第22話 神頼み?
「タクヤ、そう言えば、太宰府天満宮に行ったジョーはどうしているかな?」
「スガワラ、心配いらないと思うよ。
ジョーのことだから上手くやってるさ。」
そう言うタクヤの横に元梅がぴたりといる。
「そうだな。」
ハルが「父上様、こちらへ」と鏡の前に手招きする。
鏡を覗きこむと、ジョーと神巫女の紅梅の姿が見える。
僕はふっと桃梅を思い出した。
物静かで手際よく、いわゆる学級委員タイプだ。
昔からこのタイプに僕は弱い。
わずかの時間しか、たっていないのに
桃梅に会いたいと心が騒ぐ。変な気持ちだ。
タクヤのことは言えないな。
ハルが「父上様、宜しければこのままミチミチの最終地の太宰府天満宮へ送りますが。」
「そうだな、頼む。それになんとなくだが、
すべての地の私を見てと、ミチミチが言っている気がする。」
「そうですか。そうですね。どの地もミチミチ自身の一部分身がいるのですからね。
父上様、携帯はお持ちですか?」
「あー、持ってるよ。」
「ではメール交換を。」
ハルは手慣れた様子で携帯を操作した。
「これで、ミチミチ、太宰府天満宮分身1号、
ここ北野天満宮の分身2号、それに私と連絡がとれます。」
「ありがとうハル。」
「でも、急ぎの時は直接脳内に話かけてください。そっちの方が早いです。
携帯はあくまで、機械的な手段として使ってください。」
「要するに人間?いや神の能力会話が基本で、
機械的なものは次。順番はそうだな。」
「はい。」
「僕らも携帯を使っているつもりが逆に手放せなくて、ないと不安になる生徒がたくさんいる。たぶん大人もだ。
携帯に、機械に振りまわされるのではなく、
主導権は人間側にあるということは再認識しないとな。しかし、菅原道真ことミチミチ、
分身、全員、その携帯に振り回されているのではないか?」
ハルが「父上様、違いますよ。人間側の勉強をしているのですよ。情報を知っての上で、
参拝者の願いを叶えるか否かの判断をしたいからですよ。
神にも情報更新が必要です。それに本来の目的は参拝者が我々神の前でこうしたい、こうなりたいと願うことは、人間が自分自身に言い聞かせ、脳が認識することです。それにもともと人間は不思議な生命体です。神の手が及ばないことでも、成し遂げることがあります。本当に不思議です。
言い換えると神は人間の聞き手役です。」
「え?僕は困った時の神頼みと思っていたのに。」
ハルが笑いながら「神もたまには手をだしますよ。人間に干渉します。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます