我が肺は猫である

エモリモエ

まるくなる

我が肺は猫である

名前なんてあってたまるか


肺の重みは猫の重みだ

息苦しくてかなわない


世界に蓋する厚い雲

湿度はいかほど?

聞かなきゃよかった


それならば

ここはほとんど水のなか


道行く皆はエラ呼吸

スイスイスイと

行ったり来たり

ぶくぶくぶくと

笑いさざめき

頬をぷうっと膨らませ

ふわりふわりと昇ってく


引き比べ

しょせん我が肺は猫である

エラも浮き袋も持ち合わせない

ひゅーっ、ひゅーっ、と鳴くたびに

地べたの下に落ちていく


落ちて

落ちて

やがて根の國、底の底


丸くなり

息をひそめる

獅子となる力を積んで

我が肺は

いまだ猫である


いつか来る

発芽のときまで

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我が肺は猫である エモリモエ @emorimoe

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