第13話B-29捕獲



1945年8月10日。

飛行コースから東京に向かってB-29が飛行していることが判明。


人工衛星のカメラを使ってズーム。

やはり原爆が乗せられたエノラゲイ(爆撃機)と解析された。


この原爆が日本に対しての脅しなら、無人島に落として威力をデモンストレーションすればいい。

それをあえて人口が多い東京に原爆投下するのか、まさに人間を使った実験でしかない。

当初から多大な被害が出るのは分かっていたハズだ。


それに未来の事実と違っている。

これって俺らが原因なのか、きっとそうだ。

アメリカは負け続けて、東京に落とせば勝てると判断を下したに違いない。


なんて鬼畜な奴らだ。人の命をあまりにも軽視し過ぎだ。

これって白人主義ってやつなのか・・・


原爆の脅威を実際に都市に使って、各国に見せつければ戦後に優位になるとアメリカは思っていた。

もう腹が立って仕方ない。


閣下がアメリカへの原爆投下はダメだと言わなかったら、俺は投下してただろう。

なぜって、宇宙戦争では惑星破壊が当たり前だった。

原爆なんか小さな被害だ。



それにしても人工衛星からまる分かりなのに・・・なんてバカな奴らだ。


「マスター、微かにもれる放射能を感知。原爆搭載は間違いありません。墜落させますか、それとも・・・」


「この時代の原爆を刺激しては不味いぞ。爆発するかもしれないからな・・・残る手段は決まってる。B-29を捕獲する」


「それでは、捕獲作戦を発動します」



核実験場の地震で諦めたと思ったが・・・

あの3日で原爆を移動させたかもしれない。

あの時、空爆すれば良かった・・・ただし恐ろしい結果になるだろう。



事実では原爆投下の警告ビラを散布したのに・・・

B-29をスキャンしたがビラはない。

まさに国際法違反だ。ジェノサイドと言ってもいい。


ジェノサイドとは。

民族・人種集団を計画的に破壊することである。

ジェノサイド条約第2条によれば、国民的、人種的、民族的、宗教的な集団を破壊する意図をもって行われる行為のこと。

集団殺害、大量虐殺。




硫黄島の海を埋め立てた人工飛行場。

その格納庫から慌しく飛行機が出される。


飛行機の名は【フクロウⅡ】

乗組員7人。


機長「いつでも飛べます」


「なら飛んでいいぞ。しかし離陸時は機体を傾けるな!滑走路を傷つけるのはよしてくれよ」


「そんなヘマはしません。特訓成果を見てください」


フクロウも真上に上昇。

飛行場の上空100メートルからB-29を捕らえるために飛翔ひしょう





「あれは何だ!変わった形だぞ、敵機か・・・迎撃準備だ!」


B-29の集中火器管制射手の3人が慌てて準備。

遠隔操作でAN-M2 12.7ミリ連装機関銃を操作。


「あ!なんて速さだ・・・上を取られたぞ」


「12.7ミリ連装機関銃が反応しません」


急いで操作をしたが「なぜだ!なぜ旋回できない!」


「機長、なんだか青い光に包まれています」


「なんだとーー!」



【フクロウⅡ】が牽引ビームでB-29を捕らえることに成功させた。

そして、そのまま硫黄島まで牽引。

B-29を飛行場に牽引しながら着地。

そして乗組員は、引きずり降ろされた。




え!またも・・・

1945年8月28日。

B-29爆撃機が原爆を収納したまま太平洋を飛んでいた。

護衛のB-29を5機も引き連れている。



またも放射能を感知。


2機が原爆を・・・なんて奴らだ。


1度は警告。2度目も我慢。

3度目は、堪忍袋の緒がブチブチッと切れたぞ。


又も牽引ビームを拡散させて7機を同時のB-29を捕らえた。

そして硫黄島へ無理やり着地。




皇居は静まり返って、そよ風が吹いている。


広い日本庭園を抜けて殿下と2人で歩いている。

そして、国民の生活向上など話してから、あらためて深刻な話をする。


「閣下、アメリカは原爆攻撃を止める気はなさそうです」


「そうか・・・ダメだったか・・・なぜに、そうまでして人を殺したがるのだろうか、アメリカへ原爆投下を止めるべきでなかった・・・君の意見を聞くべきだった」


「閣下は優しい方だ。絶好のタイミングで使う事を許してください」


俺は、原爆投下の重みを背負わせたようだ。

しかし、今はアメリカの傲慢を反省させる時だ。


やったら、やられるって事を・・・



閣下は手元の資料を見ながらつぶやいた。


「そうか・・・ああ、天皇なんか辞めたいよ・・・」


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