第2話 僕の 幼馴染み “様”

ひょんな事からできてしまった、僕の視えない友達―――そう言えば昔読んだ二次創作のラノベにそう言う設定があったな…それが『イマジナリーフレンド』、幼少期(4・5歳前後)に視えると言う、その子しか見えない“お友達”、しかしその“お友達”は成長するに伴って視えなくなると言う。 そう―――その年頃は想像性にあふれ、妖精や人間の言葉を喋る小動物等が取り巻いているというのだ。


そんな僕にもイマジナリーフレンドが出来た…けれど僕は16歳、歴とした高校1年生だ、幼少期とは違って思考も思想も大人になり始めている僕に視えない友達が出来るなんて―――これって学校の連中が知りでもしたらまた僕の事を馬鹿にするんだろうな…


それに僕はここ最近不登校気味だ、“気味”って言う事は不登校が常習化じょうしゅうかしているんじゃなくて気が向いた時に学校へと行き、そこで何もなかったら下校時まで気配を消して学校にいるんだけれども、そんな僕を目聡めざとく見つけて馬鹿にしてくるヤツらがいる。 そいつらに見つかりでもして因縁を吹っかけられて来たら…すぐにフェードアウトしか―――ない。


「行ってきまあす―――」


何やらケントが、昨日とは違う服を着てどこかへと行くようだ。 ~にしても昨日にも増して暗い顔してんなあーーー。 仕方がない、この私が付いてってあげるか。

なあーーーんてなのは建前でして、本音からして言わせてもらうと…今までいた世界とは異なる別の世界―――興味あんだわあ~♪ まあ?異世界出身であるこの私に妙に理解力のあるケント―――けども昨日一日でケントとそのご両親に会って色々視させてもらいやんしたけど、どーも私の事を異世界出身者だと理解できているのは(今の処は)ケントしかいないと私はそう理解したのだ。


なあーーーらあーーーばあ~~~以外はどうなんじゃいと…そう思っちゃったりするのは世の常デスヨネエ~~~(グフィフィフィ)

な、ワケで―――ケントの後を尾行つけたのだ。


そして判った事と言えばあーーーフフフン…やっぱ思った通りね、誰も私の姿が視えている者はいない、自分の姿が視えていないと言う事は普通からしたら傷付く事なんだろうけれど、ほんの少し認識をずらしたらパッシブ《常時発動》で≪透明化インビジブル≫のスキルが発動してる―――って事だよなあ!そう…今の私は誰の目にも捉えられない“影”の様な存在、好き勝手しホウダーイ!なあーのだ。 そぉ~れにィ~ケントがこれから行く処も興味シンシンだすぃ~私の姿が視えない事をいい事に、普段のケントがどう言った生活を送っているのか―――見てみようとしましたが…


* * * * * * * * * * * * * * * * * * *


「よおよお誰かと思えば健闘様じゃないでぇーすかあ。」 「週に一度登校するなんざ良いご身分でいらっさるようですよなあ?」 「そぉーんな高貴なご身分でらっさる健闘様に早速の命令じゃあーーー購買行って焼きそばパン買うてこぉーーーい!」


また…始まった―――と言うより、登校して早々に嫌なヤツらに見つかってしまった。 あまり目立たないようにしていたのに、こうも早くに見つかってしまうなんて―――ツイてないったらないよなあ…仕方ない、HR《ホームルーム》終わったら早々に帰るか…。


認めたくはないけれど、これが僕の日常―――根暗でインキャラで他人との交流を苦手としているから、初登校早々にこう言ったグループに目を付けられてしまったのだ。 中学の時分じぶんにはに回避できていた―――ただ、それはまあ僕以上に目を付けられやすい生徒がいたからその子がターゲットになっていたわけなのだが、高校になるとそう言う訳にもいかなくなった、つまりはだ―――僕以上のターゲットになり易い生徒がいない…とは言え入学試験に受かり学費を両親から捻出ねんしゅつして貰っているのだ、入学早々退学するわけにも行かない、それに日本の高等学校のシステムでは一定以上の成績を収めるか…あと必要な出席日数を稼がないと留年するのだ、僕はそれでもいいとは思ったものだが留年してしまえばそれだけ両親の負担になりかねないし、第一に来年の新入生がこいつら以上の下衆ゲスじゃないとも限らない…だから僕は不承不承ふしょうぶしょうでもこいつらと一緒にいなくちゃならない。

