第5話アメリカ工作



エンパイア・ステート・ビルディング、キングコングが登ったとされるビルだ。

1番高い所は、443.2メートル。

102階建てのビルで、よくも高いビルを建てたものだよ。


そのビルを眺めながら車は走り続ける。




「なんだ・・・辺ぴな所だな」


待ち構えている男が凄む。


「降りろ!」


2人の男は、やっぱり横柄な奴らだ。

ニューヨークを支配するマフィアの下っ端らしい。


降りて案内された先は、廃棄同然の5階建てビル。

その中に入る。


「う!臭うな・・・」


「死んでから10日も経ってるからな・・・ご希望の天涯孤独の男だ。ここ10年は、あっちこっちへ放浪して顔も髭だらけで見分けもつかないだろう」




手渡された紙には、こと細かく個人情報が書き込まれていた。

ジェームス・ホワット28歳。

職業は無職。


理想的な男だ・・・


「金は用意してるだろうな・・・」


「ブツを見せたら見せるぜ」


マフィア相手でも信用するしかない・・・

カバンを放り投げる。


2人が駆け寄って開けて見る。

その中から袋を持って初老の所へ・・・何やら薬品を使って調べだす。


「間違いなく純度の高いヘロインです」


「残りのブツはどこだ!」


「車のトランクと後部座席に載ってるぜ」


「おい!金を持って来い」


そしてガラの悪い2人が、俺がおいてきた車へ走りさった。

車のトランクが開けられる音が・・・しばらくして両手にバッグを持って2人が来る。


途中で1つのバッグを落とす。


「バカ野郎!落とすな」


「すいません」



ミザワは、50万ドルを確認。



アメリカドルの平均収入は 1.368ドル


1940年のGPD比較

日本  =368億円

アメリカ=1014億ドル




「そんなに安く売って儲かるのか・・・こっちは有難いが・・・前にもっらたブツも純度が高かったのに・・・こっちも有難い商売だから文句はないぜ。また欲しくなったら、どうすればいい」


「新聞の個人広告に「量と買値の後にMよりMへ」と掲載すれば、こっちから連絡をする」


どうせ純度の高いヘロインは、そのまま使用できない。

使ったが最後、過剰摂取で死んでしまうからだ。



「そんなヘロインより良い薬が在るんだが、試薬にも反応しないザーズって薬だ。警察に捕まることないだろう」


更にバッグを放り投げる。錠剤の薬で飲みやすい。


「え!ただでくれるのか・・・試して良かったら連絡するぜ」


そう言って車に乗って出て行った。


ミサワは『死体の始末を頼む』と空に向かって話す。


その瞬間に死体は霧となって消えた。


それにしてもAIは、恐ろしい作戦を立案した。


安い薬物で若者や低所得者を薬漬けにするなんて・・・

まあ・・・それぐらいの責任は、アメリカ側にもあるからな。




ジェームス・ホワットの名でアムロン社の株を空売り。

12時を過ぎた頃には、アムロン社の株価は下がりだす。


アムロン社の欠陥商品が訴えられたのだ。


「もう頃合かな・・・よくばり過ぎると大変な目にあうからな・・・」


「リーン、リーン」と電話が2回鳴って切れた。


「証券会社に電話してくれ!買戻しだ」


スタッフの1人が電話に飛びつく。


「ジェームス・ホワットだ!空売りはストップだ・・・そうだ・・・今度は株を買い戻してくれ・・・そう言うことだ」


電話とのやり取りが激しくなった。

そして電話を切った。


「それで・・・儲けは」


「100万ドルと少しかな・・・ボス、ボーナスを弾んでくださいよ」


「ああ、考えておくよ」



アムロン社は持ちこたえた。

なぜなら・・・訴えたのが詐欺集団と判明して警察によって逮捕。


「折角、詐欺行為までしたのに・・・俺らも空売りしたがジェームス・ホワットは、俺らより数倍も儲けたぞ」


捕まった詐欺の1人が、簡単に自白。


詐欺集団が仕掛けた罠だった。




詐欺も盗聴で知った俺が、上手く立ち回った。


「ここも早く引越しだ」



警察が踏み込んだが誰もいなかった。



電話の盗聴なんか簡単だ。


ちょっとでも値下がりや値上がりの情報を仕入れて、株を売ったり買ったりなどを繰り返す。


「タムラー社の社長が心臓麻痺で死んだらしいぞ」


「急いで空売りだ。あそこは、社長で持ってる会社だ。株は絶対に暴落すぞ」


「わかったわ」


AI盗聴システムで株の変動が激しいワードを聞き逃さない。

なので対応は速い。


怪しまれると、その個人名は一切使うのを止める。

捜査しても捕まることもない。





「社長、マフィアのボスからです」


受話器を握る「ああ、そうか・・・カルフォニアまで手を伸ばすのか・・・分かった用意をしておく・・・ああ、大丈夫だ」


ニューヨークの治安が悪過ぎて、部下に任せてカルフォニアへ行くなんて・・・


まあ治安悪化は目論んでいたから目標達成だな。

次はフランクリン・ルーズベルトの悪評を広めるか・・・





地方紙の新聞社を買取る。


数日で、その知らせが入ってきた。


「それは本当ですか・・・白人警官が銃を持ってない黒人を撃ったのは・・・はい・・・事実確認をします」


この情報も必要だ。

白人警官が両手をあげている黒人少年を撃った写真も撮ってある。



普通なら記事にもならない黒人少年の射殺は、写真が一面を飾った。


【白人警官の正当防衛に疑問】


鬱憤うっぷんが溜まった黒人の暴動が始まるのもはやい。


1人の白人記者も使命感に駆られてコラムに投稿。


『フランクリン・ルーズベルトは、戦争より内なる差別をなくせ・・・人は、誰もが平等ではないのか』


それは、あっという間にアメリカに広がった。

写真を無料で新聞社に送ったからだ。


それにフランクリン・ルーズベルトのベッド写真も送った。

奥さんでない女とやってる写真だ。





ホワイトハウス前では、プラカードを掲げる民衆が連日騒ぐ。


「差別をなくせ!!」


「この不倫男を辞めさせろ!」


「大統領を辞めろ。誰も支持しいなぞ!」


「B-29の乗員が帰って来ないのは、誰の責任だ!!すべてフランクリン・ルーズベルトの責任だ!」


「お前は、大統領として責任を果たせてないぞーー!」


「ニューヨークの治安が悪いのも、お前の責任だ」


「薬物中毒を撲滅させろ!!」



ホワイトハウスでは、フランクリン・ルーズベルトが頭を抱えていた。


「何が悪かったんだ」


「大統領!もう少しの辛抱です。原爆実験が開始されると連絡が入りました」


「それは・・・成功したら日本に原爆投下だ。これで私の評価が回復させてみせるぞ」


「きっと回復します・・・絶対に・・・」




▼フランクリン・ルーズベルト


フランクリン・ルーズベルトは、1945年4月12日に脳卒中で死去。

死因は高血圧性脳出血。


副大統領ハリー・S・トルーマンが大統領に昇格した。


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