僕のイマジナリーフレンド“様”
はじかみ
第1話 視えない僕の フレンド“様”
僕には、友達がいない―――それは僕が“根暗”で“オタク”で“引き
だからこんな僕の“友達”―――とまではいかないけれど、PC《パソコン》やネットゲームは割かし利用している。 中でもネットゲームは最高だ。 お互いが顔が見えないから好き勝手な事が言える、画面上を介して交わされる会話―――『チャット』の中では、普段の僕からは想像もつかないほど僕はお喋りだ。 それにネットゲームの中での僕は可憐で小さな女の子を演じている。 しかしこれは悪い事では決してない、それというのも僕の様な
それに、ネットゲームはいい、一緒に遊ぶプレイヤー達は普段の僕の事は知らないから、僕は一人の幼女として振舞えているのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そんな僕に、ある転機が訪れた―――
それはある日の朝、目覚めてみると僕が寝ているベッドの隣りに、今まで見た事もないような美女がああ~?
いや―――待て?この状況は一体何なんだ?大体僕はこんな美女は知らないし『お持ち帰り』した記憶もない…いや、と言うより!『お持ち帰り』だなんて高校生の僕がそんなことが出来るはずがないだろおおお!
そ―――そそ、それに…ハッキリ言ってしまうが、僕は対人関係は苦手だ―――しかもそれが異性間ともなると無理無理、無理ですうう~!
し、しかもこの美女―――色白で金髪で…もしかして外国人?
―――ン?ちょっと待てよ…この美女、耳が長くないか?
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
ウッ…ううーーーん……ああ~~良く寝た―――もう朝か…ナニヤラ隣りが
てか、誰だ?この
でゅわあ―――(性的にイタダキマアース……
「あっ、あの―――あなた、ひょっとして『エルフ』?ですよね…。」
ん?何を言ってんだ?コイツ―――ワケ分からん事言って…ちょっとリージョンコード確かめてみるか…んーーーと、ナニナニ…『日本』?『日本』てどこだ?魔界とは違うのか?てえーーー事は……
「
えっ…日本語じゃない?それに僕の知ってる英語とか―――時たまニュースで流れるロシア語とか、フランス語とか、ドイツ語とか、イタリア語とか…なんか発音の仕方からして違う?!
すると―――なると…ほ、本物のエルフなのか?す…凄いぞこれ―――ぼ、僕は異世界交流を果たした最初の人間なんだ!
「いやっほうい!凄えぞ―――素晴らしい!エルフは本当にいたんだ!」
「
てか、この人―――遠慮しないもんだなあ…今まで自分が暮らしていた世界とは異なる世界に飛ばされてきたって言うのに、なんだかすごい剣幕で
そう、僕は初対面のはずのこのエルフの美女から一方的に
ありゃ?なんだか私を視ちゃいるけど反応全くないな―――まあーーー私の方から一方的に
「(んーーー仕方ない、ちゃんとコードを合すか……これで、よし、と♪)あーーー初めましてこんにちは、あるいは今晩は、はてまたはおはようございます。」
え―――日本語喋れるの?!一体…どうして―――先程まではこの現実世界で通用しているような言語とは違う言葉で話し、だから僕は全く理解できなかった…それが数分とかからない内に実に
とは言えこんな僕…現実社会での他人との接触や交流が苦手で、どうしてもそう言ったものはネットやラノベに逃げがちである僕でも判らない事はある。
よくある話として―――ラノベなどの二次創作の世界では、主人公が異世界転生(或いは“転移”、或いは“召喚”)された際に、その世界の神や女神などからチートな能力を与えられ、その中でも割と異世界語を修得できたりするのは
「あのーーーもしもしぃ?私の話してる事ちゃんと聞こえてますぅ~?」
「えっ、あっ、はい聞こえています、聞こえています…」
「なあんだ、それじゃちゃんと反応してよ、反応しないからこっちもリージョンコード間違えたかと思ったじゃない。」
「(…)は?『リージョンコード』…つて、ネトゲとかで引用されてるあれ?!けど、なんで…」
「ほおお~リージョンコード判るなら話しは早い!てぇ事は文化レベルはちっとは進んだ世界観なのかーーーいやあ~ちょっと前までいた処はそこんところは判らないみたいでさあ、けどもどうにか煙に巻いて居ついちゃったって言う寸法よ。 ふふんーーーどおうだぁい?中々にして私の環境順応能力、高いだるぉお~?」
ちょっとまだ、この人が話してる事についていけないけど―――けど今確か『ちょっと前までいた処は』って言っていた!やはりそうなんだ…異世界転生(転移or召喚)は存在していた!この美女なエルフさんも何処かの異世界から転生―――…いや、違うな、転生はその人の第一の人生の終幕と共に異世界の神や女神がその魂を拾い上げ、異なる世界でまた新たな生命として産まれ変わる…だから転生した時にはその転生先の世界では産まれたばかりの赤ちゃんになっていないとおかしい!それにこの美女エルフさんはどう見た処で僕より少し年上か…いや、エルフだから―――100歳は軽く超えているのか?
