第9話 北野天満宮のタクヤ
「京都は暑いな。東京より暑いかも。」
「そうです。京都は盆地ですから暑いですよ。」
「君は?」
「私は元梅です。」
「もとうめ?僕は菅原道真のミチミチの友達の
タクヤだ。ここ北野天満宮で神様代理を1週間することになったんだ、ヨロシク。」
「はい。タクヤ様。
分身2号様よりお聞きしております。」
「ところで、元梅、僕は何すればいいのか教えて欲しい。」
「そうですね、実務は人間の神主、巫女が行います。ほら、あそこです。
神様は願いごとの可か不可の判断をつけることが仕事です。基本あの本殿の鏡が見せてくれます。判断は神様のタクヤ様が下してください。」
「じゃあ、鏡が答えを見せてくれるの?
よかった。簡単で。」
元梅が少し怒った顔で「タクヤ様、何か勘違いをしているようですね。
自分自身のことは自己責任、自己判断できます。
しかし神様は、たとえ鏡が行いを写し出してくれますが、最終判断はタクヤ様が、神様が決めなくてはいけません。
自分以外の人間の運命を決める。
大変なことですよ。」
「そう?僕はどちらかと言うとドライな性格だ。AIまでとはいわないが、機械的な思考の人間だ。」
「そうですか。あともう一つ、大事な仕事があります。」
「何?」
「神様のための神様の仕事です。」
「えっ?」
「タクヤ様もご存知の通り、ミチミチ様は祟り神です。この北野天満宮は菅原道真ミチミチ様の祟りを押さえ込むために造られました。
元凶の人々は千年前に消えていませんが。
しかし今も密かに京の人々はミチミチを恐れています。
正直、今のミチミチ様には負の感情は少しもありません。
時折悪さをするのは実体のない、あの千年前のミチミチ様の実体のない負の感情だけです。」
「なんか変な感じだね。湯島で会ったミチミチは普通だったよ。普通の人間みたいだった。」
「そうですか。それだけ俗世間が恋しいのでしょうか。正直、神様ですが元は人間です。
自然とカラダが欲するのでしょう。
それに分身2号様、大宰府の分身1号様と今頃、女子高生を3人で楽しんでいらっしゃることかと思います。話が少し、ズレましたが、本殿内に箱があります。
その箱の中の携帯があります。その充電を毎晩忘れずに充電することが、もう一つの大切なお勤めになります。」
「元梅、それは誰の携帯?」
「祟り神の携帯です。箱の中にいる千年前の負の感情のミチミチ様がいます。
携帯情報を渡すことが祟り神への供物となります。」
「情報が供物?」
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