それに―――…


「ちょっとあなた達、山本君に何をしてるの!」


「あぁあ~ン?なんだあーーー」 「げ、あいつ剣道部のマネジャーじゃねえか。」 「そう言やあ健闘のヤツの幼馴染みって言っていたなあ―――それより『何してる』ってえ?見りゃ判るじゃんかよお…俺達は健闘君とはご学友なんだずえぇえ~?ご学友と言やあこれから仲良く遊ぼうって言うのによぉ…」 「そうよそうよ―――それが何だあ?お前の言い方まあるで俺達が健闘をイジメてるって言うのかあ~?」

「あら、私には少なくともそう見えたんだけど―――違った?」 

「(ちっ)手前え…―――」 「言いがかりつけんなや!さもないと…」

「『さもないと』…私もどうにかするって話し?悪いけどもう先生にはこの事は話してるわ、『指導室』に行きたくないなら引き上げるべきね。」


彼女の名は―――『高坂瑠偉』、僕の幼馴染みだ。 根暗でオタクで引き篭もりにしてインキャな僕とは違い、底抜けに明るくて社交的、成績優秀にしてスポーツ万能…おまけに学年一のマドンナとくれば誰もが振り返らない理由がない魅力あふれる女子生徒なのだ。 それに…今のを見ても判る様に瑠偉はこんな僕でも気にかけてくれている、片や学年一のマドンナ―――片や不登校気味なインキャ…こんなにも釣り合いのとれない組み合わせはないと言った処だろう。 それに僕は瑠偉には相応しくない―――と言うのは僕自身が判っている事だ、下手に彼女と一緒にいるところを見られてまたイジメの対象になりたくないし、第一瑠偉に迷惑はかけられない……それが判っていたからこそ―――


「ねえ、大丈夫?健くん…」 「だ、大丈夫だよ―――。」


“彼”は変わってしまった―――私が知ってる健くんはこんなのじゃない…私と健くんは産まれた日も一緒で家も近所だったから産まれた時から幼馴染みと言っていい、それに私は知っている、今では私からかばわれてばかりいるけれども幼稚園の頃にはいじめられていた私をいつも健くんがかばってくれていたのだ。 それに―――小学校低学年までは一緒の剣道の道場に通っていた、その頃は腕前はほぼ互角で一緒に剣道をするのが楽しみで仕方がなかったけれども、いつしか健くんは道場には現れずにそのまま辞めてしまった…その理由を知りたかったけれどもそれ以外では私達は仲の好い幼馴染み同士だったから何も言わないでいたのに―――

それがいつの頃からだっただろう…私ばかりが一方的に話しかけても返す言葉は重たいまま、そして今も私の事を昔の様に『瑠偉ちゃん』じゃなくて『高坂さん』だなんて……どこか“彼”との距離を感じずにはいられない―――


* * * * * * * * * * * * * * * * * * *


それはそうとしてHR《ホームルーム》も終わり、そそくさと帰り支度じたくをしていた処に―――


「おお~やおやあ~?健闘ちゃあーん、もうお帰りでえ~ちゅかあ?」 「そ~りゃねえよなあー?これから俺達と遊ぶ予定なんだからさああーーー」 「そおーゆうーワケでえーーー取り敢えず手前えはコーシー牛乳買うてこいやあ!」


「や、止めてくれよ―――もう僕に構わないでくれえ~!」


「ああん?なんだとうーーー折角ボッチのお前にからんで遊んでやろうてのによう…。」 「おおよ、俺達もそれほど暇じゃねええんだづええ~?」


「暇じゃないんだったらいいじゃないか!もう僕に構わないでくれよ!」


「手前え―――さっきから聞いてりゃ俺達に『止めてくれ』だとお?手前えいつから俺達に命令できる立場になったんだ、よッと!」 「へっへへへーーー仕方ねえじゃねえか、何しろ『健闘』なんだからよおおッとい!」


「痛ッ―――痛ッ―――止めろぉぉ止めてよぉぉ…止めて下さいぃ…」


ご覧の様に―――僕が登校早々に帰宅しようと準備していたところを見つかってしまい、イヤな奴らにからまれてしまった、お蔭で帰宅する機会を見失い奴らは僕をあざけるだけあざけりだした、しかも僕の口調が気に入らないと見られた奴らの1人から“手”が出て…それを見ていた仲間がやがて“足”も出して来た、そんな痛がる僕を面白がってか奴らの行為はエスカレートするばかり…ああ―――だから学校なんて来たくはなかったんだよな…けれども行かなければ最低限の出席日数は足りないし、かと言って肉体的にも精神的にも苦痛を伴うのも嫌だし―――嗚呼…嗚呼……だったら僕はこれからどうしたら…


