第24話 奴の名は羅刹・ラセツ
「ハヤテ、なんだあいつは。あの毒々しい黒い妖気。ここに存在しない僕まで毒されそうだ。」
「だろう、スガワラ。神様の俺でさえ、毒された嫌な奴さ。羅刹。」
「ラセツは何者なんだ?」
「見てのとおり意味のない、悪意の塊のただの鬼さ。」
「ただの鬼がなぜあそこまで。なぜあいつは。」
「なぜ?聞くのかスガワラ。
鬼は鬼に決まっているだろう。
お前はやっぱり優しい奴だな。
鬼は鬼だ。少しの同情もない悪の塊だ。
スガワラ、そういう奴も存在していることを知れ。」
ハヤテの言葉の意味は、なんとなく分かった。
僕は悪の闇が世界には存在していること知っている。だからこそあえて僕は見ない。
関わりたくない。
「ハヤテ、僕のこと誤解しているようだな。
僕は優しい奴でもなんでもない。
この世界にも元の世界にも悪の闇の世界があることを僕は知っているさ。」
「そうか、スガワラ。じゃあ、見るがいいさ、ラセツの非道を。」
僕は透けたカラダで宙に浮き、太宰府天満宮近くのラセツの非道な行いを見た。
ラセツは弱った人間を見つけるのがうまい。
見つけた人間に入り込み、他人をだましてお金をとる。他人に嘘を持ち掛け混乱させる。
他人を傷つける。悲しみの底の底まで陥れる。
ほんと、最低のクズだ。羅刹。吐きそうだ。
「ハヤテ、お前も災難だったな。
神様だって、かなわないさ。あんな、邪悪な鬼には。
僕だったら、瞬殺でラセツに入り込まれたら正気じゃ、いられないはずさ。」
「スガワラ、同情か。」
「はあ?僕は同情はしない。事実を言っただけさ。」
「そっか。」一瞬、ハヤテの顔が穏やかになった気がした。
「あっ、いた。あそこだ。スガワラ、ついて来い。」
お屋敷についた。宙に浮いたまのぞく。
「ミチミチだ。」
羅刹が弱ったミチミチの心に入り込む。
何かをささやいている。
「ミチミチ、お前を無実の罪で陥れた京の都に、藤原に復讐を。」
弱ったミチミチが頷く。
ミチミチのカラダが邪悪な鬼の毒をまとう。
ミチミチの恨みが京の都に災いを落とす。
邪悪な黒い雲が雷を大雨を降らせる。
羅刹が「ミチミチ、もっとだ。もっとだ。
京を消し去れ。」
ミチミチが壊れる。とっさに僕は地上のミチミチのところへ。抱きしめる。
ミチミチの中のラセツが拒絶する。
僕はこの世界に存在していない。
しかし僕はあきらめない。
両手でミチミチを抱きしめる。
黒い邪悪なラセツがミチミチのカラダから離れた。
ミチミチの目が僕をとらえる。「父上様。」
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