第5話 僕のイマジナリーフレンド様“変色”する。
以前までは僕の事をイジメていた連中がいた、けれどもそうした連中は(訳あって)僕の家に同居している『ヒルデガルド』―――さん…に、逆に目を付けられて大人しくさせられてしまいました、そうした事であの3人も僕の事をイジメなくなったか―――と言われれば、そうでなかったりするわけで…
「よぉよぉーーー健闘ォ~あいつ一体何なん?」 「あの
「よおよお、
「(ヒいっ!)ひ―――ヒルダの姐さん!」 「なんだなんだあ~?私のケントを囲んで何しようってんだあ。」 「い、いえ―――お、おれ達は健闘と仲良くしようってんですよォ…な、そうだよな!」 「ま、それならいいけど、間違えてうちのケントに何かあったら―――タダじゃすまさんけえのお。」
ヒルダさんがこっちに来て判ったことが一つだけある……この人、自分の事『王后』なんて言ってるけれど絶対『ヤクザの大親分』でしょ!だって、王侯貴族とかあんな
だが―――しかし…
その日の下校時、こんな事が―――瑠偉ちゃんは剣道部の活動があるから一緒に帰れないとはしても、ヒルダさんは僕の家に同居している―――と言う事から一緒に帰ろうとしていた処…
「手前ぇが最近転入してきたヒルダ―――っちゅう
僕達の学年の…僕のクラスにいるあの3人より
―――なんて思ってましたら?
不思議と向うは何もしてきませんでした…と言うより、これ完全な『
「(はああ~~…)なあに?私これからやんなきゃいけない事あるんだけど?あんたらからぁー突っかかって来て、何もせんのんじゃ時間の無駄遣いさせられとるっちゅうことじゃわいのう。」
明らかに…イラついた言動―――なんか、まずい事でも起こりそうな予感……
「こっ、この度は申し訳ありませんでしたあ!う、うちの総長も反省してるって事で、ここはどうかおひとつぅぅ~~~…」
「(え?)どうなってんの?というか…どう言う事?」 「んん~?なんか知らんけどさ、今こいつが言ってる『総長』?てのがこの学校シメてるヤツなんだって、でさあケントに因縁つけてたあの3バカいたじゃあーーーん、その内の緑の頭したヤツいたっしょ?どうやらそいつが『総長』とやらの弟―――だったみたいなのよお。 ん、で、可愛い弟を嬲られたお兄ちゃんにしてみたらそいつを見つけ出してお礼参りしたかったんだと―――さ、だーけど知っちゃったんだわ~~私、“
―――うん…僕が間違ってた、この人『ヤクザの大親分』でもなかったあ!この人『大魔王』じゃん!『
「ま、反省してるって言うなら判るよ、反省してるって言うなら。 まあーーー
ん?この調子で“まるく”なった方なの?だとしたらヒルダさんの若い頃―――つて、どんだけトンガッてたんだよ!
「まあ、よろしい―――本来なら本人が出て来て土下座するんが筋だけど…今回はあんたの
「はっ、はいっ!ありがとうござ―――」「たあーだあーし、ケントやそれに連なる者に危害加えた場合―――判っちょるよのう?私ゃあー二度も言うてあげるほど人間は出来ちょらへんでえ?言うといたるけどなあーーーケントやそれに連なる者に危害を加えたなら、その時点で潰す。 そうした話しが私の耳に届いた時点でも、即座に潰す。 今回は私らを待ち伏せて奇襲を仕掛けようと思うちょったらしいけど、そいつを事前に察せられて潰されたんよのう?もう理解っとるやろ―――魔力を使えんあんたらにしてみたら、魔力使える私はあんたらの企みなんざ事前に知れて、それで潰せることが出来る…よう言うとき、今後は一切変な事は考えずに、真っ当に人生歩め―――つうて、な。」
そう言えば聞いた事がある…“闇”を消し去る為には“光”ではなく“闇”のみが為せれるのだと、確かにゲームやアニメの設定では“闇”に対抗する為には“光”ではないといけない―――と言うのはテッパンだけど、ある考えとすれば“光”は“闇”を色濃くするとも言われている…だとするなら、“闇”を消し去る為にはどうすればいいか、それは更なる強大な“闇”のみがその“闇”を呑み込めるのだ…と。
それにヒルダさんは言っていた―――彼女の王国に巣食う不正貴族達を自分一人が相手をしていると…この事を僕が最初に聞いた時、ヒルダさんが“光”―――つまりは聖なる存在だと思ってしまったのだ、だが実はそうではなくヒルダさん自身がとんでもない“悪”だったとしたら……それならそれで
僕の知る、僕の国の代表言うのは色々と周囲に気を使って自分の意見を言わない―――そうした優柔不断な人だと思っている、そこへ行くとヒルダさんは強く濃いくらいに自分の意見を―――主張をしてくる、それらが総て正しいとは思えないけれども、僕から見てみればヒルダさんは自分に課せられた役目と言うものをしっかりと果たしていると見えたのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そんな―――ある日の事、僕は―――驚愕した……驚愕、するしかなかった……。 それというのも―――
