第3話 どうやら“エロ”フが降臨してしまったみたいです
今現在私は以前いた世界とは異なる世界に身を置いている―――そしてこれまでで私が実感出来ている事、それは…
「(もしかしてこの世界って魔力がないのか?)」
何度も言うようだが以前までいた世界は、いわゆるところの『剣と魔法』が主体だった世界だ、そう―――以前いた世界では『魔力』が存在していたのだ、それがケントの世界に転移して来てまだ2日だけれども…どうやらこの世界には魔力は存在していないみたいだった。 これはちょっと困ったことになったなあー、それと言うのも私の事はケントと初対面をした時に判る事なのだが、エルフ“
てなわけでして、私には時間が必要なのだ―――それも考える時間が…だから、さっきケントから『構わないでくれ!』と、ちびしい~事を言われちゃったけれども私にしてみればこれはまたとない機会だと、そう捉える事にしたのだ。
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そして僕は、
は、あ…それよりも家に帰ったとして彼女は果たして家にいるのだろうか、こんな僕を見放していなくなっているのかもしれない―――僕以外に視えていないとは言え、折角できた僕のイマジナリーフレンドなのに…僕の方から
そして僕は帰宅した―――そしたら案の定…
僕の部屋の、僕の机の上には一片の紙切れが置いてあった。 なんて綴ってあるのか判らない―――でもこれって、異世界の言語なんだろうなあ…もしかするとエルフ語なのかもしれない、けれど判らなくても判った気がしてきた、『探さないでください』―――たぶん、そういう意味で書かれてあったんだろうと思う…そりゃそうだろう、僕の為を思ってしてくれたことなのに僕の方から『必要ない』と言ってしまった様なもんだから…だから僕は次の日が来ても学校に登校しなかったのだ。
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今日も休み―――これって絶対あの時の事が関係しているわね。 私はハッキリ言って彼の事が心配だ、一緒の高校になって休みがちになった時、無理矢理にでも登校させようと私が迎えに行ったこともあるけれど、やはりと言うべきか無理矢理登校させてしまうと決まって途中で帰宅をしてしまう、これはやはり彼自身の意志でもって登校をしてもらわないとダメだと思い待つようにしたのだけど…
そんな彼が久々に登校をした―――けれどもすぐ早々に彼の事をイジメのターゲットにしているグループに目を付けられ早速にターゲットにされてしまった、私以外の他の皆は
それに……斯く言う私も―――
健くんの趣味の事を私は知っている、世にいう『オタク』的な
健くんも、もしかしたらこの現実世界に嫌気がさして異世界へと行っちゃうのかな―――それはちょっと哀しい…寂しい…だって健くんは、私の―――…
だとしたなら、健くんの異世界行きを阻止できるのは私しかいない、周りは健くんの敵だらけだけど私だけでも味方になってあげないと…だから私は早速翌日には行動に移したのだ。
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「お早うございまあーーーす。」
「あら、誰かと思えば瑠偉ちゃん、ちょっと待っててね。 健闘―――健闘―――瑠偉ちゃんがお迎えに来てるわよー!」
朝も早くから、母さんが僕を呼ぶ大声で僕は目を醒ました。 瑠偉…瑠偉がまた高校入学してから数週間も経たない内に不登校になった僕を無理矢理登校させる為に迎えに来たって言うのか―――そんな事をしても無駄なのになあ…そう思いつつ僕は
「こぉら健くん、いつまで寝てるの遅刻しちゃうぞッ。」 「(えっ)うわあああ!
お、幼馴染みとは言え―――女の子が僕の部屋に…『オタク』である僕の部屋に上がって、キタアア~! ど、どうしよう―――瑠偉ちゃんとは幼馴染みとは言え、目にしたら幻滅されるだろうなああ~~…それにもし、瑠偉ちゃんとも距離置かれたらさすがの僕でも生きていけない、それだけのモノがこの部屋には存在しているのだ!!
