第4話 暴力的 エルフ(健在)

ここ最近の、普段通りにしている事として、私は不登校気味だった幼馴染みを登校させる為に彼の家へと迎えに行っていたのだけれど、とある日に私が迎えに行ったところ幼馴染みの部屋には全裸の美女が立ちはだかったていたのだった。 普通ならこんな非常識的な出来事は警察にでも通報すべきなのだろうけれど、なんとこの美女は不敬極まりない―――と思っていましたらあ?何と私の事を『ケントの嫁じゃん』だなんて…キャーーー私達まだそんな仲じゃありませんのに、そんな風に見られてるのでございますの事ね? 判りました―――ここはひとつ清濁せいだくあわむ形でみ込みましょう…け、けれどもまだ結婚には早いと思うんですのよぉ~結婚には♡

しかしこの美女はちょっと油断も隙も無いと思いました。 まあーーー私(達)の事を応援バックアップしてくれようとしているのは判るのよ、判るんだけど~~~どうもこの人そのやり方と言うのが……


「あっ、それよりもうこんな時間―――健くん早く支度しないと!」 「あ、ああ…そうだね。」 「これこれあんた達、どこへ行こうと言うのだね。」 「学校だよ学校―――折角瑠偉ちゃんが迎えに来てくれているって言うのに遅刻しちゃダメだろう?それより朝食…まあパンかじりながらでもいいか。」 「ふうーーーん学校なあ…それ私も行っていい?」 「行っていいもなにもヒルダさん姿が見えない事をいい事に来てただろう?」 「そりゃまあ、あの時は私の姿が視えないのをいい事にケントの後を尾行つけて行ったからだけどさあ……」 「(…)とうとう白状したね、ヒルダさん。 やっぱ僕の事を尾行つけてたんだ。」 「あっ!しまっ―――ちぃぃ…やりおるのうケントの癖に。」 「あの、さっきから何話しているの?『視えない』?『視えない』ってどう言う事なの…この人ハッキリ視えているんだけど?」 「ああっ、ああーーーこれはね!ちょっとした関係があ~~~」 「ふうーーーんそれじゃ説明して頂戴よ、それとも私にも話せない事なのかなあ?」


僕とヒルダさんとの関係を瑠璃ちゃんの前でするもんじゃなかったああーーー!今ではそんな後悔にさいなまれつつ、遅刻も差し迫っていたため登校しながらの説明となった。


「へええ~…ある朝突然目を醒ましたら見知らぬ美女が健くんの隣りにねえーーー」 「信じられないだろうけど信じて下さい…というか第一この僕でさえ信じられなかったんだからさ。 そりゃね、ラノベとかゲームやアニメとかでの設定で知ってはいたよ、けどもあの人の耳、長く尖ってたんだ。」 「その辺は私も聞いた事があるかな。 色白で金の長髪をなびかせ、魔力も豊富で森での戦闘を得意としている…」

「なんて言うか、意外だなあーーー瑠偉ちゃんがそんなファンタジーな事に詳しかったなんて…」 「(あ)あははは―――わ、私も中学まではそっち系のゲームをやり込んでた事もあるからね…だからちょっとは詳しいのよ。」


それは、本当に意外だった。 現実とはかけ離れた非現実な事だからと、他の皆は目を向けたがらないけれど…ここに『中学まで』とはしながらも僕と共通の話題が交わせるものだと知った―――だとしたらこれは機会だ、これを機会にしてもっと瑠偉ちゃんとそうした話しをしてみたい、そして行く行くは…


あ、あ……危なかったあ~~~ーーー。 つ、つい話しの雰囲気的に流されちゃって、『現在進行』な事を話しちゃったけど……バ、バレてないわよ―――ねえ?