「ちょっとあなた達ったらまた―――」


「ちっ、まあた高坂か―――いつもいいとこで現れやがる…」 「それより『また』ってどう言う事かなあ~?お前の股でもおっぴろげてくれるのか、ああ?」


「なっ―――なにをおっ…(赤っ) それよりあなた達覚悟は出来ているんでしょうね。」


「はっ―――まあーた先生に言いつける気か?そういやお前、今朝方けさがたも『先生呼ぶ』って言ってた割りにゃ誰も来なかったなあ?まあーーーさか騙りブラフをかますってんじゃねえだろうなあ。」


この手(騙り《ブラフ》)はそうそう使えるもんじゃない、あの時はその場しのぎで使っちゃったけど…今度は流石にそうは行かない―――私の健くんをターゲットにする奴らは、私の健くんが反撃してこないのをいい事に奴らの言い成りになる使い走りパシりとして私の健くんを利用しようとしているに過ぎない。 だから私が護ってあげないと―――それに奴らの暴力に暴力で対抗したところで何にもならない事は良く心得ている、それは私が剣道をやって来た時に師範の人から教えられてきた事だったから…だからと言ってその場しのぎ的に嘘を吐くのは良くなかった、お蔭で着いた嘘がバレ、一転して私が窮地に…


普通なら、こんな時に―――こんな僕にでさえも気にかけてくれる幼馴染の窮地に奮起して幼馴染みに暴力を振るおうとする不良達に立ち向かっていくのが筋なんだろう…だけど僕は、それが出来なかった―――日頃僕の事をイジメている奴らに立ち向かっていくなんて、そんな怖い事は出来やしない、そのお蔭で倍返しを喰らうこともある、だから足がすくんで―――と、事情を知らない皆はそう思った事でしょう。


で・す・が―――僕が暴力を振るわれようとしている瑠偉を助けに事情は確かに存在していたのです。 それというのも、僕が通う高校の施設内にを見てしまっていたから―――そう、……てか、ええええーーーーーなんでいるおお?てか、あの人エルフだよねえ?確かあの人自身そう言ってたよねええ?なのになんで……ヤクザ映画のチンピラ兄ちゃんや二次創作作品で言うオーガも裸足で逃げそうな怖い顔してんのおーーー?!いやいやそれよりも、あの人僕しか視えていない事をいい事に僕の後を尾行つけてきやがったなあ?


* * * * * * * * * * * * * * * * * * *


そーーーう、私はケントの事が心配で心配で、ケントの後を尾行つけてきちゃったのデシタ。 そしたらまあーーー門を潜った早々に頭が赤いのやら緑やらソリコミ入れたのやら、何か矢鱈やたらとモブ臭ただよわせるザコキャラにたかられていたのでした。 けど、ふうううーーーん、あいつ自分には友達やら仲間がいないって言ってたけど、いるじゃんかあーーーまあ、手荒に歓迎されるってのは冒険者の中では割とある話しよね。

(※ヒルダさん勘違いしているので説明を、健闘は飽くまで学生であって冒険者などではございません、ので悪しからず…)


ふふっ、そう言えばいたなあーーー私も王后の業務の合間の息抜きとしてよく冒険者してたけど、冒険者始めた時には何かと因縁つけられたものよ、まあーーー私を舐めやがった連中は余すことなく墓場送りにしてあげたけどネッ☆ て、いうかあーーーケントも一発ヤっちゃいなよ~あんな連中は一発イワしたら急に大人しくなるもんだからさあ、まあそれでも?殴られた事に怒ってまた私に突っかかった日には―――と…おおっとここで、誰だあ~?あの可愛い娘、なんかケントのヤツをかばってなくない?えええ―――って事は、彼女はケントの“カノジョォ~”なのかしらあ~?クヒヒヒこりゃ帰ってきたらあの娘との関係を聞き出さにゃなりませんかなあ~?(下世話の極み)


