闇』があった―――僕も最近では『投稿サイト』にアップロードしている作品に目を通している、その中で割と『エロ』が多めで写実的な表現が
「⦅えええ~っとぉ…ペ、
『
「⦅瑠偉ちゃんだったなんてえぇぇ…僕はこの先、君の前でどんな顔をしていけばいいんだぁぁ~~~⦆」
「⦅え?そんなん別に今まで通りでいいんじゃね?⦆」
「⦅そう言う訳にはいかないだろぉぉ!だって瑠偉ちゃんは僕と違って社会的にも立場が違う!⦆」
「⦅そうよ!私もなるべくなら私の“闇”は健くんには知られたくなかった…だってそうでしょう?誰も好き好んでこんな『ぬるぬるぐちょぐちょ』が好きなヘンタイ腐女子なんて好きにならないもの!⦆」
えっ?“これ”ってそう言う話しでしたっけ?
「⦅あの、高坂さん?⦆」
「⦅もぉぉぉまたそう言う呼び方をするぅ!どうして昔の様に『瑠偉ちゃん』て呼んでくれないのよバカ健闘!折角あなたと同じになれるように『エロ』な事を知ろうとした―――けど知ろうとすればするだけのめりこんじゃってえ~~気が付けば抜けられない羽目に…⦆」
『沼』に
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
この世に
そんな僕が、どうして高校に行くことになったのか―――それは単純な理由だ、今日び高校も出ないで就職するのは“キツい”からだ、高校程度の学力があってようやく一人前に数えられる、それに中卒よりか高卒の方が給料がいいのは決まった事だ、慾を言えば大学まで進学して形の上だけでも大卒と為ればまた違ってくると言うのは自明の理と言うヤツだろう、だけど僕は大学まで行こうとは思っていない、不謹慎な事を言えばこんな高校生活なんかさっさと終わればいいのに―――とさえ思ってしまっている、しかし高校には『留年』がある、僕の家庭は自慢できるほど裕福じゃない、両親は共働きでしかも夜遅くでしか戻ってこない、そんな家庭環境を考えれば『留年』できる余裕なんてないなんて判るものだろう、だけど……そんな僕だけど学校には行きたくない、行けば必ずイジメのターゲットにされるのは判っていた事だから…だから適当に出席日数稼いで赤点を取りさえしなければ順当に卒業は出来る、だとしたら普段はどうしていたのか、それが『オタク』だったのだ。
特に中学校頃から放映されている『アニメ』なんぞに影響された僕は、やがて『ゲーム』に関しても同じくらいにのめり込むようになり―――そして『インターネット』…そして『ネットゲーム』へとエスカレートして行ったのである、そんな僕を唯一心配してくれていたのが幼馴染みである高坂瑠偉だったのだったが……まさか―――まさか、高坂瑠偉よお前もか!
「⦅ふうーむなるほど…そう言うことじゃったか、でも概ね大丈夫じゃろ⦆」
「⦅なんでそう言う事が言えるんですかああーーーてかなんでまた長老的なキャラ?⦆」
「⦅先程からお前達2人の話しをようく聞いてて判った、要はお前達が抱えておる“
「⦅そう…なんですけれども―――この健くんよりエロくなってしまった私の事を、健くんが…⦆」
「⦅だから大丈夫なんじゃね?⦆」
「⦅だから何を根拠に―――⦆」
「⦅だってケント、嫁ちゃんの事好きじゃろに⦆」
「⦅は!⦆」 「⦅へえ?⦆」
「⦅ち…ちょっと?ヒルダさん、あんた言うに
「⦅んじゃ嫌いなの?⦆」
「⦅そんなワケないでしょぉぉ~!瑠偉ちゃんは今までこんな僕にでも寄り添って来た、だから僕が瑠偉ちゃんの事嫌いだなんて―――⦆」
え?え?え?え?え?え?え?え?え?ナニコレ告白?!そ、そりゃ私も満更じゃないけど……
「⦅ハーイ、じゃこれで万事解決だわね、さあーて式の日取りはいつにするべえかなあ⦆」
「⦅ちょっと待ってヒルダさん、さすがに気が早くない?いきなり『(結婚)式』だなんて―――⦆」
「⦅のうケントよ…悪い事は言わん、嫁ちゃんの様な優良物件放っといたらどこぞの馬の骨にすぐさま
言っている事は判る…言っている事は、判る―――にしても…僕達まだ未成年なんだよ!法律上でも許可されていないの!それに『好き』だけで結婚するなんて現実的じやないし……てか、アレ?瑠偉ちゃん…満更でもなさそうな?
「⦅あの…高さ―――瑠偉ちゃん?⦆」
「⦅ひょへっ?ひょわわわ―――な、なんでしょお?⦆」
判るくらいに顔を真っ赤にし、デレちゃってる幼馴染み…しかもその“
「お、落ち着いた?瑠偉ちゃん」
「え…ええ、まあ、ね……」
「それよりヒルダさんちょっとそこに座って下さい」
「ん?さっきから座ってるだろう」
「屁理屈言わない!大体ヒルダさんが変な事を言うから僕も瑠偉ちゃんも変に緊張しちゃったじゃない」
「ん~?ケド―――私には判らんなあ?『好き』を『好き』と言うのがそんなにいけない事なのか?」
「物事には順序ってものがあるでしょうが!大体瑠偉ちゃんの事は幼い頃から知ってるけど『手つなぎデート』した事もないのに、それなのに急に『結婚式』まで決められちゃったらそりゃもう―――!」
「(…)なあ、ケントに嫁ちゃん、大体なんで私達が結婚するのか判ってるのか?」
「え?そんなの『円満な家庭』を築き『可愛い子供』を育て『穏やかな老後』を共に暮していく…」
「ふーん
「あっ、それは聞いたことある、それに現在の日本では『少子化』って言うのが深刻になってるじゃない」
「そう、だね…そう、だけど―――それとこれと、僕と瑠偉ちゃんとどう関係があるの」
「大いに関係あるに決まっておろうがあ!子作りに励めや
『1人、2人』の
「け、けど、まあ…言いたい事は判るよ、ヒルダさんも僕達の事を見ていてもどかしかったんだろうし、さ…」
「そ~うだよおー?私から見てて『えっ、これで
「(ヒルダさんヨダレ、ヨダレ…本当にこう言うの見させられるとこの人『エルフ』じゃなくて『エロフ』って言うか…)」
「それより…私と健くんがくっつかないとしてあなたが健くんと―――どうしようって言うんですか…」
「ん~?そんなん決まってんだろ、まあ、あわよくば元の世界に帰れたとしてケントとの子供は連れて帰るよ、しかも私とデキたら1人や2人じゃ済まさないぜえ~?それこそ―――」
「『9人や11人』ですか…判りました、それに今日はとっても有意義な時間をわざわざありがとうございます、私も健くんからはっきりとした告白頂いたので譲るわけにも参りませんからね」
ん?瑠偉さんがなんだかとってもヤル気になっているというか?ま、まあそれに僕もヒルダさんから
「フフフ…そうか、ならば来るがよい
それより…あの、僕達一応PTですよね?何で敵味方に分かれちゃってんのお~?PTだから一致団結、協力しないとダメなんだよお~?それをどおおーーーして…
「言われるまでもない事…あなたの様な悪い人に健くんは任せておけません!ならば…この私が解放するまで、さあ健くん…私と一緒に更なる高みに臨みましょう!『プルス・ウルトラ』!」
なにやら2人の間で激しい応酬が始まってしまった、しかもこれ…『厨二』じゃん!過ぎるよ2人とも―――『厨二』がぁ!僕もまあ…『オタク』に浸っていた時には『
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とまあ、そんな事があり、その日はロクにプレイなどせずにログ・オフをしました―――しました…は、いいんですが、日が明けた“今日”―――どうかと言うと…
「(ヒルダさんは相変わらずだったけど、問題は瑠偉ちゃんだよな…あの時は
僕は瑠偉ちゃんと会うなり挨拶をしたけれども、向うは目も合さずそそくさと立ち去って行った―――けどこれは『嫌われた』サインではない事は判った、判ったはいいのだが…
健くんが建てていた
「(は…はじゅかしぃぃ~!ヒルダさんとつい競り合っちゃって、つい私も返しで『厨二』全開にしちゃたあ~~し、しかも現在進行形で『投稿サイト』にアップしてる作品て丁度あんなのなのよね…作品を作っている目としては、なんか、こう…『グッ』とくるけど、冷静になってみれば……健くんと顔を合すにしてもどう言う顔をしていいやら―――)」
で、登校したら“ばったり”と会っちゃいまして…それで逃げるようにしてしまったんですぅぅ~~~!あアン!バカバカ―――私のバカぁ~!折角昨日(形はどうであれ)告白をしてくれた意中の男子の挨拶を無視(した形に)しちゃうなんてえ~~!今日も―――健くん…あのゲームにログ・インするだろうなあ…よし、その時に今の事は詫びよう、それで昨日の事に触れて来なかったらそのままにしちゃいましょう?
僕の『幼馴染み』“様”である『高坂瑠偉』が、ネットでも有名な『投稿サイト』に作品をアップしている作家である事はこの
“バリバリ”の全開であの時のヒルダさんとのやり取りもちょっぴり盛った感じにしてて――――非常に良かったです。(あ、ちなみに『いいね』100回はポチりました、
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