そう、私こと高坂瑠偉は、他の人には知られていない秘密が―――そのに、現在進行でネットの作品投稿サイトに自分の作品をアップしているのだ。 まあ~人気があるかと言うと?そんな事は無い訳でして―――ま、まあ~~私が書いてる作品と言うのも、ほんのちょっと…ホントにほんのちょっと―――特殊なのでして…そんな作品を私の知ってる人に見られでもしたら、それもここ最近関係性が復活しちゃった健くんに見られでもしたらあああ!『この世から消えてなくなりたい』くらいの願望はあったりしたわけなのです。


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それはそれとして遅刻には間に合いました―――(よかったね)


遅刻には間に合ったのでそれはそれで善しとはしましょう―――けれどもよくはなかった…うん、よくはないよ、全然…

て、言うよりィ~~~! なんでどうして家で待っているはずのが、僕達より前に着いているのお~? いや、注目すべきはそこではない―――注目すべき点はそこではないのだ! なぜなら…


「キャッハハーーーでさあ~その時のケントの顔がケッサクたらないわけよお~。 おっ、お2人サンご案内~随分遅かったようだけど、ちゃんと愛を確かめ合っていたのかぁい。」(イケボ)


え…ええ~っとこれ、なんて理解していいの? 確かこの人私達が登校する為に家から出た時にはまだ家にいたわよねえ?それが何でどうして私達より先に学校にいるかなあ? いやそれよりも―――健くんから聞いた話しだと、異世界からこっちの世界に来たのはそう遠くない話し…なのに、ナニコレ?!まるで長い間この学校にいました的な雰囲気を漂わせて、しかもクラスの皆もこの人の事を怪しいとすら思っていない~?


「あの、ヒルダさん―――ちょっと話しがあるから来てもらえないかな…」 「ええ~?ウフン♡いいわよおう?だあれもいないとこでじぃーっくりと話し合おうじゃないかあ~ン♡」 「今はそう言うの良いですから!」 「はあーい、テヒッ☆怒られちったあ~。」


言いたい事、聞きたい事がこの短時間に出来てしまった―――うん、健くんの対応は間違ってはいない、私もついさっきこの人の事を知ったばかりで、どうやらこの人が異世界に存在するエルフなのだろう…と言う事は朧気おぼろげながらに判って来た。 けども、こんな人エルフじゃなあ~い!私の知ってるエルフって言うのは、清楚せいそにして貞淑ていしゅく…聖霊の流れをみ、その寿命は永遠に近いとまでされている、そしていつも―――ゴブリンやオークやオーガの標的にされてあられもない姿に凌辱されると言うう~。 キャアアーーー見てられないわ゛!けども見ちゃってる私がいるぅぅ~! そう―――つまり私が異世界設定とかに詳しいのはでもあったりするのです。 この事は…最低でも健くんに知られてはならない―――もし知られでもしたら私達の仲は終わりだわ!

ま、まあ私の諸事情はさておくとして…私はこのエルフをエルフと認めたくはなかったのです、清楚せいそさや貞淑ていしゅくさが(ある意味)武器売りのエルフは、もてあそばれてなんぼのもの―――けれどこのエルフは違う…どちらかと言えばこのエルフは自ら進んであられもない姿に凌辱されようとしているのだ!そんなの全然尊くない! だから私は言いたい―――自らけがされに行くようなエルフはエルフでないと!


それよりも、だ。 今一番健くんが聞きたいのはまずこの事だろう…


「あの…ヒルダさん正直に答えてもらえませんか。」 「何が聞きたいのかな?ケント。」 「色々ありますが、まずひとつにどうしてあなたが僕の教室にいるんです?あなた確か数週間前に僕のベッドにいましたよねえ?それがどうして僕の高校に?それと僕の教室にさも入学時からいたかというような振る舞いを?」


「フッ―――ぅ若いの、聞きたい事はそれだけかね?」


「だから他にも色々ありますってえ!例えばこの学校指定の制服をどうやって手に入れたんだと?それにヒルダさんこの学校に来てると言う事は試験を受けたんですか?この学校は生半可な学力じゃ入れない事で有名なんですよ―――…」