「ねええーーーちょっとおーーー(…)聞いてんのか、コラ。」
「えっ、あっ、はい。 ちゃ、ちゃんと聞いていますよ?」
「ほんとにぃ~?
「この僕の世界に来ていた―――と。」
「(…)ふううんーーーやっぱあんたって理解度高いなあ、ほんのちょっと前までいた世界で突然この超絶美女である私が現れた時、いくら丁寧な説明を重ねた処で理解する奴なんて1人もいやしなかったからねえ?」
「えっ…でもあなた確か―――エルフの王国の后をやっていたんですよね?普通はそんな不審な人物を一つの国家の元首が
「んっ、ふっふっふーーーぬぁ~ぜだとおもうね?ワトスン君…」
「えっ、な、なん、ですか―――その、悪そうな笑み…」
「ゲハハハーーーああんな低レベルの文化に息づいている者共などこの私の洗脳技術を
「あ、あのおーーーヒルデガルドさん?」
「なあに?」(ウフフ)
「間違っても―――そのエルフの王国…って、魔王とは関係ありません…よ、ね?」
「魔王?ああ―――確かにちょっと前までいた世界にはいたよ?魔王…でぇも私は魔王とは違うよ、視なっさあ~い!この誰もが
「あっ、それはすみません―――あのぉ~失礼ついでにもう一つ聞いていいです?」 「はあ?ナニ―――失礼ついで…つて何が聞きたいのよ。」
「ええ~っとですね…そ、その―――ヒルデガルドさんで今何歳…」
「はあ゛あ゛~?
教えるんかああーーーい!いや、それにしても僕が思っていた通りだった!しかも余裕の100歳オーバー……なのに、16歳の僕とそう変わらないなんて!
「す―――凄ええ…ほ、本物のエルフだああ……」
「変な処を感心されても困るんだけど―――そう言えばあんた誰?さっきから私の自己紹ばかりだったけど、そろそろあんたの事を話しなさいよ。」
「あ、ど、どうも―――僕は『
「ふうんーーー山本健闘…じゃ、ケントでいいわね。 あ、私の事はヒルダで構わないから、これからよろしくねぇ~♪」
こうして、ひょんな事から僕には異世界出身の友達が出来た―――…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
出来た―――は、いいのだが…そのうちまた別の問題が発覚するのだった。
そう、よく考えてみればヒルダさんは突然僕の寝ている内に現れたのだ。 同居する両親からしてみれば、引き
「(まあっずいなああ~~~僕はどうにか理解できているけれども、父さんや母さんにはそんな知識(ネトゲとか)なんてない―――それにありのままを話した処でも信用なんてしてくれないだろうしぃぃ…)」
「なあケント、あんた何おもろかしい顔して悩んでるんだ?」
「いや悩むでしょぉぉ…いきなり自分の息子が見知らぬ美女エルフと一緒にいる―――こんなの普通の一般常識からして非常識なんだよおお!」
「ふうーーーん、て事はあ、私が異世界出身者であるって事は今の処はケントしか知らないと…フッフウーン……」(ニヤソ)
あっ、なっ、なんだろう?この……得体の知れないような悪寒!もしかしてこの人、僕の両親を洗脳しようとしているうう―――?
