第8話 ジョー太宰府天満に降臨

わあーどうしよう。参拝者が来てしまった。

『あの人達からこっち、見えているのかな?』

『見えてるわけないでしょう。

今度の神様代理はおバカなのか?』

「神様、見えているわけないでしょう!」

「君は?」

「申し遅れました。

私は神様サイドの巫女の紅梅です。」

「僕はミチミチの友達のジョーだ。

ヨロシク。でここは、ミチミチの分身の1号が、神様やってると思ってたけど、違うの?」

「いいえ。違いません。

分身1号様は、本体のミチミチ様と北野天満宮の分身2号様と3人で女子高生をするとのことで不在です。

ジョー様のことは本体ミチミチ様よりお聞きしています。神様時間の1週間、こちらで神様をされるとお聞きしています。」

「そうなんだ。聞いてるんだね。紅梅ヨロシク。」

「はい。」

「紅梅、ちっと僕に対する態度が冷たいようですが。何か僕、悪いことしたかな?

大宰府が退屈なところだ。と言ったこと?

悪かったごめんなさい。

これでも女子には優しいんだけど。

それにモテるしね。」

紅梅の花びらが1枚落ちた。

「ジョー様、嘘をつきましたね。」

「えっ?」

「神様が嘘をついてはいけません。」

紅梅がジーっと僕の顔をのぞきこむ。

美しい紅梅の顔が近い。

いつもの軽いノリの言葉が出てこない。

ドキ。はじめの感覚だ。

「すまない。紅梅、嘘ついた。

女子には優しいけど。

モテるのは嘘でしたー!

ちょっと見栄を張りたかったんだ。」

「そうですか。特にそういうことには興味がありません。」

バッサリ切られた。

まあ、いいや。相手にされなくても近くにいるだけでも幸せかも。

僕はついている。

「ジョー様、とりあえず仕事をしてください。神様業です。

表の世界ではほら、人間の神主と巫女達が現場で動いています。」

僕は本殿側から外を見た。袴を来た神主たちが忙しく巫女と祝詞をあげて舞を舞っている。

紅梅が「ジョー様、祝詞の行事は現場に任せてください。

はい。それより参拝者達の言葉が飛んできました。ジョー様、すぐに鏡を見て。

何か写っていますか?」

「試験勉強を一生懸命にやっている姿が見える。」

「はい。今の参拝者は努力をしています。

ジョー様、神様は彼の願いは叶えますか?

はい。即答。お願いします。」

紅梅がその参拝者に梅の花を渡す。

彼の願いは実現する。

次の参拝者。『次のテストで一番になるぞ。』

僕はすぐさま鏡を見た。『勉強してない。ゲームばかりだ。』即答で「だめだ。」

裏方本業の神様も意外と忙しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る