第3話 神様ミチミチ登場
「えーっ!」
長い黒髪。白い衣装。サカキをかんざしがわりに女子が自販機の前に立っている。
腰に片手をおき、ジュースを飲むミチミチ。
頭から色がつきだして足元まで、あっという間に全身。
「姿が見える。」
「女子だ。」ジョーが叫ぶ。
僕は冷静に少し会釈して「こんにちは。ミチミチ。」
「この前、スーパーで助けてくれた少年。助かったありがとうスガワラ。」
「ミチミチ、どうして今日は姿がみんなに見えるんだ?」
「あー、これ。最近、俗世間の食べ物を食すようになって、だんだん、こっちの世界で存在ができる時間が長くなったんだ。」
「そうなのか。じゃ、心配はないんだね。神様。」
「スガワラ、私のことを神様だが、ミチミチと名前がちゃんとある。
ミチミチと呼んでほしいものだ。」
「そうですか。分かりました。ミチミチ。」
「スガワラ、君は私を助けてくれた恩人だ。
友達だ。ミチミチと気軽に呼んでくれ。
それに同じスガワラだ。私達は、と言いたいがまた別の機会にしよう。」
ミチミチは僕に何か言いかけたがやめた。気になるがまあいいや。
僕とミチミチの会話を横でタクヤとジョーが固まって聞いている。
僕は二人に「彼女がスガワラミチミチ。神様だ。」
ジョーが「はじめまして、ミチミチ。僕はジョー。神様可愛いですね。
付き合ってください。」
タクヤが止めに入る。ジョーは可愛い子に目がない。
「ジョー、失礼だろう。ミチミチは神様だぞ。」
タクヤがミチミチに謝る。
「いや、大丈夫だ。スガワラの友達なら、私にとっても友達だ。ヨロシク。」
二人はハモって「はい。」
タクヤとジョーは神様ミチミチと話せて少し興奮気味だ。
でも姿が見えてよかった。これで僕も嘘をついて、いなかったことも証明されたしな。
ミチミチが「スガワラ、何だって。私の存在を見せたくて来たんだな。
少し遊んでやろう。」
ミチミチはかんざしのサカキをとって風を起こした。
僕ら3人は姿が消え透明に。風に乗り気づくと本殿の中に。僕らのカラダは透明のまま。
本殿前に願い人が来た。
お賽銭を入れて。『テストで良い成績がとれますように。』
「みんな、見て。」ミチミチが本殿奥の鏡をさす。
よく見るとさっきの学生の姿が鏡に映る。
自宅の机で遅くまで毎日勉強する姿が映し出された。
「彼は、毎日努力している。こんな人間に、私は力を貸す。」
タクヤが「ミチミチが力を貸すと絶対良い点数がとれるの?」
「願う本人が一生懸命なら。」
僕はミチミチを見た。
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