第25話 元の世界
ミチミチと目が合った。瞬間時間が止まった。
僕のカラダがくるくると時間の鏡の中に吸い込まれた。
ハヤテが「じゃあな、スガワラ。」
声が聞こえた。
ミチミチも「父上様、助けに来てくれてありがとうございます。」
時間の渦の中でそう聞こえた気がした。
そういえば、ジョーに会いそびれた。
くるくる回りながら、気づくと。
「あれ?」湯島天神の境内に僕は、いた。
目の前にジョーがジュースを飲んでいる。
タクヤもいる。セミの声も聞こえる。
えっ?みんな、なぜここにいるんだ?
「タクヤ、北野天満宮にいなくいいのか?
元梅が心配するぞ。
それにジョー、さっき太宰府天満宮に行ったけど、会えなくてすまない。でミチミチは?」
「はあ?ミチミチって誰だ?
スガワラ、何言ってるんだ。僕らは、ずーっと
ここにいたじゃないか。」
ジョーも「何々?女子の話?」
「僕がスーパーで助けた神様だよ。
菅原道真のミチミチこと僕の娘さ。」
ジョーが「スガワラ、大丈夫か?
女子好きの僕でもそんな話は、乗れないよ。」
タクヤも「今日から2学期がはじまったんだぞ。
僕らは受験祈願のためにここに来た。
それに僕は妹の受験のお守りを買うためだ。
明日から塾がはじまる。僕には遊んでる暇はないんだ。」
おかしい、話がかみ合わない。
ジョーも「高2の2学期。来年は受験だ。
2学期が勝負の学期だと受験の神頼みに来たんだ。」
「なんだよ、それ。2人とも神頼みか。」
「そうだな。ハハハ。」タクヤとジョーが笑う。
僕だけ頭の中が混乱しているが。まあ、いいっか。
「早くジュース飲んでお参りしようぜ。」
本殿へ向かう。
僕は辺りを見回すが、ミチミチも桃梅もいない。
僕は本殿の中を見た。やっぱりミチミチは、
いない。
夢?全部夢だったのか?
じゃあ、スーパーのセルフレジで助けた女子は?誰だ?
僕らは本殿で手を合わせた。
僕は目を閉じた。
『父上様、羅刹の鬼の毒より救ってくださり、
ありがとうございました。
ミチミチは鬼にならずにすみました。
今、こうして学問の神として人間の役に立つよう努めています。』
『そっか。よかったな。そう言えば祟り神の北野天満宮のハルや分身達はどうした?」
『父上様のお陰でみんな光と共に私の中に戻りました。』
『よかったな。ミチミチ。』
「スガワラ行くぞ。」
タクヤとジョーが僕を呼ぶ。
「腹空いたなあー。ハンバーガーM、食べてこうぜ。」
店に着き僕はハンバーガーにかぶりつく。
桃?梅の花びらが舞う。桃梅。約束だったな。
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