第17話原爆投下
アメリカで個人投資家として有名になり過ぎた。
その名はアルバード・レーン。
小さな投資から大きな投資で100%の利益を上げ続ける。
その資金は、600億ドル。
あくまでも表の名だ。
裏の闇では、違法薬物の流通を60%を牛耳っている。
嫌、大西洋の貿易が困難になった今では、90%だ。
「ハートフォード・クーラント社の株が暴落したぞ。1時間後に一気に買いだ」
「知事の汚職がリークされるのが2時間後だ!だから買いまくるぞ」
「ハートフォード・クーラント社の株を何%買った・・・」
「55%です。これで最古の新聞社も手にいれましたね」
「ニューヨーク・タイムズの株を全て売り払え」
「どうして・・・もうすぐ筆頭株主になれるのに」
「あの新聞社は潰れるからな、そんな株なんか持っても意味がない」
「それって本当ですか・・・」
「ニューヨークの会社の全ての株や不動産も売り払え!」
ここに居たスタッフは凍り尽くした。
なにかが起きる前兆だと感じたからだ。
それでなくては、株操作なんか出来ない。勘と経験がものを言う世界だ。
「いいから俺のニューヨーク株を全て売ってくれ・・・頼む・・・理由は聞くな」
ある者は、ニューヨークの親戚に電話を掛けて「なんでもいいから、すぐにこっちに来てくれ・・・違うって・・・秘密だがニューヨークが危ない。だから逃げるんだ」
8月12日。
ニューヨーク上空で原子爆弾が爆発。
アメリカ史上、最大の悲劇が起きた。
原子爆弾を改造して威力を強化。
それによって700万人以上の被害が出た。
死傷者400万人以上。
その数は、日が経つと更に増えた。
それによってマンハッタン計画が世に知れわたった。
ロスアラモス研究所や開発総責任者ロバート・オッペンハイマーの名が、スクープとしてデカデカ掲載。
アメリカ人に衝撃を与えた。
そして怒りの先はホワイトハウスへ・・・
そして、新聞各社に手紙を投函。
匿名で原爆の爆発以上に恐ろしい放射能についてリーク。
政府が隠していたデーモン・コア実験の事故もリーク。
当時の科学者は、今となっては考えられないほど危険な実験を平気で行なっていた。
デーモン・コアとは球体状の未臨界のプルトニウムの塊。
直径は89mmで重さは6.2kgと意外と小さい。
実験内容はデーモン・コアの周囲に中性子を反射する特性を持った炭化タングステンのブロックを積み重ねて臨界値を計るというもの。
炭化タングステンとデーモン・コアが離れていれば臨界反応は起こらない。
なんとダリアンは軽装のまま夜に一人で実験をしていた。
ダリアンの手が滑って炭化タングステンを落とす。
しかもデーモン・コアの真上に・・・
デーモン・コアと炭化タングステンが接触。
デーモン・コア内で臨界状態になり大量の中性子線が放出。
部屋は、一瞬で青白い光で包まれる。
ダリアンは臨界反応を止めるために、炭化タングステンを手で払いのける。
それでようやく臨界反応が停止。
ダイアンは急性放射線障害で25日後に死亡。
24歳の若さだった。
ニューヨークの原子爆弾の爆発は、様々な憶測を広げている。
陰謀説が飛び交う中で、運搬途中で誤って飛行機から落下して爆発した話が・・・有力になる。
それが本当の話のようになるのが「数枚の写真」。
捕獲したB-29をニューヨークの空に飛ばしたのは、我々だった。
日本の空で飛ばしてから母船で転送、ニューヨークの空へB-29が飛んだ。
そして、ビルの屋上に転送されたカメラマンがニューヨークの空を飛ぶB-29を撮った。
筆頭株主となった新聞会社に、そのネガを手渡す。
「君が記事を書きたいのなら決して情報源を明かすな。その意味は分かるな」
「はい、分かってます。驚く記事を書いてみせます」
デカデカと一面を飾るトップニュースだ。
その日の新聞の写真は、クライスラー ビルディングとB-29が写った写真だ。
それも機体下部が吹飛ぶ連続写真で爆弾投下が写っていた。
▼クライスラー ビルディング
アールデコ調のクラシックな超高層ビルで、7 つの放射状アーチとステンレス製の反射するファサードが有名。
1930年に建った318mのビルだ。
またもやホワイトハウスの前で何万もの住民が抗議デモを行なっていた。
「なんで・・・こうなった」
「日本が原子爆弾を盗んでニューヨークを攻撃したのでは・・・」
「君は、それを信じるのかね・・・どんな方法で盗んだ。そしてアメリカでどうやってB-29を飛ばして攻撃したんだ。太平洋を横断して来たのかね。空母も飛行機もレーダーに捕らわれてないぞ」
「もしかして内通者が居て・・・何処かの飛行場からB-29が飛んだかも・・・」
「その情報があるのか・・・」
「ありません」
「ない話などするな!・・・ルーズベルトに全てを擦りつけるしかない・・・もう死んだ人物だから擦りつけても文句もないだろう・・・それしかワシが生き残る術はない」
「その筋書きで報道してみせます・・・絶対に成功させます」
汗を拭き、どうすればいいと考えるCIA長官。
ー ー ー ー ー
「総理、トルーマンがあんなことを言ってます」
「バカな男だ。携帯で盗聴されてるとも知らずに・・・」
「アメリカ企業が分解しても何も解明出来てませんから・・・仕方ありません」
「そうだな・・・」
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