「(ン?)ヒルダ…さん?なんだかーーー変わってなくない?」 「ん~?私のぉーーーなあにが変わってるってえ~?」
「(いや、変わってるでしょう!)ヒルダさんはさあ……エルフ、だよね?」 「ダーヨネー。」
「『エルフ』って…僕らのイメージでは色白だったんだけどさあ……」 「うィーす、やりらふぃ~☆ え、なんだってえー?」
「今のヒルダさんて明らかに“色黒”だよねえ?!え?いつから?いつからヒルダさんは『エルフ』から『ダークエルフ』に種属チェンジしちゃったの?!しかもなんだか口調も『ギャル風』になっちゃってるし!」 「あーこれえ~?キヤハハいやそれがさあ、『みっちょん』てヤツと気が合ってさ、んでそのみっちょんから色々
今、ヒルダさんが言ってた『みっちょん』て、『
「なあーなあーケントぉーーーなにサゲちゃってんのよおーバリバリテンションアゲてこーぜいっ!☆」 「僕さあ…そんな“陽キャ”なキャラ苦手なんだよ―――以前僕の事をいじめていた三人組いただろ…?そいつらと同じ様に“陽キャ”なギャルも苦手なんだよおぉ~!」 「えーでもおーーーみっちょんいいヤツだよお?そりゃケントからしたら苦手かもしんないけどさあーーー他人を外見で決めつけてもいいもんじゃないと私は思うワケよおー。」
確かに―――言っている事は判る…他人を外見で判断するのは良くない事だと、けど―――けど僕は知っている!僕はギャルの他人の領域などお構いなしにずけずけと侵入してくるのが怖いんだああーーー!
「ねえーねえーがるどっちぃーそいつ誰ぇ?もしかしてがるどっちの“カレシ”ぃ~?キャハハハ☆」 「え?まあー一緒の家に住んではいるけど“カレシ”じゃねえよお?」 「えっ、がるどっちこいつと一緒に住んでんだあーウケルぅ~じゃあ同棲?」 「ンなんじゃあねえよぉみっちょーん、ちょーと私ワケありでさあ、棲むとこねーから居候させてもらってんだわ、ほらー私らみたいなか弱い婦女子が野宿しててみ?色んな『悪い虫』やら『野獣』やら寄って集って来て私らの純潔散らそうとすんだぜえー?」 「うへえーサーガール~★んじゃなにかあ?この冴えない男が、がるどっち匿ってあげてんだー中々の“をとこ”じゃあーン、キャハハハ☆」 「みっちょーん、『この冴えない男』じやなくて、『ケント』―――親しい中にも礼儀っつうもんがあるだろう、ま今回は許したげるけど次ゆったら許してやんないかんね。」
出たな!『三橋京子』……もはや“絶滅種”とさえ言われた『今世紀最後のギャル』―――性格は底抜けに明るく、制服も
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「(はあぁ~…)なんだか疲れたあ~それよりヒルダさんその肌の色塗ってんの?それとも―――」 「ン~?なんかーーー『陽サロ』?て言うのをみっちょんから紹介されてさあー、焼いた。」 「(焼いて、その色なんですか…)それにしてもホント、ヒルダさん『ダークエルフ』になっちゃったよ。」 「そーそー、そう言えば思い出したわあー、丁度私が以前までいた世界にな、私が后になってた国の『隣国』が丁度『ダークエルフの王国』だったんよー。」 「(…)へええ……それで?その国とはどう言った関係だったの?」 「なんだあ?ケント、興味持っちゃったってワケえ?」 「興味は、あるよ―――だって僕そう言った
うわーーーこの人こう見えて実は“
「まー今は
い、いい―――の、か?なんだか軽々しく神様引き合いに出しちゃってるけど…それに僕は以前の―――ヒルダさんの事なんか知っちゃいない、今は
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
それとはまた、別の話しで―――
「うわっ!どうしたの健くん、どうして健くんちにギャルが?」 「あ、あのーーー高坂さん、これには深い事情が……」 「ギャーッハハハ!ウ・ケ・るぅ~☆ケントの嫁も私が“色黒”なっちゃってビックらこいたあ~?」 「ビックら…そりゃするでしょう、だって私あなたのことは“色白”な
「は?」「え?」
「ん?なに―――」 「そのお話し…初めて聞きます。」 「『その話し』って―――娘が一人いる事?あれ?前に言わなかったっけかなあ?」
「僕は―――初めて聞きます…。」「わ、私も…」
「そっかあ~んじゃ私、ウッカリさんしてたんだーちょーウケる☆ それじゃ、まあーーー娘が出来た経緯など話してしんぜよう…あれは、私が夫と結婚して50年過ぎた頃の事でした、いくら長命とはいえここら辺で子供の一人となりとも作っとかなければいかんかなあーと言う使命感の下に、嫌がる夫に無理矢理乗っかり出来た子供が娘でした―――終わり。」
ちょっと、待ってえ?なんだか色々ツッコみ所がありそうなエピソードだったけど、取り敢えず言わせて?『軽っる!』娘さんを作ろうとした動機もそうだけど、旦那さん嫌がるのに乗っかっちゃうなんて―――それって最早『逆レイプ』だよ?あわよくば『性犯罪』だよ?それにそんなんで子供を作っちゃって問題無い訳ぇ?
