第5話 不味くて草

ここは草の神殿、草テレビジョンの広間

今日も草の民エルフが大勢集まっていた

娯楽の少ない草の里では、グラス一行の旅の中継は大反響をもたらしていた。


「おーい、今どうなった」

広間に入ってきたエルフは近況を訪ねる

「近くの村に立ち寄ったところだよ」


「へぇーって草エルフいつの間にか合流してるじゃん」

「野営して朝起きたら生えてたよ」

「草」


「そいで、その村が食料難らしくてね。戦争で税率上がって備蓄が足りないとか。」

「はーん、それをグラス様が何とかしようって感じか」

「そうそう」


今までのあらすじを確認するとエルフ達は草テレビジョンに視線を移す


どうやら村の長と話をしているらしい


「エルフの旅人様、たいしたおもてなしが出来ず申し訳ない」


「いえ、お気になさらないで下さい。私は草の民グラスと申します。こちらがお付きのリーフィアと護衛のレウスさんです。

私達は飢えている人達のお力になるための旅をしています。」


ありがたいことです。と村長は頭をさげた。


それからすぐにグラス達は炊き出しを行った。


「今後の食料の事をお話しする前に、村のみなさんにはお腹を満たしてもらおうと思います。草の民がいつも食してる草汁をご提供いたします。」


草汁、草をただ煮た汁である。草本来の味が楽しめる。


「不味っ」

「臭っ」

「オエッ」

「なんじゃこりゃ」


当然不味い。


「えっ」


グラスは思いもよらぬ反応に目を丸くした。

「当然不味くて草」「おいしい要素どこにもなくて草」「俺たちもいつも無理して食べてるだけで草」


「本当ですかっ」

グラスは草テレビジョンの画面側に振り向く。

「こっち向いて草」「聞こえてて草」


「聞こえているのは私だけです。それよりも味のこと考えに至らなかったです、申し訳ありません、、、」

「グラス様しょぼしょぼで草」「申し訳なさそうで草」「よくよく考えたら草だから味わからないの当たり前で草」


ぺこぺこと画面に向け頭を下げるグラスの後ろにレイアが映りこんだ

「あの、グラス様の事なので特別な草だと思い口を挟まなかったのですが、人間たちは、この麦や芋などを主食にしています。」

備蓄庫から少しだけ持ち出したものをグラスに差し出す


「なるほど、これを出せばいいのですね。」


「あとは日持ちはしませんが、実や葉や根等、人間が好む植物もいくらかありまして」

「教えてください」


その後、グラスは教えてもらった植物の可食部位を備蓄庫が埋まる量出した。

「エルフ誰も指摘してなくて草」「エルフ馬鹿で草」「エルフ草もぐもぐで草」

するとグラスは再び草テレビジョン側に振り向く


「要望など言いにくい環境だったのですね。もうしわけありません。でもこれからは遠慮なく言ってください。私にできることなら頑張りますので」

グラスは意思を固めるように両こぶしを胸の前で握りこんだ


「頑張るぞいで草」











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