第20話 祟り神は進化 学問の神様

僕は、くるくるまわりながら気づくと

令和の北野天満宮に戻った。

タクヤも元梅もいる。

ハルが「あー楽しかった。」

元梅が「それはよかったですね。

菅原道真様。」

タクヤが「スガワラたちが時空を超えて平安の時に行っていることを元梅から聞いた。どうだった?平安は?今のこの世界と違うのか?」

「今の世界と変わりないさ。まあ、高い建物がないくらいで、令和の京都とあまり変わりない。」

「へえー、あまり変わらないんだな。

僕なんか、本やマンガでよく言うみたいに

人と妖怪や鬼が普通に歩いているにかと期待したのになあ。」

僕は平安のグレーの低い空を思い出した。

ハルの怒りが祟りとなって黒い靄になっていた空。

僕は言わなかった。たぶん言わないことが父親として、ハルを守ることだと思ったからだ。

「タクヤ、期待に応えられず悪いな。」

タクヤが「じゃあ、祟り神の菅原道真様は?」

僕はタクヤに「タクヤ、菅原道真様、彼女の名前だが、ハルと呼んでくれ。」

僕はハルの方を向いて「それでいいな、ハル。君の祟り神はとっくに終わっているしな。」

ハルが頷く。

「それにタクヤ、ハルは今や学問の神様だ。 そうだろう。ハル。」

「はい。父上様。ハルは見て頂きたかったんです父上様に。祟り神から学問の神と呼ばれるまでのハル、すべてを。」

僕は黙ってハルの頭をなでてた。

タクヤがすかさず、「なんだか、ほんとうの親子みたいだな。」

「ほんとうの親子だ。」

「そっか、でもスガワラ一週間が過ぎれば僕らは元の現実世界に戻るんだぞ。

それに来年は大学受験。この2学期が勝負。 勉強に本気を出さないといけない時だぞ。  そこは忘れるなスガワラ。

心を持ってかれるな。」タクヤは強い口調で僕に言った。

そうだった。タクヤは必死。タクヤの妹も受験だったな。タクヤの家は学力主義だったな。

人それぞれ、家それぞれで考え方はバラバラだ。だが親しい友人の忠告だ、聞き入れよう。確かに、いつも冷静な判断する僕の心が情に流れていたのは確かだ。

「痛い!」僕の横腹をハルがつねる。

「父上様、情に流されてもいいのでは?

こんなに可愛いハルには?」

「ハハハ。ハルに心を読まれていたのか。

でもハル、君はあの闇を人で乗り越えた。

誰の力も借りずに。恨み、祟りが変換されるのに、千年かかった、が君は一人で越えた。

本当に偉いよ。」

横でタクヤも元梅も大きく頷く。

「ハル、君は学問の神様だけど克服の神様でもあるな。」

ハルがにっこり笑う。

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