第6話 ミチミチの神様業

僕らは正直実在する神様と会えて少し興奮気味だ。特にジョーは神様のミチミチが可愛いから余計にテンションが上がっている。

分かる気はする。透けるような白い肌に輝く黒い長い髪。サカキのかんざしをさし、白い神様の衣装をまとう。

ジョーが言う可愛いではなくて、僕にはとても美しいと感じる。

『そうっか。私はそんなに美しいのか?スガワラ、ハハハ。』

『ミチミチ、脳内に勝手に入ってこないで、くれ。

いくら神様とはいえ、脳内不法侵入だぞ。さっきの美しいの言葉は撤回だ。

普通だ。ミチミチは普通だ。』

タクヤが「スガワラ、何をカリカリしてるんだ?」

ミチミチとの脳内会話を2人は知らない。

これは黙っておこう即座に思った。

「いや、なんでもない。神様の仕事って僕らの授業勉強より大変なのかなって、考えてただけさ。」

「先生も高2の2学期を制するものは大学受験上手くいく、みたいなこと話していたからさ。僕ら来年受験だ。

非現実的な現象が今、目の前で起きている。興味深く、引き込まれたい。

普通だったら、ミチミチの神様側の世界に、あちら側の世界に遊びにも行きたいし、こんなチャンスない。

わかっているけど、目の前の勉強をしなくてはいけない。もどかしいよ。」

タクヤが「そうだな。確かに今日は始業式で授業がなかったから、ここに来れたけど。やっぱり現実世界が優先だよな。」

ジョーも「ミチミチ、可愛いからもっと仲良くなりたいけど、受験が先だな。」

現実に戻った僕らは、少し黙りこんだ。

そして僕はつい、口にしてしまった。

「受験勉強より神様の仕事の方が楽だよね。」

タクヤもジョーもうなずいた。

怒った顔のミチミチが「神様の仕事の方が楽?そんなことないわ。

とても大変よ。でも。」少し沈黙があって

「でも楽しいかも。いろんな人間がいて、それぞれに願い事も違う。

正直、全部叶えてあげたいが、無理もある。」

「そうだな。しかし勉強よりは楽しそうだ。」

僕は思わず「ミチミチ、僕らと神様の仕事交代してみない。

1日ぐらい交代してもバレないと思うよ。」

ミチミチが「しかし、それは・・・」考え中。

僕はミチミチの背中を押す。「神様がチャレンジしなくてどうすんだ。」

「そうね。私の分身1号、大宰府。2号北野天満宮、そして私。

ちょうど3人いるし交代してもいいかもね。」

タクヤもジョーも乗り気だ。

ミチミチは「じゃ、気が変わらない間に・・・」光が。

僕らは変身して入れ替わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る