我が肺は猫である
エモリモエ
まるくなる
我が肺は猫である
名前なんてあってたまるか
肺の重みは猫の重みだ
息苦しくてかなわない
世界に蓋する厚い雲
湿度はいかほど?
聞かなきゃよかった
それならば
ここはほとんど水のなか
道行く皆はエラ呼吸
スイスイスイと
行ったり来たり
ぶくぶくぶくと
笑いさざめき
頬をぷうっと膨らませ
ふわりふわりと昇ってく
引き比べ
しょせん我が肺は猫である
エラも浮き袋も持ち合わせない
ひゅーっ、ひゅーっ、と鳴くたびに
地べたの下に落ちていく
落ちて
落ちて
やがて根の國、底の底
丸くなり
息をひそめる
獅子となる力を積んで
我が肺は
いまだ猫である
いつか来る
発芽の
我が肺は猫である エモリモエ @emorimoe
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます