第24話暗殺計画Ⅱ



「センサーオン・・・成る程、その部屋を選んだの・・・ポイント002へ転送」


黒いパワースーツを着用したアンドロイドのミサは、2番目の部屋へ転送されていた。


「ここが有名なスターリンの寝室なの・・・見掛け倒しね」


振り返って見ると内側から鍵か掛けられていた。


スターリンが寝るベッドに向かって歩く。


タブレットで顔を何度も確認して「間違いないようね・・・」


手に持っている吸入マスクを、そっとスターリンの口へ当てる。

そしてスイッチを入れると「シューゥ」と音が・・・


「気持ちよく吸ってるわ・・・それにしても怖い男だわ・・・何人もの人間を殺しておいて、こんなにスヤスヤと寝るなんて・・・」


生命センサーが反応して「もう死んだの・・・呆気ない死に様だわ・・・」


無理やり起こして錠剤を飲ませても、多少の抵抗で殺しの痕跡を残したくなかった。

なのでガス状にして吸わせて、寝た状態で殺した方がメリットがあった。

ただ、それだけだった。


もっと残酷に殺したいが、マスターの命令に逆らえない。


「このパワースーツの遮蔽しゃへいを使うこともなかったわ」


残念がるミサだった。


「転送をお願い」


ミサは、一瞬で消えた。







「え!スターリンが死んだ」


「これが死んで寝ている姿だ」


連続で撮った数枚の写真をテーブルに置くと、奪うように写真をとられた。


ジーッと見てうなった。


「死んだか・・・」


写真を次々に回し見る人々・・・

スターリンが住んでる屋敷の写真や、顔に吸入マスクを付けた写真と目と口が開いた顔など・・・


「この顔はスターリンに間違いない」


「こんな夜に呼び出すから何事かと思ったが、これでぐっすりと寝れるぞ」


「お前もか・・・」


「これで開放されたな・・・あの恐怖政治から・・・」


「こんな喜ばしことはない。そう思わないか同志よ」


1人が立ち上がって両手をひろげた。

一斉に立ち上がって、抱き合って喜びを分かち合った。


「それでは同志、我らが迅速に動くべきではないか・・・」


部屋を出て行った。






緊急にソ連共産党大会が開かれた。



その内容はスターリンが心臓麻痺で死んだと発表から始まった。

そしてスターリンが行なった悪行の数々が粛々と述べられる。


スターリンによる大粛清では、250万人が逮捕され、そのうち68万が処刑、16万人が獄死した。

1953年の統計報告によれば、1921年から1938年までの間に処刑されたのは74万5220人。



それを聞いた会場の人々はざわつき、抗議の声が叫ばれた。


「同志よ、我々は反省する時が訪れた。スターリンなる怪物が共産党を食い物にして生きながらえたことを反省するべきだ。よってヨーロッパで連合して日本の条約を破棄したことも間違いであった。ここに戦争終結を宣言して、日本に破棄した賠償としてシベリアを譲渡するものとする」


又もや会場がざわつく。


「ソビエト社会主義共和国連邦を解散しることを決意した。そしてロシアとしての過ちを改めて、新たに再出発すること誓う。そして自国が攻められぬ限り他国に対して侵攻することはない」


会場が静まり返った。


▼以下の国の独立を許した。

アルメニア

アゼルバイジャン

ベラルーシ

エストニア

ジョージア

カザフスタン

キルギス

ラトビア

リトアニア

モルドバ

タジキスタン

トルクメニスタン

ウクライナ

ウズベキスタン





シベリアが日本領土となったので、本格的な開拓が行なうことにした。

手始めにシベリアの地熱を使うことを思いついた。


「温室なら冬でも野菜が作れるかな・・・あまり知らないけど」


「マスターの知識には、抜けてる知識が多いと思います」


「嫌々、温室って知らないよ・・・地球に来て野菜を初めて食べたからね」


なのでミサに丸投げした。

ミサから教育を受けた人々が温室を作った。

資材は、こっちで用意。



「赤々としたトマトが実ってるぞ」


「どんな味なのか・・・失敗したら」


「食べたら分かるよ」


1つを切り取ってかぶるつく。


「これは、ほんのりと甘味があって美味いぞ」


「どれどれ・・・本当だ・・・これがトマトの味なのか・・・」


トマトだけでなくキュウリなど新鮮な野菜も取れるようになった。



それに極寒の耐性の高い穀物の種をまいて、2日目で芽が出てきた。

広大な土地に青々とした芽が・・・



地熱を利用した地熱発電で電気の供給も始まった。

昼夜、天候を問わず24時間連続して発電して、生活にゆとりが出てきた。


温室効果ガスの排出もない。

再生可能なエネルギーとして利用価値が高い。


ただし現代の技術では、コストが掛かり過ぎる問題があった。

しかし、未来の技術なら安くて効率の良い発電が可能だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る