「あの…ひとつご質問が―――いいですか?」 「ん、なんだね―――嫁ちゃん。」 「『瑠偉』、私『高坂瑠偉』と言う名前ですので以後はそう呼んでください。」 「んっ、承知した―――では、ならば以降は私の事も『ヒルデガルド』とそう呼んでもらう事にしよう…で、質問とはなんじゃね?」 「ヒルダさんのお話しを聞いていると無理矢理に子供を作ったと聞こえるんですが、ならば出来た子供は幸せだったのかと―――」 「『幸せ』?だったんじゃない、まあ私はあの子本人じゃないからさ、あの子が幸せだったかどうかは判らないよ、だけど…可愛かったよ―――産みの苦しみもあったけど、いざそう言うのを乗り越えて産んだらそれはもう愛おしくてね、その時には思ったもんだよ…『私はこの子の為に頑張らなきゃいけない』ってね、母親とはそういうもん―――だろうと私は思ってる、とは言っても母親としては1年生も同然なんだから『何を偉そうに』って事はあるんだけどね。」
ここでひょんな事からヒルダさんの『母親』としての顔が出て来た、いつもは軽めの言動で僕達をやきもきさせている彼女なんだけど、娘さんを産んだ―――まあ…経緯は置いておくとして、産んだら産んだらで可愛がっている、我が日本ではここ最近少子化の問題がニュースなどでスポットを浴びる事があるけれど、これは一時期に対して子供を産む率が下がってきている―――そうした一面もある中で若い母親が『親』となる認識のないままに子供を産んでしまって子育てを放棄する―――子供はまだ自分の確立のないままに日々を過ごしていくから割と我が儘に育って行き、好きな時に泣くし、好きな時に寝るし、好きな時に食べるし好き嫌いもある、お行儀なんてしないし夜中に泣いたりするし…そうしたストレスが積み重なって若いお母さん方は心を病み、虐待をしたり食事や水を与えなかったり挙句は炎天下の中で狭い車の中に何時間と放置してしまえる、その結果折角産んだ自分の子供を殺してしまうのだ。(それに母親だけのケースを書いたけれど父親のケースもひどいものだ)
『大人に成る』―――って、何なんだろう…法律上では近年18歳から『成人』とは認められるようになったけれど、その成人を祝う『成人式』で新・成人達の横暴が目に余る、法律が改正される前までは『成人』でなければ『未成人』とか『未成年』と言う理由だけで割と狂悪犯罪者でも実名報道されてこなかった、だからと言ってこの度法律が改正されて18歳で『成人』となったとしても実名報道はされないし顔などもボカシを入れて報道する等制度の粗さが目立っている…世の中の偉い大人達はなにをしているんだ―――あんた達がしっかりしてくれないとこれから日本の未来を背負う僕達はどうしていけばいいんだ、けれど“ネクラ”で“オタク”で“引き篭もり”な僕が彼らの事を批判する資格などない、何も言わない…やらないのは加害者も同然なのだ。
しかし僕が真面目に悩んでいたとしても―――
「オイイイ~なにシケた顔してんだよーーーケント、あんたのそんな顔見てっちゃ私らまで辛気臭くなるってぇ。」 「い、痛い痛いよヒルダさん…何もそんなに小突かなくても―――」 「そうですよ、健くんはそうした理不尽な暴力が苦手なんです。」 「『暴力』~?はああ?なにゆってんだか―――私はケントとスキンシップしてるだけだしぃ。」 「それ…イジメる側の常套文句―――あの三バカも僕と『ジャレ合ってる』だの『スキンシップ図ってる』だの言ってくるけど内容としてはイジメなんだよ…それに先生達も親達の目があるから積極的に関与してこないし。」 「はあ~?なんだそりゃーこの世界の大人ってヤツぁ割りとクソだな。」
この現実世界は僕にとっては過酷な世界だ、僕を取り巻く環境もそうだし、合っているだなんて思っちゃいない…だから僕は
けれど……それは僕の―――僕だけの淡い期待、ネットは僕の
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