第4話 天神様の分身1号、2号

「すごいなミチミチ。君は神様だったんだ。」

「スガワラ、会った時からそう言ってるぞ。」

「そうだった。すまない。

あと、ミチミチ出会った時より言葉が少し偉そうなんだけどさあ?」

「これが普通だ。人間界のスーパーは初めてだった。少し、もたついていた。

神様だって、恐縮することはある。

そのくらいの人間界の常識はもっているぞ。」

少し顔が赤い。

素直に可愛いと思った。

女子好きのジョーが割り込む。

「ねえ、ねえミチミチ、彼氏いるの?」

真面目なタクヤが

「ジョー、何を言ってるんだ。ミチミチに失礼だぞ。

学問の神様、菅原道真だ。ミチミチ。

偉い神様なんだぞ。彼氏とか、聞くんじゃない。」

続けて、タクヤはミチミチに

「ジョーは、女子を見かけると口説き癖があって、ごめん。気にしないでくれ。」

ミチミチが笑いながら

「タクヤはジョーの母さんみたいだな。

不出来な子供の不始末を謝るみたいな。

優しいな、お前は。」

僕は心臓がグキっとした。

ミチミチが自分以外に好意を持つのは嫌だ。

『これはヤキモチか?』

「そうだ。ヤキモチだ。人間特有の感情だ。」

ミチミチがわざと大きな声で言った。

タクヤが「えっーーー!

スガワラが僕にヤキモチ?」

僕は少し怒った顔をして、

「そんなことあるか。ばーか。」とタクヤの肩を押した。

空気の読めないジョーが

「何々、スガワラが恋に目覚めたって?

おめでとうスガワラ。

やっと僕の仲間ができたあ!」

またタクヤがジョーを止める。

「ジョー、あんまりふざけるなよ。」

タクヤがジョーのおでこにデコピン。

「痛っ。」

男子3人のおふざけをミチミチはしらーっと見ていた。

「お前たち、どうでもいいが。女子は元来、怖い生命体だ。気をつけろ。

私も京都の貴族どもへの恨みはしっかりと仕返した。」

僕は思い出した。菅原道真は元は祟り神。

陥れ、太宰府へ左遷。京都を恋しく思い、かの地で果てた。

その恨みは京都を天変地異へ落とした。

都人達は菅原道真を恐れて、北野天満宮をミチミチのために造った。

そうだ、ミチミチの言ってることは現実。

女子は怖い。恨まれないようにしよう。

ミチミチが「スガワラ、私が怖いのか?

しょうがないな。

本当のことを言うと千年以上前のあの事件で、正直恨みのエネルギーはもうない。

それにあの北野天満宮に私はいない。分身2号がいる。ついでに言うと太宰府天満宮にもいない。あそこは没した地。分身1号が担当している。そして本体はここ湯島にいるぞ。」


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