「ふうむ…それで総てかね?よろしいーーーではお答えしてあげやう。 その質問の答えはな、実はたった一つの言葉で解決できるのじゃよ…ぅ若いの。」

「何なんですか、そのキャラ設定は……それに、今の僕の質問の答えがたった一つに要約されると?」

「うむ、たった一つで事足りる…それはなあ『魔力』じゃよ。」

「『魔力』?『魔力』ってこの世のことわりじ曲げて自分の思うがままに出来てしまう―――現実世界社会に於いては有り得べからざる“力”の事……」

「お嬢さん…中々にその事にお詳しいようじゃな―――もう、そなたに教える事など何もない…そなたは異世界に於いてもきっと生き残っていけるじゃろう。」


その時僕は、耳を疑った―――……てか、えええーーー!どうしちゃったの?瑠偉ちゃん、あんた僕より詳しいんじゃないの?ボクでさえ『魔力』の解釈は曖昧あいまいだと言うのに…けれど驚くべき事はまだ他にあった。


「それにしても…私でもこの世界には『魔力』と言うのはとは思っても見ませんでした。 けれどあなたはそれを口にした―――と言う事は、んですよね?」

「フッ―――私がこの1週間、何もしないでいたと?そう言う事よ、私は姿を消したわけじゃない…この世界にかかわらずどの世界にも『魔力』と言うものは存在する―――私も転移をした当初はないものとして諦めかけていた…けれども、『諦めたらそこで世界終了ですよ』と、あるお偉い人は仰った…それに『諦めを放棄した時、人は人道を踏破する権利を与えられるのだ!』と仰った人もいた…そして私はつかんだ―――木曾の山麓(近所の山)に身を潜め…修業を積むこと幾星霜(ただひたすら龍脈を探していました)―――そして見つかった…『やはり魔力は存在したんだ!』と私は声高こわだかに宣言をし、私自身が内包する魔力に馴染ませるようにした…そう、私に必要なのは更なる力だ!この世界を更改こうかいさせてしまえる力さえあれば、私の前に立ち塞がる障害なんぞは意味をなさなくなる…」

「―――で、ここの校長を洗脳したわけですね。」

「フフン―――あのハゲちゃびん、私にかかればチョロいもんよお!」


そういう事かああ……(やっぱり) 色々説明してくれたみたいだけど、イロイロアウトだよヒルダさん…


「あのさあ…色々名言格言言ってるようだけれども“アウト”ですよヒルダさん。」 「えっ?どこが?」 「(どこが…って)それよりこの高校の校長先生洗脳したんですよね。 もうその時点でこの世界の法に触れちゃってます。」 「まあそんなカタい事言わんでえ~。 それに、なにも洗脳と言ったって相手を私の意のままにしようってなわけじゃないから。 まあ今回はケントや嫁ちゃんの“これから”を見守る為に必要だったわけなのだよ。」 「僕“達”の?」 「うむ、ケント―――あんたには女難じょなんの相が色濃く出ておる…今後は対女性関係には気を付けるがよいぞ。」


僕の“女難”て……それ絶対あんたヒルダさんか、あんたヒルダさん所為せいですよねぇ? しかし……困った事と言えば“視えなかった”ヒルダさんが“視える”ようになってしまった事だ、この人―――自分が視えないでいたのをいい事にやりたい放題だったからなあ…だから視えるようになった事で自粛というかあーーー自重というかあーーーそう言うの…してくれなさそうだなあ。 寧ろ自分が視えるようになってしまった事で行動力に拍車がかかるかもしれない―――…て、言うかこの人王族なんだよねえ?だったらもうちょっと大人しくしてるもんじゃないの?


しかし―――その僕の懸念ははかなくも崩れ去って行くのであった…


* * * * * * * * * * * * * * * * * * *


その日のお昼休憩時に、僕によく因縁をつけていた連中がまたしても……


「よおよお健闘ちゃあ~ん、今日は購買でオレンジジュースとハム玉子サンド買うてきてもらおっかなあ~?」 「じゃあオレはカレーパンでいいわ、あとミルクティーな。」 「んじゃ俺はカツサンドと……」


「もういやだ!僕は君達のお使いの為にこの高校に受かったんじゃないぞ!」


「おやおやおや~?今のは聞き違いかなあ~?お前いつからおれ達に命令できる立場になったんだあ?」 「こいつはちょいとしつけが必要だなあ~?」 「そうさなあ~見せしめとしてフルティンの刑に処してやろぉ~。」


僕が―――僕が反論してこなかったから、反抗してこなかったからこいつらは僕の事を完全に見下し、何かと僕に雑用を押し付けて来た―――それに今言ったように僕はこいつらの雑用の為にこの高校に入学したわけじゃない。 だとしても―――今まで反論・反抗してこなかった者が自分達に盾突いてきたわけだ、面白かろうはずがない…だから、こいつらの一人が言ったようにひどい目に遭わされてしまうのだろう、そしてそれは今後とも……


「おい、あんたらうちのケントになにしてくれてんの。」


今後ともその行為はエスカレートしていき、それは僕の幼馴染みの前に晒されてしまうのだろう。 そしてそれによって僕の不登校癖にも一層拍車がかかり―――としていた時に、丁度こいつらが僕に因縁を付けていた時に視えるようになったヒルダさんがあ?


「あ゛?誰だお前ぇ…」 「そう言や今日編入して来るヤツがいるって聞いたな…」 「ほお~う、じゃこの女子おんながそうだと? けどさあー彼女かのじょお~このダサ蔭キャ男におれ達が何しようが勝手じゃあ~ん?」


「ふうーーーん、そりゃ当然かなあ…だったらさあ、私があんたらをどうしようと文句は言わないって事だよねえ~?」


「ああ゛?このあまぁ~生意気な口効くじゃねえか、俺達に逆らったらどうなるか―――判ってんのかあ?」 「それにお前…同じ高校生徒は思えん肉付からだつきしてやがる、こいつはこの後おもいっきし判らせてやらねえとなあ!?」 「へっへっへ―――そうとなりゃおれ達のおもちゃ確定だな!」


僕―――だけにかかわらずヒルダさんにもひどい事をしようと考えている…僕ならいざ知らず知り合ってまだ1週間くらいしかたっていないヒルダさんにも―――と、僕は心配したものだったが、当のヒルダさんを見ると“ケロリ”とした表情もので…


「ふう~ん、つ・ま・り私の事を歓迎してくれるって事か―――イイネ、イイネ~私もまだこっちに来てそんなん経ってないからさあ、不案内なとこいっぱいあるわけよ。 …(GFFF…)」


『校舎裏で』と言うのはある意味こいつらの常套じょうとう手段だった、僕も最初の内は抵抗をしていてその度に呼び出されて殴る蹴るの暴行を加えられ、最終的にこいつらの言う事を聞かざるを得なくなったわけなんだけれど―――えっと…今聞き違いじゃなければんだよね?(しかもどことなく悪そうな笑みを浮かべて…)


ただ―――僕はこれ以上巻き込まれたくなくてヒルダさんについては行かなかった…


* * * * * * * * * * * * * * * * * * *


ついては行かなかったのだが―――その後瑠偉ちゃんからこんな事を聞かされた。


「ねえねえ健くん聞いた?今日転入してきたヒルデガルドって人、早速問題起こしちゃって職員室呼ばれたそうよ。」 「―――は?『ヒルデガルド』…ってヒルダさんの事だよね!でもなんで職員室…」 「なんでも、いつも健くんにちょっかいかけて来た三バカがいたじゃない、そいつらに―――」 「そいつらから暴行を受けたのか!?」 「ううん、そうじやなくてね、どっちかと言うと…逆かな。」 「(逆って…)あの3人を―――てわけか…」 「そう、それでね、運悪く先生に見つかっちゃって…『お前ら何してるんだ』て聞かれたら『やだなあ~先生、私らちょっとジャレてるとこなんすよお~だよなあ?おえら…』『は、は、はいい~~そ、その通りでしゅう~』なんてな事があったらしいんだけどね…とは言え、あの三バカを見たらそりゃもう明らかに暴力が振るわれたの判ったみたいでさ…」


やはりあの『悪そうな笑み』ってこう言う事だったんだ、それにしてもあの3人には学校の方も手を焼いてたって話しだし、これを機会に大人しくしてくれればいいんだけどなあ…


