第15話  お父上様?

「リーン、リーン。」鈴の音が鳴る。雅な音だ。

僕は箸を置いた。

「桃梅、何の音?いい、音色だね。」

「スガワラ様、そうですね。

すぐにわかりますよ。」

「ビリビリー」っと映像が頭上に映し出される。雅な音がすぐに消えていく。

まるでプロジェクションマッピングのようだ。

映像からミチミチが僕に話かける。

「スガワラ、どうだ?神様の仕事は大変だろう?」

「そうですね。大変と言えば大変ですが、

正直、思った以上に面白いです。」

「面白い?そうか、それは仕事に興味があるっということかな?」

「そうですね。ミチミチの方は、

どう?女子高生を楽しんでいますか?」

「もちろん!イェ―イ!」

映像をよく見るとカラオケボックスからのようだ。太宰府天満宮の分身1号は金髪に。

北野天満宮の分身2号は銀色に髪の色が変わってる。ミチミチは黒髪のままだ。

「みなさん楽しそうですね。一応、みなさん神様なんですから羽目を外し過ぎないでくださいよ。」

「わかっている。大丈夫だ。しかしスガワラ。たった一日しか神様業をして、いないのに、

なんか父のような風格だな。」

「ミチミチ何を冗談言ってるんですか?

僕は高校生。まだ16才。ミチミチよりずっと若いですよ。」

「そう、だったな。」

横の分身1号が「ミチミチ、あの事まだスガワラには言ってないの?」

「あー、タイミングを逃して。」

今度は2号が「スガワラ、お前は我々の父だ。」

「えっ?えーーー!」

ミチミチが、「分身2号なんで、言うの!

秘密にしてたのに!」

「ごめん。ごめん。」北野天満宮の分身2号が謝る。

太宰府天満宮の分身1号が

「ミチミチ、正直になりなさい。

私達は分身よ。

あなたの気持ちは手にとるようにわかる。

分身2号も同じでしょう。

千年前の朝廷でのぬれぎぬ。フジワラ氏への恨み。誰も助けてくれなかったことへの恨み。

分かっているから。

せっかく父上様にお会いできたんでしょう。

甘えてもいいのよ。」

宙に浮いた映像の3人の声が聞こえる。

状況がうまく把握できない僕は、

「ミチミチ説明してくれ。僕は、なんなんだ。」

分身1号と2号がミチミチに寄り添い、

「スガワラ、君は、父上様だ。」

「僕が?」

「スガワラ、千年前の京の都で私、はめられた。恨みの中、左遷先、太宰府天満宮で生き絶えた。どれだけ苦しんだ、だろうか。

誰も助けてくれない。

母上様、父上様にすがりつき涙することもできず。

正直、私の方も千年ぶりで戸惑っている。

父上様。」

「僕が?転生?」








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