勢いとは言え、つい健くんの部屋に上がり込んじゃったけど―――私が最後に健くんの部屋に上がったのは小学校の低学年の時だ、しかもその時と今とでは明らかに趣味趣向は違ってきている。 それに―――まあ…私の方でも世にいう『オタク』の事は聞き及んで知っている、世間一般的に言われているのは、大抵の男性の『オタク』とはキモイとされていて、ではどうなにがキモイのかと言うと…ナニヤラ
「さあ、行くわよ学校に―――」 「え?へ?で、でも高坂さん…僕の部屋を見て何とも思わないの?」 「健くんの部屋を見て?うーーーん、健康的な一男児の部屋なんじゃないかなあ。 まあ私が見て特にどうと言う事はないわよ。」
あ、れ?僕の趣味ってまだスタンダードよりかはソフトなのかなあ? いや…でも……今、表に出てるのなんてほんの氷山の一角なんだよ? 僕の本当の“オタカラ”は別の処に隠してある―――なんて言えないよなあ…それに、幼馴染みの瑠偉ちゃんが『気にしない』と言ってくれたのだ、同じ世代の女子には相手にもされないと思っていた僕にとって高坂瑠偉とは最後の砦の様なものだったのだ―――だから、僕は……
だから僕は、その日は瑠偉ちゃんと一緒に学校に行くことにした。 けれど…行ったのは良かったんだけれど―――
「な゛っ…こっ、これは―――」 「……。」
教室に入ってみると、僕と瑠偉ちゃんの名前が巨大な相合傘で描かれていたのだ。 あいつら、あのまま大人しく引き下がってくれたと思っていたのに…まさかこんな手で仕返しをしてくるなんて…
「ゴメン―――高坂…さん。」 「何を、何に対して謝っているのか判らないけれど…陰険よねえ、まあ私達の仲を認めてくれると言うなら素直に受け止めておいてあげるわ。」「で、でも―――高坂さん…」 「それに私達は幼馴染、幼い頃には健くんから『将来結婚しよう!』なんて言われた事もあるわ、こんな事を描いたのは誰だか詮索はしたくないけど、私達の事を
ええええ、
それにしても、あいつらの嫌がらせにも似た行為を―――それを逆手にとっての意趣返しにしてしまうなんて、こんな子が僕の―――僕のおおおっ!
「おいおい、見てみろよ見せつけてくれんなあ~。」 「ちッ、あんなモブダサ男と付き合えるなんて―――案外男を見る目がないのかもなあ?」 「よおよお、そんなヤツ早々に乗り換えてオレにしちゃわなあ~い?」
「あ、あのおーーー高坂さん、あんなこと言われてるけど…」 「いいのよ、言わせておきなさい。 それにこれで晴れて公認になったわけだし、あの落書きには感謝しないとね。」
ガ…ガアールフレンド―――て事でいい、のかなあ~? それより瑠偉ちゃんて堂々としてると言うか―――敢えての批判的な事もそのまま受け流してしまえると言うか~~~
ど、ど、どおーーーしよ~う!あの落書き見た時流石に頭に来ちゃって、それが売り文句に買い文句になっちゃってあんな事をおおお~~ッ! な、なんかもう、健くんの顔まともに見れやしない…きっと今の私って顔真っ赤になってるんでしょうね、そ……それにい~~~あの幼かった頃の約束事なんて私達だけの秘密だったのにい~~ーーー
それを、キャーーー言っちゃったあ~
「あっ、あの―――こっ、この辺でいいよ…高坂さん。」 「そっ、そう、そう―――ね、じゃあまた明日迎えに行くからね。」
「う、うん。」 「あのっ、」 「うん?どうしたんだい。」 「私の事、『高坂さん』だなんて…昔みたいに名前で呼んでくれないの。」 「あっ、ああゴメン。」 「ううん、別に責めてるつもりじゃないから…」 「そう、だね―――判った、それじゃこれから前向きに考えてみるよ。」
『前向きに考えてみる』…かあーーー私としては『そうするよ』と言って欲しかったんだけどなあ~。 けれどまあ、小さくても大いなる一歩と捉えますか―――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
こうして―――“彼”と“彼女”との
そして―――この“
「フッフフフフ―――ハッハハハハ……アーーーーッハッハハハハア! 木曾の山麓に山籠もりをして早一週間…諦めかけた私だったがやはり存在していたのだ! 『I need more Power』…クックック、先人達は良い事を仰ったものだ…『諦めを拒絶した時、人は
『魔力』―――この現実世界に於いて有り得べからざるの力…世の
それにしても…時間をかけた割にはこれだけか―――とは言えまあ贅沢を言うのはよしとこう、まだ『ある』だけマシてな事で、ね。 そこで私は早速この『龍脈』発生地をマーキングしといて、『龍脈』の流れを私自身に向かわせるようにしたのだ。
これで…よし―――あとは体内に充足するのを待つだけだわね。
そして私は戻って来た! 一時はケントに怒られちゃって嫌われちゃったかも知んないけれど、私はそんなことは
(※そんなウサギみたいな事を言われても…)
まあ余計な茶々は無視しとくとしてえ…お邪魔しまあ~~~
クフフ、寝てる寝てる、にしてもまあなんて
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そして朝―――僕は目が覚めた…それも自然にではなくて眠りが浅くなった時にふと違和感を感じたからだ。 しかも頭も寝惚けててあまり“今”と言う状況を把握できていない―――う~~~ん…それに僕はいつも一人で寝ているからベッドで“もそもそ”と動いてる…ってことは?