そして下校時、その事は延々聞かされたのでした。


「まあーったくあいつらも弱っちいのにケントに突っかかってきたのが運の尽きよ!んでもって私に対しても偉っそーな御託ごたく述べやがるから『ちょっとこれは今後の事もあるから理解わからせたろかいや』てな事になってねえ、で都合よくあいつらの方から手を出してくれた事で―――『はいー正当自己防衛成立~』てなワケで、反撃開始…あいつらの大ぶりな攻撃なんざよゆーで下段きっくかわせられるわけよ。 んで、相手棒立ちの処を入れぱんち連打してたらそのうちピョってきてさあ、そこからセットでコンボの練習したって訳よ。」


な…なんかおかしな格闘ゲーネタで解説されてもなあ、しかしそれはそれ、ヒルダさんには色々と聞かなければならない事があるのだ。


「あのーーー瑠偉ちゃんからも聞いたんだけど、あいつらボコボコにしてるところを先生に見られて職員室に行ったんだって?しかもヒルダさん今日転入してきたって話しだよね?いいの、こんな問題起こしちゃって…」 「はっはっは!心配してくれると言うのだね?若人わこうどよ。 しかしそんな事は無用…前いた世界ではこんな事しょっちゅうだったしね。」 「(しょっ…ちゅうって)な、何があったって言うんですか。」「ん~?だって王族わたしたちのやってる事に反して私腹を肥やしてる不正貴族からしたら私の存在なんて邪魔でしかない訳よぉ、だあ~ったらあ?そう言うヤツ等はどうして来ると思うね、ケントくん。」 「え…っ、ええーーーっと、じゃ、邪魔者は、せ?」 「だがしかあ~し、暗殺者如きにられる私ではないわあ~!悉く返り討ちにしてやって暗殺者を雇ったヤツの家の門前に熨斗のしをつけて返品しといてあげました。」(ニュフフフ♡)


図らずも、王后の武勇譚を聞かされる羽目になるとは―――それに、暗殺者…ってことは武器を携えてて、その武器には毒とかが念入りに塗られてるって事だよね、そんな者達を全員返り討ち―――って…


「あの、ちなみにヒルダさんも武器使いました…よ、ね?」 「ん?私やそんなことはしないよ?だってえ~この生命を狙いに来る連中も、いわば私の子供達と一緒…母親ってのはね、どんなにか憎かろうが子供に対しては甘いものなのよ。」 「(ん、んーーー)でもそれって素手って事です?」 「フッ、そうした方が遠慮なくぶちかませるじゃないかあー!」


うーわ…武闘派エルフここにあり―――って感じの人だな、この人の主張ちょっと聞いた処でいいものだと錯覚する処はあるけれど、基本この人は血の気が多い―――う~ん…やっばし僕が知ってるエルフとは…ああいや、だいぶ違うかなあーーーこりゃ。


それともう一つ気になったことがあって聞いた処―――


「あとそう言えば、これも瑠偉ちゃんから聞いたんだけど……なに?『ヒルデガルド』って、自分の正体隠す気ないんですか?」 「その事ね、まあ確かに私の名は『ヒルデガルド』だ、ケントの住むここ…日本ではまず見られない名前―――だけどこの国にはケントや嫁ちゃんみたいな日本人だけじゃないでしょ? つまりは外国籍の人達も…だからそう言うのを利用して本名を名乗ってるってワケよ。」 「なるほど…そう言う理由だったんですね、それにしてもよく不思議がられ……あ、もしかしてその時洗脳使ったなあ?」 「ふふふ―――よくぞ気づいた!あのハゲちゃびんもそこんところに気づきそうだったから『ヒルダさん怪光線かいこうせええーーーん』を浴びさせて怪しまさせずにしたものさ、ふっ…仕事の後の一杯が旨そうだづぇ。」


ツッコミどころが満載まんさい―――と言うべきか、えっとヒルダさん、ヒルダさんこれから僕達と同じ高校に通うんだよね? という事は現在のヒルダさんの身分は『高校生』…あのね、知らないだろうから教えてあげるけれど、お酒アルコールは未成年―――それも高校生はダメだからね!?しかもぉ…ハゲちゃびん―――校長先生に向かって何やら怪しい光線放つのもダメだからね??


ただ、彼女の行く処―――向かう処『普通ではないただではすまない』てことは、この後よく知れてしまう事だったのです。





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