「ね、ねえ、ちょっと、ヒルダさあん!あんたもしかして僕の父さんや母さんを…」 「ぬあああらば、ヒルダさん怪光線で記憶を
ヒ、ヒルダさああああん―――!
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
しかし―――僕の心配は杞憂に終わってしまったのだ…それというのも―――
「やっ、止めてええ―――僕の、僕の父さんや母さんを……」
「おや、どうした健闘。 お前が部屋から出てくるとは珍しいな。」
「母さん達これでも心配したのよ?あなたがこのまま―――部屋から出てこないなんて…うっ、うっ、ううう…」
「母さん―――泣くんじゃない、私が言っていた通りになっただろう、私達の息子は強いと…なあに、学校で
「あなたああ…」
なんて、言ったら、いいんだろうか―――僕の目の前で繰り広げられているのは、ちょっと僕が想像したのよりかは相当面白かった…
いや、まあ―――僕の両親が涙ながらに『開かずの部屋』と化した僕の部屋から僕が出てきた事を喜んでいた……ここまではいいとしよう。 だ、が!その両親の周りでヒルダさんが何やら
なんだ?これは、おかしい…確かにリージョンコードは合したはずなのに……効いていない?(洗脳が)
な、なんでえ?エルフはその特性上魔力が強く量も豊富に保有している…なのになんでえ?一向に効く気配すらないのおお?!し、しかもーーーなんだかこの人達私の事視えていないっぽいなあ…なんだか正直、キヅツクワア~~~キヅツキマスワア~~~けどこれって不幸中の幸いなのな?そりゃそうだろう、自信満々で洗脳仕掛けてるのに『全く効きまセエ~ン』てのは、割かしはづかしい話したづえ~。
な、もんで今は逆に私の姿が視えていないって事は幸いだったのだ。
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
ただ―――この家の息子であるケントは違いましたようで…
「ヒルダさん、ちょっとそこに座って下さい!」
「(…)さっきから座ってるんだが?」
「屁理屈な言い訳しない!大体あんた僕の両親に何しようとしてたんだあ?」 「“何”…つて洗脳しようとしてたんだがあ?」
「あのねえ…洗脳ってこっちの世界じゃやっちゃいけない事なんだよ?それを、なんで―――どうして―――普段やっているように普通に出来るかなあ!」
「いや…だって、アヤシイヤツて思われたくないしぃ~それに私らが仕掛ける洗脳ってばカワイイもんだよ?別に私らの意のままに操ろうってなワケじゃないしさあ…単に私が異世界出身であることを判らせないようにする為に
「そんな都合のいい魔法みたいなのが存在するわけないじゃないかあ!そりゃまあ?ネットゲームとかそう言う別次元はそうじゃないんだけどさあ…」
「は?何の事を言ってんだ?存在するわけないと言った口から『ネットゲーム』?みたいな…“別次元”はそうじゃない―――とか…なんだかこの世界も複雑奇怪だなあ?」
僕の両親は―――父さんや母さんは至って一般市民だ。 ただ、僕の様にネットや二次元創作の事など詳しくは知らない、それにそれは僕と同世代の子供達もそうであって、全員が全員そうした知識に理解力があるわけではない…そう、例えば僕の幼馴染みとか―――
それはまあいいとして、ヒルダさんはそう言った一般市民である僕の父さんや母さんに対してまで洗脳を
「ああ、あとそれと…これはちょっとした誤解なのかもしれないけど、『魔法』てのはあるよ―――実際さっきも私はあんたの両親に対して『洗脳』の魔法を仕掛けたんだけどね…それがどしたことか、全然効かなくってねぇ~まあーーーあんたの両親て私の姿が視えてないっぽいから幸いだったんだけどねえ~。」(ケラケラ)
あんのかい―――『魔法』! てか…え?『全然効かなかった』って事は……
「もしかして『魔力』とか関係するの?」
「ほおおーーーその関係性に気付くとはさすがだねえ。 とは言え、私はエルフ…エルフは魔力が強くて量も豊富に保有してる―――んだけれど…こりゃもしかしてこの世界に魔力そのものがあるかないのか……その辺も調べてみなけりゃならんかな?」
知識としては知っている―――それもネットゲームやラノベなどでの設定で…けれども
いちオタクとして―――ネットゲーマーとして
それが―――それが……それがあああ!
