第20話救助



ニューヨークの空をフクロウが飛んでいた。

フクロウの機体に載った放射能除去装置から放射能除去光線が10キロ圏内に照射。


ガイガーカウンターの数値が減りだす。


「数値がゼロになったぞ」


「こんなに簡単に減らせるのか・・・」


「青木総理を信じてなかったのか・・・」


「申し訳ありません」


「コース032へ移動だ。時速50キロを保って移動しろ」


「了解しました」


無数のフクロウが飛んでいた。



「ニューヨーク州の放射能除去は完了した。これからA班は、ニュージャージー州へ向かいます」


「こちら本部、了解した」


「こちらコネチカット州を任されたB班、放射能除去が完了したのでロードアイランド州へ向かいます」


「こちら本部、了解した」


「こちらペンシルバニア州を任されたC班、放射能除去が完了したのでオハイオ州へ向かいます」


「こちら本部、了解した」


『D班から連絡がないぞ』


『分かりました。連絡をして確認をとります』


「ミシガン州のD班、放射能除去が完了したか・・・」


「こちらD班、まだです。後20分必要です」


「こちら本部・・・了解した」


『後20分で終了するそうです』


『そうか・・・』







「ニューヨーク州が無事に放射能除去が終わったそうだ」


「これで放射能を恐れる必要もなくなりました・・・それでは我々救護班の出番ですね」


「そうだな・・・危険があるかもしれないから十分に注意して救助してくれたまえ・・・」


「分かっております」


輸送船を改造した病院船の上に輸送ヘリ10機が待機している。


「速やかに生き残った人を助けだすんだ。君らもアメリカ人が憎いかもしれないが決して私情を挟むな!」


「我々は、決して私情を挟みません。救護をするために来ました」


「いい心構えだ!与えられた地域で救護を頼む」


全員が「了解しました」


「出発だ!」


輸送ヘリへ駆け込む医師や看護士と救護メンバー。


「001救護ヘリ、離陸許可を求む」


「001救護ヘリ、離陸を許可する」


001救護ヘリが空へ飛んだ。


許可をもらった救護ヘリが次々に飛んだ。



ブリッジでは、モニターを見ながら・・・


「進路!ニューヨークの港へ」


計器やコースを指差し確認して・・・


「計器ヨシ、コースヨシ、自動操縦オン」








「生命探知ドローンが発見したぞ」


「こりゃーダメかも・・・」


「心配無用だ。こっちには治療カプセルがあるから大丈夫だ」


「しかし、足が倒壊した瓦礫がれきに挟まって壊死えししてますよ」


「それより牽引ビームで瓦礫を撤去するのが先だ」


男はヘリに向かって走りだす。


そしてヘリから牽引ビームが照射されると徐々に動きだす。

瓦礫や1人の女性が空中に浮かびだす。


更にビームが女性を捕らえる。

そのまま引き寄せられてヘリの中へ・・・


「何をやっとるんだ!服を切って脱がせろ!」


「はい・・・・・・」


ぎこちなく服を切る看護士の男は、顔を真っ赤にさせている。


医師と看護士で女性を第1カプセルへ入れた。


カプセルのフタが閉まるとセンサーが動き出した。


「後2時間も遅れていたら死んでいただろう。それに黒い雨を飲んだようだ・・・内蔵もひどい・・・洗浄スイッチを」


カプセル内が一瞬でくもった。

そのくもりが消えた後には、洗浄で綺麗になった全裸の女性が・・・


「第2カプセルへ」


第1カプセルの女性が浮いて下部が開き、ゆっくりと第2カプセルへ移動。


「治療開始だ」


青く治療ランプが光った。

カプセル内が見える仕組みで、壊死した足が徐々に再生している。


「順調のようです」


「足は10分後に治るだろう・・・完治するには1時間は必要だな」





遺体の回収をしてエンバーミング『遺体衛生保全』を・・・

そして大きな建物で低温にして保存。


真っ黒で消し炭となった遺体は、歯を取り出した。

遺伝子情報(DNAの塩基配列)を自動的に解読したが破壊されて解析不能。

そんな遺体は、共同無縁墓地に埋葬されることに・・・




希望を持って仮設病院へ訪れる人々。


「サリー、サリーなのか・・・」


「あなた・・・死ぬ寸前だったみたいなの・・・」


「それは、本当なのか・・・」


「これが、その時の動画よ」


見せられた動画に涙する夫のロバート。

彼女の隣には、息絶えた同僚のキャシーが居たからだ。



仮設病院で会えない家族は、遺体安置所へ訪れた。


「あれは娘だ・・・あの肌は生きてるぞ」


「あれはエンバーミングで生きてるように見せているだけなので・・・」


「そんなバカな・・・」


「これが死亡診断書です」


「故郷へ持ち帰れますか・・・放射能に被爆していると故郷へ埋葬出来ないと言われたので・・・」


「大丈夫です・・・これが安全保証書です」


「ありがとう・・・日本人のあなたに親切にされるとは・・・政府は何もしてくれなかった。それなのに・・・」



遺体もなかった人々は、共同墓地の前で泣くしかなかった。






山積みの瓦礫を転送して宇宙船に回収を済ませる。

そして原子にして貯蔵する手はずに・・・


「マスター!まだまだ余裕です。新しい原子タンクの100分の1も満たしてません」


「分かった・・・アラスカで良い物があれば回収してもいいぞ」


「分かりました」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る