第25話ヨーロッパ連合艦隊



インドと結ばれた日印安全保障条約。


安保条約には、外部からの武力攻撃に対して日本を防衛する義務をインドが負うことを明記するとともに、日本の施政権下にある領域内でインド軍が武力攻撃を受けた場合にそれを防衛する義務を日本が負うことも規定し、平等相互の援助条約となっていた。


「艦長に敬礼」


キビキビした敬礼がなされた。


「我々ミサイル艦1隻は、インドに訪問している佐々木外務大臣を守る義務がある。それは表向きの理由だ。ヨーロッパ連合艦隊がインドへ向かって来ている情報を早くから掴んでいた。この最新のミサイル艦1隻で迎え撃つのが今回の本当の目的だ・・・心配するな負けるハズがない」


インドの記者が「パシャ、パシャ・・・」と撮っていた。


「艦長、今回の戦いに自信を持っているようですが勝てる見込みは・・・抱負ほうふを聞かせてください」


「あるに決まっている。心配しているようだが、この艦は最新鋭のミサイル艦でヨーロッパ連合艦隊の武力をミサイルで大破するだろう。何故なら1発のミサイルで10トンの爆発威力があって、最厚部500mmでも貫通してから爆発する仕組みになっている」


「え!一瞬ですよ・・・それが可能でしょうか・・・」


「可能だ。3回も公開テストを見ている」


その公開されたテストをタブレットで記者達に見せた。


記者から歓呼の声が・・・


「これなら勝てるぞ」


「勝ってもらわないと独立した意味がない」


「これを記事にしても良いですか・・・」


「記事にしても差し支えはない」


ああ、佐々木外務大臣の命令だから仕方ない。

これも外交の1つだと聞かされて、説得させられるなんて思ってもいなかった。




「記者は帰ったか・・・」


「帰りました」


「それでは出航だ。ヒトフタマルマルには目的ポイントへ行けるか」


「余裕で大丈夫です」


前もって登録したコースを選択して、到着時間も再度確認してパネルを押した。


港に横付けしているミサイル艦が真横に動きだした。

十分な安全距離になると前に進みだす。


補充で乗っていた新人は「先輩、真横に動きましたよ」


「それで驚くと後々後悔するぞ。もっと驚く秘密がこの艦にはあるんだぞ」


「それは何ですか・・・」


「後の楽しみに取っておけ!」


後ろで聞いていた男も笑い出した。






「艦長!潜水艦10隻を確認」


「1番から10番の魚雷を発射しろ!」


手元で操作して「1番から10番の魚雷を発射!」


空に向かって飛ぶミサイル。


しばらく飛んで後部を切り離して、滑るように海面へ・・・



あっちこっちで海面から柱のように水が高く立ちのぼった。


そして海面には、浮遊物が浮き上がる。


「潜水艦10隻を撃破!」





「ヒトヒトヨンヒト、目的ポイントへ到着しました」


「そうか・・・ヒトフタマルマルまでに全ての艦を登録可能か・・・」


「可能です・・・補給艦も大破しますか・・・」


「補給艦は帰してやれ・・・それ以外は登録だ」


「了解」


手元でパパッと手早く操作。


「登録完了」


時計は11時50分だった。

そして艦長の顔を見続ける。


「なんだ・・・発射したいのか・・・発射しろ」


「発射」


ミサイル艦から複数のミサイルが発射された。


「ガチャン、ガチャン」と忙しく音が・・・


その音が止まると又も複数のミサイルが発射された。





邪魔な駆逐艦10隻が大爆発して、端微塵ぱみじんになっていた。


大勢の人々が突然の大爆発に驚いていた。


1人の男だけが「やっぱり長距離攻撃を仕掛けたか・・・だから反対だったんだ」



空母のど真ん中が爆発して、空母が沈むのが速すぎている。


そして戦闘機の残骸が「プカッ」と浮かび上がった。


中には、無傷な戦闘機もあった。

その戦闘機に2人がしがみ付いている。


「俺って助かったのか・・・」


「あれはニッキーだぞ。助けるぞ」


「よく見ろ、胴体しか浮かんでない・・・諦めろ」



3連装砲塔を4基装備する戦艦の1つの砲塔を、ミサイルが貫通して大爆発が起きた。

水の浸水が激しく、持ち堪えられない。

誰の目でも沈むのは確実だ。


上官だった男が叫ぶ。


「この艦はダメだ!海へ飛び込め!」


なので諦めて多くの人が海に飛び込んだ。


1人の男が飛び込む前に見た光景は、驚愕する光景だった。


補給船を残して、駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母の姿がなかった。


「こんな相手に戦争を仕掛けたのか・・・」


そして海へ飛び込んだ。



補給船に救助された数は、258人。

多くの人が海に・・・


「本国へ帰るぞ」


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