第4話生活改善



辞任した東條内閣を支えていた官僚連中。

その報告は、「負け」を先送りにしているだけだった。

まさに無責任な決断でしかない。


戦後の記録を読み返す。


これが戦争指導部と官僚かと呆れ返るしかない。




一例をあげるなら・・・


当時の外務大臣は、ソ連を介入役として終戦交渉をしてたのだ。

日本とソ連は日ソ中立条約を結んでおり、1946(昭和21)年4月までが有効期間であった。


モスクワの日本大使館は、ソ連に向けて和平工作を進めていた。

しかし、ソ連は何の反応も示さなかった。


それもそのはずで、ソ連はヤルタ会談でアメリカ大統領ルーズベルトから対日参戦を強く求められ、それに応じて参戦を決意。

ソ連は日本との中立条約がありながら連合国側についており、裏切り者の敵国となっていた。

まさに条約違反であった。


なのに外務省は、この重大な情報を掴んでいない。

まさに怠慢でしかない政治家と官僚連中の行いでしかない。



原爆投下で日本が降伏するのを恐れたスターリン。

直ちに対日参戦の指令書に署名し、その作戦実行予定日を1945(昭和20)年8月9日。


それでも、日本大使は1945(昭和20)年8月8日午後5時、モロトフに面会するためクレムリンを訪れた。





俺は、タブレットを机の上に叩きつけた。


「どうかしましたか・・・」


新たなアンドロイドのミサワが駆け寄ってきた。


「無責任な官僚連中に腹を立てただけだよ。あまり気にするな」


「私から提案があります」


「なんだ・・・良い提案なら、なんでもOKだぞ」


「政府は国民徴用令を発動して、女学生や学徒や成人男性を安い賃金で扱き使っている状況です。これによって会社での人手不足は深刻です。家庭内も収入減で困窮状態です。国民徴用令の廃止を求めます」


「成る程・・・良い提案だ。そく廃止だ」 


「まだあります」


「なんだ」


「輸入品が入ってこない現状で、深刻な物資不足です。なので輸送船で物資と食料を作って送ることを承認してください」


「良い考えだ。許可する。あ!そうだ・・・昔の食べ物を再現したんだ。その即席麺が美味かったぞ。たしかチキン味で味噌やカレー味もあったな・・・湯を注いで3分で出来るのが良い」


「即席麺は、まだ発明されてませんが」


「まだまだ理解してないようだな・・・作った物勝ちだよ・・・即席麺を作って売り出しても問題ないって・・・これがAIが作成した、この時代で作れる即席麺オートメーションシステム製造工場の設計図だ」


「分かりました。それでは作って格安で販売しましょう」






夕暮れ時に一軒の家では「ただいまー」とご主人が帰って来た。


玄関には、幼い子供の2人が駆け寄りながら「お帰り、とうちゃん」


そんな声を聞く奥さんは、思いだす。

戦争で右腕を切断をする程の怪我を負った主人のことを・・・


苦しい生活だった。

それが青木内閣が発足して間もなく、主人を治療すると言われて病院へ。

2時間の治療で右腕が再生した。

主人も私も驚くしかなかった。


主人が勤めることになった会社も紹介されて、家も建てられることに・・・20年の住宅ローンで払い続けるらしい。

今の給料でも充分に払える金額で助かっている。


「おい、何をボーと考えている」


「あら、ごめんなさい。今日は早いのね・・・すぐに夕飯にするわ」


「いや・・・駅前のスーパーで品切れだった即席ラーメンが入ってたから買って来たよ」


「あら!本当なのーー」


「とうちゃん、夕飯は即席ラーメンだね」


「そうだな・・・」


私は、やかんに水を注ぎIHクッキングヒーターのチェックを入れる。


「マサルとアイコ!食事前にサプリメントを飲むのを忘れないでねーー」


「はーい」


食卓の前に全員がそろった。


「ああ、好きなのをどんぶりに入れてるな・・・湯を注ぐぞ」


「私のは味噌味よ」


「おいらは、カレーラーメンだぞ」


「まあまあ・・・お行儀よく食べるのよ」


「はーい」


「とうちゃん、まだかな・・・」


「まだ1分も経ってないぞ。あと2分30秒だな・・・」






アオキ農業試験場の看板があった。


「ここが新しい農業を開発してる所なのか?」


「そうみたいですね・・・」


「すいません。太陽新聞の者です。取材ができると聞いて来たのですが」


「よくいらしゃいました。どうぞどうぞ」



案内された場所は、稲穂が倒れるぐらいに実った稲が冬空の下で育っていた。


「コシヒカリと命名した稲です。いもち病や白葉枯病など複数の病気に対して強い稲です。味も申し分ないものと約束できます」


「今年からの農業に使うと聞いたのですが・・・それは本当ですか」


「本当です。従来の稲より取れる量が多く。 季節に囚われない稲です」


「そんな魔法のような稲があるのでしょうか・・・」


「この稲を見てください。魔法で無くバイオテクノロジーの稲です」


「凄く丈夫に育ってると思います」


「私自身も・・・よく分からないのです。バイオテクノロジーで遺伝子組み換えがなされた稲で安全だと・・・遺伝子組み換えって何のことなのか・・・」


「え!あなたも知らないのですか・・・」


「もう試食もすませました・・・体には異常ありません。何でも100年食べても異常はないと・・・」



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