「『ある』って本当だったんだあああーーー!燃える、燃えるぜこの展開!」
「(ん゛~)なんか熱くなってるとこ悪いんだけどさ、私がちょっと前いた処じゃ普通に使えてたんだよ?だけど―――こっちの世界は勝手が違うと言うか、何と言うか…」
「けど、ヒルダさんは普通に使えていたんだよね!だったら話してよその体験談!」
なんだかエライ喰い付き様―――ハーーーこりゃちょっと早まったかな、私もこっちの世界で魔法が使えるのかどうか…あとこの世界で魔力があるのかどうか…ちゃんと確かめるべきだったわ。
ケドマ、体験談だったら話してあげよっかなあ~『話し』をするだけならいくらでも盛れるしさあ。(※最早悪人の思考回路)
だから―――話しをしてあげようとしました…しましたんですけどさあ―――
「健闘―――お風呂入ってしまいなさーい。」
「あっ、はーーい。 風呂かあ…悪いけどヒルダさん、その話しお風呂から上がってからしてね。 じゃちょっと入って来る。」
風呂かあ―――なんかケントの母親から横槍入れられたって感じだなあ。 それにしてもお風呂―――そう言えば私ってば、あいつらと
「お風呂ねえ―――ねえケント、その風呂に私も一緒に入っちゃっても構わない?」
「は!?な……なに言い出すんだよ突然!そんなのダメに決まってるだろう?だ、第一考えてもみなよ…ヒルダさんは女性で、ぼぼ…僕は男性―――しかも高校生なんだぞ!?」
「(…)ふっう~ん―――フフフン…さてはケント、私を気遣ってるのかあーい?くぉぉの超絶プロポォォォションを誇り、夫であるセシルを瞬時に
なんだかヒルダさんが特別悪そうな顔して、しかもイヤラシイ笑みさえ浮かべている―――これは危険だ…これは危険だと察した僕は、ヒルダさんが熱弁を振るっている隙を見て風呂へと駆け込んだ…
ふうう~~ーーーこれで一安心…てヤツかな。 さすがのヒルダさんも先約があればそうおいそれとは入ってはこれまい、それに…今日1日色々あったよなあ―――まあ
「わ゛る゛い゛ごはいね゛があ~!こんなにもいい女を放っぽといてお風呂に直行する―――わ゛る゛い゛ごはい゛ね゛があ゛あ゛~!」
「キヤアアア!てかヒルダさんなんでえ?!ボクが先にお風呂入ってるんだよ?なのになんで…後から入ってくんの゛お゛お゛~!」
「そんなん決まってるだろがああ!こぉんなか弱いエルフの私を―――右も左も判らないひとりぽっちの私を、置き去りにして1人で風呂に入るたあどう言った
「そ、その前にヒルダさあん…ま、前隠して―――い、色々視えちゃってるから!」 「母と父より受け継ぎしこの肉体―――誰に
この時僕は思い知った―――ああそうか、この人は…ヒルデガルドという人は、どちらかと言うと清楚・貞淑系のエルフじゃなくて
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