第13話 ハヤテ

「ドーン!」僕は男にタックル。

これでも中学まではサッカー部のゴールキーパーだ。

男は床に倒れて鏡が手から落ちた。桃梅が素早く拾い上げ。

僕は男の背中に乗って抑え込み。

「ハヤテ泥棒みたいな、まねはしないで。

それでも元神様だったんでしょう。」

かなり強い口調で桃梅が男を責める。

それにため口だ。男は桃梅の知り合いか?

「はい。そうです。」

「桃梅、また脳内に不法侵入だ。良くないぞ。まあ、今はいい。それよりその男、ハヤテは何者なんだ。」

「彼はミチミチ様と同じ神様です。

勝負ごとの神様です。しかし、勝負の神様だからこそ、人間の罠に落ちてしまったんです。」

「人間の罠?」

「ギャンブルです。人間界でギャンブルにのめりこみ神堕ちした元神様のハヤテです。

以前、ハヤテの神巫女を行ったことがあります。それに年齢的にも近いので、ため口で話しています。」

「そうなのか。桃梅の知り合いかあ。」と言うより元恋人って感じだな。

桃梅が僕の下敷きになっているハヤテを少し心配している。

鏡は桃梅がしっかり持っている。

もう、いいか。僕はハヤテの背中から動いた。

「それでハヤテ、その盗んだ鏡をどうする気なんだ。」

「どうするって?売るに決まっているだろう。

「売る?」

「そうさ。」

桃梅が「ハヤテ、そんな盗品、誰も欲しがらないわよ。」

「売れるところは知っている。それにここ湯島天神の鏡は、受験生が多く参拝しに来る。

必然的に純粋な子供の願いが多い。勉強できますようにだとか。具体的に大学名や高校名で受かりますようにとか。子供のエネルギーの塊さ。」

桃梅が「簡単に言うと鏡は人間の願いをすべて映し出す。その映し出された、形のない願いは、すべて鏡の中に入ってエネルギーとなる。」

「そうすると、この鏡にはかなりのエネルギーが入っている。価値があるってことだね、桃梅。」

「そうですスガワラ様。鏡は良いエネルギーにも悪いエネルギーにも変換できます。」

僕は「ハヤテ、どうやら君は悪い人のようだ。今は僕が神様代理だ。僕がいるからには鏡は、絶対に渡さないよ。」

ハヤテも「なーんだ。つまらないな。

スガワラくん、君とは相性はよくないかも。

僕は逃げることにするよ。じゃ、またな。」

ハヤテはあっさり出ていった。

「ハヤテー!」

「桃梅、鏡はミチミチに神様交代するまで、僕がしっかりと守るよ。」

「そうですね。スガワラ様、よろしくお願いします。」




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