それにしても気になるのは、あのカワイイ娘に救ってもらったのに素っ気ない態度とは―――男の風上にもおけんやっちゃなあ…そうこうしているうちに何やら集会(HR《ホームルーム》ですね)らしきモノが終わり、するとどうしたことか我等のケントが帰り支度じたくを?なんでまた―――折角来たって言うのに早々にお戻りとは…しかし、そんなケントを待ち構えるかのように今朝方のモブ三連星がまたたかって来たのだ、そして様子を見ている内に何とまたしてもあのカワイイ娘が―――アラアラアラマアマアマア~もしかしてあなたったらうちのケントの事を好いてらっしゃいますのお~?ウンウン判るよ判るよお~なんてったってうちのケントは優良物件―――ン?優良物件か?性格ちょっと暗めだしぃ~言いたい事ハッキリとは言わないしぃ~(そう言う私にはズケズケと言ってくるのにねえ?)おまけにいつも伏し目がちだしぃ…ウン―――優良物件とは程遠いわな。

(※何だかんだ言ってもヒルダさん酷評)


けえ~ども、そんなケントの事を気にかけてくれている―――これって好きでないと出来やしないよね、だから好きなんだらう~?っちゃいなよ―――っちゃいなよ~私が全面的にバックアップしてあ・げ・る・か・ら♪

などと言っていましたら、あのモブ三連星はうちのケントの嫁に向かって何たる事を!『股でもおっぴろげる』だとぉうおう~?うちのケントの嫁が股をおっぴろげていいのはうちのケントだけじゃい!だあああれが手前えらみたいなモブ共にやるもんかいやああ!


そこから私の記憶は無くなっていた―――

(※早い話し“プッチンキレ”ちゃいました)


「アアアんのお~クソモブザコ三連星がああ~~うちんとこのケントの嫁に手ェ出したら許さんぞおお~!」


「はわ、はわわわ…ヒ、ヒルダさん抑えて抑えてえ~~!」 「なに言うとんのんじゃあ~ケントぉぉ…あんのクソガキゃあうちらにションベン引っ掻けようとしとんのやぞ、ええか喧嘩言うのは舐められたらそこで仕舞いやぞ。」 「なななっ、何言ってるのか判るけど―――判んないよ!だけどヒルダさんが手を出したらややこしくなるんだってえ!だからここは平和的な解決を―――」 「そう言うあんたこそ何言ってんだ?私が何を言ってるのか判ってるけど判んない…つて、どっちなんだよ。」


何か―――変だ…健くんが壁に向かって何やら話している……先程までは不良達に絡まれる一方で一言も喋らなかった健くんが、壁に向かって話しているのだ、これは私から見ても相当妙で、健くんに因縁つけていた不良達もうすら怖くなったんだろう―――あまり係らない様にと退散してくれた…のはいいのだが、この妙な出来事のお蔭で私の方でも話しかける機会を失ってしまったのだ。


一体―――どうしてしまったんだろう…健くん、小学校低学年までは私よりも剣道が強くて、近所の悪ガキ連中にいじめられてた私をかばってくれていたのに、それが小学校中学年になった途端に通っていた剣道の道場を辞め、私とも距離を置くようになってきた…それからだ、彼の趣味は内向的ないこうてきになり周りからは『オタク』だの『引き篭もり』だのと言われ始めたのは、けれども高校になったら環境も変わる―――同じ中学の校区だけじゃなく同じ県内…更に言えば全国の中学からも入学者は来る、だからこれまでの関係は一新いっしんされるものの新たな脅威も産み出されるのだ。 それに最悪な事に健くんの場合は後者…おばさんから頼まれていたけれども、もしかすると健くんの今後の高校生活みらいは―――明るくないのかもしれない。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


やって―――しまった…よくよく考えてみればヒルダさんは…と言う事は、ヒルダさんがこっちの世界で何をしようが影響が―――ない? けれども僕はヒルダさんの剣幕に押されてしまって“あわや”の大惨事を回避する為に彼女を抑制しようと思ったのだが……


「あのさあ~~ヒルダさん…僕の事を気遣ってくれるのは有り難いよ?けどさあ―――あの時僕が止めなかったらあの3人どうしようと思ってたの!?」 「はあ~?そんなん決まってんじゃん―――まず兎烏うと(眉間)に一発入れて戦意を失わせて~そっから押し倒してマウンティング、そこからは反撃しようとする気が失せるまでボコり潰す…まあ~対人戦の基本ダネッ☆」


