第2話おかっぱ少女

ぼーっとする意識の中……


「何が起きたんだ、天罰か霊の怒りにでも触れたのか……おれ、し、ぬの、か、かな。」



そこで俺の意識は途絶えた、が、次の瞬間暗闇の中に一条の光が見えた。


「なんだろうあの光はどこから出てるんだ……。」


俺は光に気が付き意識を向けた瞬間、白飛びした空間に移動していた。


「お主、まだ自分の状況を理解できてないようだの、どれ妾が説明……いや見せてやろうぞな。」


俺はどこからともなく聞こえてくる声に耳を傾けると、大木の前で雷に打たれた俺の一部始終を見せられた。


「あんたは誰だっ!!」


「妾とさっきまで現世にて降霊術で会話していたではないか、酷いの〜あ〜ひどいひどい……。」


「まあよい、先程見せてやった通りお主は死んでしまったんだのお。」


「このまま話しても埒が明かんから姿は見せてやるかのお。」


そういうと声の主がモヤのような状態になり、そのモヤが人の形を成していき、目の前におかっぱ頭の女の子?がでてきたのだった。


「おぉっびっくりした、てかThe幽霊って見た目ですね……ハハハ。」


「お主ぃ……かなり失礼だのその言い方は、というよりお主もとっくに幽霊じゃわ。」


「あ、いや、ごめんなさい。」

「そうでしたね、俺も死んでたんでした。」


「まあなんだ、お主と妾は死の間際に降霊術で繋がっていたせいか時空の狭間でこうやってやり取りができているようだの。」


「そういう仕組みなんですねぇ。」


「やけに素直だのぉ。」


「素直さと優しさが取り柄なんですよね…ヘヘ。」


「褒めてはいないが、面倒が省けて妾としても助かるでな、話を続けさせてもらうぞ。」


「お願いします。」


「率直に聞く、お主未練はあるかの?」


「未練ですか?んーあるようなないような……。」


「ええい、煩わしいのお、やってみたいこととかは全て成し遂げたのかと聞いておるのだ。」


「そう言われると全然できてませんね。」


「そこでだ、お主も妾が今いる世界に来んか?」


「今いる世界?天国とか地獄に行くのでは?」


「現世ではそう言われておるがの、実際はちと違うようだのぉ、そういうところは妾も全てを知っている訳ではないから説明出来んが、この繋がりを利用すればお主の人生、第2幕が始められるかもしれんぞ。」


「人生第2幕……うん、行きます!その世界へ!」


「あいわかった、では妾の気配に集中して目を閉じるのだ、恐らく引っ張られる感覚になるが臆せず、落ち着くまで続けるんだのお。」


「分かりました。」


俺は目を閉じ、おかっぱ頭の少女の気配に集中した。

次の瞬間、あらゆる感覚が歪みぐちゃぐちゃになりながら少女に吸い寄せられ数秒後止まった。


「成功したようだの、お主にしては頑張ったようだのぉ褒めてやるの。」


「ありがとうございます。」


「次に目を開けた時お主は別の体で、妾の世界に転生が完了するでの意識がはっきりしたら、妾の名前を頭に浮かべるのだぞ。」


「名前まだ聞いてませんよ?」


「妾としたことが……そうだったの。」


「妾の名は、凛だからのしっかり覚えるんだの。」


そうして俺は凛という名を頭に焼き付け、目を開けたのだった。



「ぉぎゃーおぎゃー。」


(なんだ?赤ちゃんの声が聞こえるな……周りには、って首が上手く動かないぞ)


急に視点が高くなる。


「お母さんよく頑張りましたね、元気のいい男の子ですよ!!」


「あぁ、なんて可愛いの、無事に産まれてくれてありがとうね。」


「おぎゃーおぎゃー。」


(おい待て待て、第2幕ってここからはじまるのぉ〜〜?)


(あ〜てかすごい眠い、赤ちゃんは寝るのも仕事ってか……ダメだ抗えない。)

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