「(ん…っ、んーーー……あれ?たしかこの耳って…)ヒル……ダ―――さ、ん?」 「んっ、オハヨー…」 「あのお…ちょっと、待って?なんでヒルダさんがここにいるの?僕と一緒に寝ているの?」 「ん~?アレえ~?書置きしてなかったあ…?『しばらく修行の旅に出ます、心配しないでください』つて。」
え゛――――なんだっ、てえ~!だったら僕の勘違い?! 僕は僕の暴言の
「そんなの初めて知ったよ―――てか
そう―――だっ、たん、だ…気にしていないと言うならひとまず安心かな、けども今後は言葉には気を付けようと思った、だって『親しき仲にも礼儀あり』て言うでしょ。
それより…いつも起きてた時間より早く起きちゃったなあ、かと言って二度寝も出来ないし……
しかし僕はある現実を受けられないでいた―――それというのも朝目覚めてみれば僕の前から姿を消したはずのヒルダさんが僕のベッドで一緒に寝ているし……いや、問題はそこじゃない、問題は―――そこじゃなかったんだ!だって肌色のパジャマなんて…存在しな―――
「あの…それよりヒルダさん?少し聞きたいんだけれどヒルダさんて寝る時どうしてるのかな?」 「んあ?寝る時?私ゃ寝る時は大概全裸―――」
やっぱそうなんかあーーー! 確かに僕もラノベの展開とかでそう言うのを目にしたことがあるけれど、創作物で目にするのと実際この眼で目にするのとでは訳が違う!しかもヒルダさんてば初めて会ってから早々僕がお風呂に入ってた時でも無断侵入してきた前科があるしい~!たっ、確かに大変素晴らしい
なあーーーんてな事を思ってる顔だなぁ?ありゃ…
フッフッフ、よいではないか、よいでわないか、健全たれよ
自分の身体に余程自信があるのか、彼女は全然―――全くと言っていいほど隠そうとはしなかった。 それを僕は両手で顔を覆い隠す事でしか抵抗できないでいたが…僕はある事を失念してしまっていた、ただ一つ、弁解の余地があるのならさせてほしい…あのさあ!普通に高校生生活を送ってて、全裸の美女(エルフ)が知らぬ間に僕の隣りで寝ているかあ~?そんな超絶ミステリアスな出来事なんて一生に一度あるか判らない、いやないと言い切っていいだろう!だけど現実としてはここにいる―――恥ずかしげもなく恥部を隠そうともしないでふんぞり返ってる美女(エルフ)が!
そんなこともあり、僕はすっかりと忘れてしまっていたのです―――え?何が…って? それは―――…
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「おはようございまあーーーす。」 「あら瑠偉ちゃん、悪いわねえいつもいつも…」 「いえ、でも健くんが学校に来てくれれば私のしてる事も無駄ではありませんからね。」
あの落書きの件から私と健くんとはお付き合いしている事になったみたいだ。 ま、まあーーー本来はここまでなるとは思ってみなかったけれども、結果オーライて感じよね。 それに登校する際私がお迎えに上がるのも常態化となって来た、本来ならもう私がお迎えに上がらなくても、健くんがイジメられる事はないから必要ないんだけれどね。
だけど―――…いつもの様にまだベッドで寝そべっているものと思い、いつもの様に健くんのお部屋にお邪魔をしてみたら…
「ヒルダさああ~ん、判り―――判りましたから、取り敢えず前を隠しましょうよう!」 「前にも言ったことがあるんだけれども…父母より与えられしこの身体―――どこの誰に見られようが恥ずかしい事はない、寧ろ私は私の身体に誇りを持っているのだあ~ッハッハハア!」
えっ―――これ、一体ナニ?
一糸纏わぬ
「ネエ…健クン?コノ女―――ダアレ?ナノ…」
「(はあ゛お゛うっ!)瑠っ―――高坂…さん!?」 「ん゛~?
「ネエ…健クンテバア―――コノ女、一体ダレナノヨ…」
「あ、あ゛っ―――ち、違うんだ!誤解…そう誤解なんだよ!高坂さん!」
「ゴカイ…ソウ言エバ健クン私ノコト、瑠偉チャンテ呼ンデクレルンジャナカッタノ?」
やっ―――ヤバイ…聞く耳を持ってない!それにこんな瑠偉ちゃん見たことない! それにしても状況は最悪だ…あの一件以来毎朝僕を迎えに来てくれている瑠偉ちゃんの事をすっかりと失念してただなんて…それもこれも、全裸で隠そうともしないヒルダさんが悪いんだああ~~っ!
「なあんだ、誰かと思ったらケントの嫁じゃん。」
え゛っ―――
「ヒルダさああん!あんたなんて事言ってるんだあ?ぼ、僕と瑠偉ちゃんとはまだ―――」
えっ―――
「私が健くんのお嫁さん?そそそそそそそんな、ま、まままままだ私達お付き合いしてそんな時間経ってないのに…」
「フッ―――お嬢さん…付き合った時間がどうだなんて…そんな些細な事言ってちゃいつまでたっても出来やしないぜ…(結婚が)」(イケボ)
な―――なんて
「そうよ、その通りだわ!だから健くんこれから私達結婚を前提としたお付き合いを始めましょう!」
「その前に……冷静になりましょう、高坂さん。」
「えっ、あっ―――わ、私ったらなんて事を…」
私が焚き付けてやったにも
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