えらい手慣れてるなあ…て言うか、この人異世界では一国のお后様なんだよね?(それもエルフの…) なんだか―――僕がファンタジー系のラノベで知って来たようなイメージとはちょっと…いや程遠いな、いやそれよりも暴力で解決しようだなんて、そんな事はなにも産み出さない―――だから僕は…


「あのさあ、それって暴力で解決しようとしているんだよね、けど暴力は更なる暴力を呼び込んだりするもんなんだよ、だからもうちょっと…」 「なんかさあーケント、あんたってば私の夫であるセシルや官僚みたいな事を言うのな。 それに…話し合いで解決できる時代はもう終わったのだよ―――これからの世の中は総て暴力!暴力チカラこそが総てよぉぉ…とにかく、私が気に入らんヤツは殴る!私に盾突こうとするヤツも殴る!私に取り入ろうとするヤツも取り敢えず殴る!!ヒャッハア~!全くもっていい時代になったもんだなあ?兄弟―――」


な…何だかこの人、言ってる事が『世紀末に君臨する覇王』みたいなことを言ってらっさる……てか、エルフって元々凶暴な種属だっけ?それに僕が言っている事が届いていない―――だから僕は…


「もうっ!ヒルダさんもいい加減にしてくれよ!どうして僕をそっとしておいてくれないんだ…僕は―――僕は波風立てないような生活を送りたいだけなのに…なのに周りは僕を構おうとする。 もういいよ…放っといてくれよ―――僕なんかに構わないでくれえ~!」


「(…)―――判った、じゃああんたの前から消えてあげるわ。」


そう言って彼女は―――僕の前からいなくなった…


僕の―――“友達”………異世界から転移してきたとおもわれる“彼女”はエルフだった、しかもどうやら異世界あちらでは一国のお后様だったらしい。

一国のお后様と言うなら、どこか高貴な言葉遣いに立ち居振る舞いをするものなのに、“彼女”は言動の端々はしばしつまんでみればそんな処は全くなかった、よく聞けばどうやら“彼女”はお后の業務の合間に冒険者稼業をしていたらしい、だから荒っぽい言葉遣いになるか…と感心する一方で、僕の幼馴染みである瑠偉以上に僕の事を心配してくれている。 それはたった2日と言えどその態度にあらわしていたから判ったのだが、僕からの心ない一言の所為せいもあり、唯一の―――イマジナリーフレンドであるヒルデガルドさんも僕の方から疎遠そえんにしてしまったのだ。


こんな事は―――間違いだと判っている、だってヒルダさんは僕の為を思ってしてくれているというのに…それは瑠偉も同じだ、僕が不登校になり始めた時にはしきりに家まで迎えに来てくれてたけれども、僕の方から拒否反応を示していた―――そして最低でも出席日数が足りるように登校したとしても、昔の様に僕によくしてくれている…


そんな彼女達の善意を、簡単に踏みにじれるなんて―――なんて僕は……


* * * * * * * * * * * * * * * * * * *


『構わないでくれ』―――か…ちょおーっとアレは傷付いちゃったかな。 それに私も言い過ぎた感は否めなくはない、そりゃまあ?は飽くまでケントの『現実世界せかい』だ―――以前まで私がいた『剣と魔法の(割かしファンタジーな)世界』とは主旨なりとて違っている。

まあーーーここだけの話しをしちゃうとさ、私が以前までいた世界も言ってしまえば私の出身―――まあこれは、その世界で産まれて育ってきた世界とは違っている。 要するに、はその世界とはまた別の場所からされてきたのだ。 それでもって色々と調整とかしてる時にこんな目にってしまったのだ。


あのねえーーーいくら私が優秀だからってえ?事前調査もないままじゃどうにもできませんで?そこんとこ判ってんのかよ―――偉い人私達の上司は。

それに私が得意としている分野は、『その世界での環境に順応適応する』事、とは言え、以前派遣された世界の事は事前調査もしっかりとしてた為、割とすんなりと行けたものだったのだが―――今回はなんの事前通告もなく飛ばされたのだ。(それでもリージョンコードを即座に合わせるなんざ、私の優秀さが判るってもんだらう~?)


それに―――今回の事はある意味ショックだったけど、考える時間が出来たって事は私にしたら幸いだったのだ。


では、どう『幸い』だったのか―――それは…






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