新山ひなこの旅物語

プロローグ: 新山ひなこの旅物語

東京の喧騒から離れ、山々に囲まれた静かな村。その片隅にひっそりと佇む古い家があった。そこには、新山ひなこが一人で暮らしていた。24歳のひなこは、幼い頃から自然の中で育ち、外の世界に憧れを抱きながらも、祖母と共にこの家で穏やかな日々を送ってきた。

祖母はいつもひなこに、不思議な話や伝承を語ってくれた。古の時代から語り継がれる、秘められた宝物や、それを守る者たちの物語。その言葉は、まるで風のささやきのように心に響き、ひなこの想像力をかき立てた。しかし、ひなこが成長するにつれ、その物語もまた、ただの子供の幻想に過ぎないと思うようになった。

しかし、数ヶ月前に祖母がこの世を去り、ひなこは一人きりになった。寂しさを紛らわせるために、祖母の遺品を整理していたある日、彼女は古びた革表紙の日記を見つける。その日記には、祖母が若い頃に綴った冒険と、各地に眠る「心の宝物」の存在が記されていた。

「これは、ただの物語じゃなかったの…？」

ひなこは、日記に書かれた祖母の言葉に驚きと興奮を感じた。祖母が語っていたすべての話が、実際に起こった出来事であり、そして今もその「心の宝物」がこの世に存在しているというのだ。ページをめくるたびに、ひなこの胸は高鳴った。

「私も、祖母のようにその宝物を探しに行きたい…」

その思いがひなこの心に芽生えた瞬間、彼女は決心した。祖母が辿った足跡を追い、自分自身の旅を始めることを。

そして、ひなこは初めて生まれ育った村を出て、祖母の遺した日記を手に、未知の世界へと旅立つ。日本各地に散らばる「心の宝物」を探し求める、冒険の旅が今、始まろうとしていた。