第15話暗殺



皇居に用事があって桜田門に6輪駆動の電気自動車が通り掛かった。


その時、何かが投げ込まれる。


電気自動車の1メートル手前で爆発が起きた。


「とめろ!」


「え!ここは突破すべきでは・・・総理」


「この車は頑丈にできてるから気にすることはない。奴らの手の内を見ようではないか・・・それにさいは投げられた」


更に投げ込まれる手榴弾が爆発。


10発は爆発しただろう。

もう、道は穴だらけだ。


陸軍の若い将校による暗殺事件だ。

私服に変装した陸軍の兵が機関銃を取り出す。

そのまま車に機関銃を放った。

襲撃した陸軍の兵の数は55人。


そして「ダダダダダダ・・・」機関銃が四方から撃ち込まれる。


土煙が収まり・・・何の損傷もない黒塗りの車が鎮座。


それが合図となって四方から現れた皇居親衛隊は「撃てーー!!」と叫んだ。


プスッと針が刺さり、一瞬で朦朧もうろうとなって倒れる暗殺者達。


「暗殺計画がばれたのか!」


その男も倒れる。

10人まで減った兵も最後のあがきで機関銃を撃ち放つ。


しかし、親衛隊に当たることもなく、見えないシールド盾によってはばまれる。


「なぜ貫通しない・・・まるでガラスのような物で銃弾を弾かれているぞ、信じられない」


男の胸に麻酔弾が刺ささり「う!」と唸って倒れた。


「現行犯で逮捕だ!」


「舌を噛んで自決しないように猿ぐつわを噛ませろ」


「こちら親衛隊!暗殺計画を阻止しました・・・はい・・・死傷者0です」


俺は車から出て「なんて愚かな連中だ。もう幕末の明治維新でもあるまいに、暗殺で政変を狙っても何も変わらんぞ」


「総理大臣!大丈夫ですか・・・」


「よもや暗殺計画を実行するとは・・・陸軍のうみをすべて吐き出す必要があるな・・・手はず通りの計画で進めてくれ」


「かしこまりました!」






国会議事堂の部屋にドカドカと親衛隊10人が入った。


「何を勝手に入って・・・無礼だぞ。ここは陸軍大臣の部屋と知って入って来たのか・・・」


補佐官の2人は、親衛隊によって腕をねじ上げられた。


「あ!痛たた・・・」


「麻生陸軍大臣、あなたは暗殺計画に係わった罪で逮捕します」


「なんだと、証拠は・・・ワシは陸軍大臣だぞ」


「その陸軍大臣の職は、閣下の命で失職してなくなっています。もう言い逃れはできませんよ!覚悟してください」


麻生は、膝をついて「なぜだ・・・なぜばれた」


親衛隊の1人がボイスレコーダーのスイッチを入れた。


「いいか絶対に失敗は許されないぞ。必ず青木の若造を殺せ」


「はい、必ず暗殺を成功させます」


ボイスレコーダーのスイッチを切り、振って見せる。


「今の声は誰の声かわかるな・・・すべて録音されているから言い逃れは無理だぞ。実行犯の将校も生きたまま捕まえたぞ。それに将校は、改心して係わった人々を白状して、今頃捕まってるだろう。もう諦めろ、この非国民が・・・貴様のような者は国家反逆で死刑にしてやる」


「暗殺がすでにばれていたのか・・・だから皇居訪問もあえておおやけにしてたのか・・・我らは仕組まれたのか・・・」


「何が仕組まれただ。暗殺なんて卑怯な手を使いよって」


思い切りビンタが炸裂。

赤く手形の残ったまま麻生は、気を失い倒れた。


「反逆者に容赦はいらん。引きずってでも連れて行け」


2人の親衛隊によって両脇を引張られて、多くの人々が携帯で撮ってる。


「やめないか!陸軍大臣だぞ!」補佐官が叫ぶ程に人が集まりだす。


かえって逆効果だ。

ほれみろ、マスコミがビデオカメラで撮ってるぞ。

あああ、惨めな姿を晒されている。





【陸軍、皇居の桜田門で暗殺計画】


【麻生陸軍大臣、国家反逆罪で逮捕】


そんな風に朝刊でデカデカと報道。


それより速く携帯で撮った。一般人の桜田門暗殺動画が前日の14時に投稿。

携帯で撮られた生々しい光景を、アッと驚かせて拡散。


日本中の人々の感心を駆け巡った。

その投稿に「いいね」評価が1日で450万越えであった。




軍法会議で5人の裁判官の裁判長が手元の紙を見ながら読み上げる。


「被告・・・麻生泰一郎は、陸軍大臣でありながら暗殺という安易な方法で国家反逆を計画したことを重い罪だと認識してください。密会の動画を見ても罪は明らかだ。今でも十分反省しているとも思えない。よって情状酌量の余地もないことから被告人を死刑に処する」


何台ものカメラが軍法会議を撮って生中継をしていて法廷がざわついた。


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