似たもの同士

おもち

似たもの同士

「あたし先輩に告白しようと思ってるんだけどさ、」


昼休みの騒々しい教室。

一緒に昼食をとっていた親友に恋愛相談をされた。

親友の高い位置で束ねられた長い黒髪が、窓からの風を受け、ふわりと揺れる。


学年一の美少女。

私たちの学年で、親友の名を知らない人はいないと思う。


「でもやっぱり緊張するな。先輩にどうやって告白すればいいかな?」


彼氏もできたことの無い私に相談をして、どうしろというのだろう。

親友の相談を聞きながら、今まで彼女にできた彼氏の数を指折り数えてみたが、途中で両手におさまりきらなくなり諦めた。


「呼び出して告白すればいいじゃん。」


私の提案に「でももし先輩が周りの人に話して、先輩の友達とかに隠れて見られたりしたら嫌じゃん。」と、その甘い声色で拒んだ。

私は弁当の卵焼きを頬張った。


「じゃあ手紙は?」


卵焼きの甘さを噛み締め、提案をもうひとつ。


「裏で他の人にもみられるかもだし。」


卵焼きを飲み込む。


「ならメール送ってすぐ送信取り消しすれば、」


「スクショされたらアウトだよー!」


正直、面倒くさくなった。

親友に聞こえないくらいの小さなため息をつき、箸を置く。

私は思った疑問を親友にぶつけた。


「ねえ、人からの告白をそうやって扱う男の何がいいの?」





同日。午後10時30分。

自室のベットに寝転がり、私はゲームを楽しむ。

昼間、親友は私の言葉を聞き「やっぱ先輩は諦めよー」と言っていた。

彼女のことだ。1週間もしないうちに次の男を見つけるのだろう。


スマホの通知がなった。


親友からだ。

『画像と4件の新着メッセージがあります』

表示されたらその文面におおかた、内容は予想出来た。

トーク画面を開く。

画像は親友とある男とのトーク画面だった。どうやらクラスメイトが親友へ告白をしたようだ。

「またか。」と私は小さく呟き、下のメッセージを見るために画面をスクロールする。


『やばいクラスの人から告白されちゃった』


『みて、告白文ポエムっぽくてうけるんだけどwww』


『断ったし明日から気まずいよ、どうしよ』


『完全に脈ないんだしやめて欲しいわw』


結局、人は自分と似たものを好きになるものなのかもしれない。


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似たもの同士 おもち @omochi999

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