第十一話:夏の潮騒
真夏の太陽が眩しく輝く中、詩織、陽花、麗子、さくらの四人は、待ちに待った海水浴の日を迎えた。海岸に到着した彼女たちは、まぶしい砂浜に降り立つと、思わず目を細めた。
「わぁ! 綺麗な海!」
陽花が歓声を上げる。その声に、他の三人も笑顔で頷いた。
「さあ、着替えましょう」
麗子の提案に、全員が同意する。
更衣室から出てきた四人の姿は、それぞれ個性的で魅力的だった。
詩織は、深い紺色のワンピースの水着を身につけていた。胸元にはさりげないフリルが施され、背中は大胆に開いている。その姿は、まるで月光に包まれた静かな湖面のよう。長い黒髪は、白い髪飾りでまとめられ、首筋の美しさを際立たせていた。スレンダーな体型に、わずかに膨らんだ胸元が、大人びた雰囲気を醸し出している。
陽花は、オレンジ色のビキニ姿。元気いっぱいの彼女にぴったりの鮮やかな色だ。胸元には小さな花の飾りがついており、可愛らしさを強調している。健康的な小麦色の肌が、夏の日差しを浴びてより一層輝いて見える。引き締まった腹筋と、しなやかな脚線美が、スポーツ少女らしい魅力を放っている。
麗子は、エレガントな白のワンピース水着を選んでいた。胸元から腰にかけて、黒のレース使いがあしらわれており、大人の女性の魅力を存分に引き出している。豊満な胸元と、くびれたウエスト、なめらかな曲線を描くヒップラインが、成熟した美しさを感じさせる。長いウェーブのかかった黒髪は、優雅に肩に流れ落ちている。
さくらは、パステルピンクのフリル付きビキニを着ていた。胸元と腰回りのフリルが、可愛らしさを強調している。華奢な体つきながら、しっかりとした筋肉質な肢体が、日々の茶道の稽古の賜物だろう。透き通るような白い肌は、まるで磁器のような美しさだ。
四人が互いの姿を見て、思わず息を呑んだ。
「みんな、素敵……」
詩織の言葉に、全員が頬を赤らめる。
「詩織ちゃん、すっごく大人っぽくて綺麗だよ!」
陽花が、キラキラした目で詩織を見つめる。
「陽花さんこそ、とても可愛いわ。その元気な姿は、まるで太陽のよう」
詩織の言葉に、陽花はさらに顔を赤くする。
「麗子さん、本当に美しいです。まるでモデルさんみたい」
さくらが、憧れの眼差しで麗子を見る。
「あら、ありがとう。でも、さくらこそ可愛らしいわ。まるで人形のようね」
麗子の言葉に、さくらは照れくさそうに微笑む。
四人は、お互いを褒め合いながら、海に向かって歩き出す。その姿は、まるで夏の妖精たちが舞い降りてきたかのようだった。
波打ち際に足を踏み入れると、冷たい潮水が彼女たちの足首を優しく撫でる。
「きゃっ! 冷たい!」
陽花が小さな悲鳴を上げる。その姿が可愛らしくて、他の三人は思わず笑顔になる。
「でも、気持ちいいわね」
詩織が、目を閉じて波の音に耳を傾ける。その姿は、まるで海の女神のよう。
「さあ、泳ぎましょう」
麗子の提案に、全員が頷く。
四人は、波に身を任せながら泳ぎ始める。陽花は、まるでイルカのように元気よく飛び跳ねる。詩織は、優雅な泳ぎで静かに海面を滑るように進む。麗子は、力強い泳ぎで沖に向かって進んでいく。さくらは、少し不安そうにしながらも、他の三人に遅れまいと頑張っている。
しばらく泳いだ後、四人は浜辺に戻ってきた。陽射しを浴びて輝く水滴が、彼女たちの肌を艶やかに彩る。
「みんな、日焼け止めを塗り直しましょう」
麗子が、バッグから日焼け止めクリームを取り出す。
「あ、私、背中お願いできるかしら?」
詩織が、少し恥ずかしそうに言う。
「いいわよ。私がやってあげる」
麗子が、優しく詩織の背中にクリームを塗り始める。その光景を見ていた陽花の胸に、小さな羨望の念が芽生える。
「あの、私も……」
陽花の言葉に、詩織が微笑みながら応える。
「ええ、私が塗ってあげるわ」
詩織の指が陽花の背中に触れた瞬間、陽花は小さく震えた。その感触に、二人の心臓が早鐘を打つ。
さくらは、そんな二人の様子を見て、小さく微笑む。彼女は、二人の関係に気づいているようだった。
「さくらも、背中塗ろうか?」
麗子の声に、さくらは嬉しそうに頷く。
日焼け止めを塗り終えた後、四人は砂浜でひと休みすることにした。パラソルの下で、それぞれが持ってきたおにぎりを食べながら、楽しく談笑する。
「ねえ、みんな」
陽花が、少し思案げな表情で言う。
「なに?」
三人が、興味深そうに陽花を見つめる。
「帰りに、花火しない? 小さいのだけど、買ってきたんだ」
陽花の提案に、全員の目が輝く。
「いいわね、素敵なアイデアよ」
麗子が、優しく微笑む。
「私も賛成です」
さくらも、嬉しそうに頷く。
「ええ、とても楽しそう」
詩織の言葉に、陽花は満面の笑みを浮かべた。
午後、四人は再び海に入り、波と戯れた。時折、陽花が詩織に水をかけては逃げ出し、詩織が追いかける姿が見られた。その光景を見て、麗子とさくらは意味ありげな視線を交わす。
夕暮れ時、四人は再び砂浜に集まった。陽花が用意した花火を、みんなで囲む。
「じゃあ、始めましょう」
麗子が、マッチを擦る。その瞬間、小さな火花が夕闇に咲いた。
次々と花火に火がつけられ、色とりどりの光が砂浜を彩る。四人の顔が、花火の光に照らされて、幻想的な雰囲気に包まれる。
「綺麗……」
詩織の声が、感動に震える。陽花は、そっと詩織の手を握る。二人の指が、そっと絡み合う。
麗子とさくらは、その様子を見て微笑み合う。二人の幸せを、静かに見守る眼差しがそこにあった。
「ねえ、みんな」
麗子が、静かに話し始める。
「なに?」
三人が、麗子に注目する。
「この夏の思い出……今日のこの日のことを、私はずっと忘れないわ」
麗子の言葉に、全員が深く頷く。
夜空に打ち上がる花火の光の下、四人の絆はより一層深まったようだった。それぞれの胸に、この日の思い出が永遠に刻まれていく。
海の潮騒と花火の音が織りなすメロディーの中、彼女たちの青春の1ページが、静かに、しかし確かに紡がれていった。
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