第31話「友達」

「じゃあ、これからよろしくね」

そう言うとエヴァレット様はおもむろに僕の隣に移動して…そのまま腰を下ろした。

「えっ」

予想外の行動に、僕は戸惑う。

「あ、あの…」

「あら、私が隣じゃ不満かしら?」

「い、いえ、そういう訳では…」

友達ってこんな距離感なのか?というか本当になぜ僕なんだ?

僕が俯き考えているとずいっと距離を詰めてくる。

「貴方、実技試験一位なんですって?」

うっ一番聞かれたくないことを聞かれてしまった…

「そう、みたいですね…」

「みたいって、自分のことでしょう?」

「それは、そうなのですが、」

「まあいいわ、それよりその本、私も読んでいるわよ」

エヴァレット様が机の上の本を指差す。

「っ!この本は、流通量が少ないと聞きます!」

「ええ、だからね、話ができる人を探していたのよ」

「それは是非!私もお話ししたいです…!」

エヴァレット様がクスッと笑う。少し興奮しすぎた。段々と恥ずかしくなってくる。顔が熱い。

「す、すみません…」

「貴方、面白いわね」

エヴァレット様は悪戯っぽい目で僕の顔を覗き込んだ。

「こ、光栄です。私は、貴方様のお眼鏡にかなうほどの人間ではないかもしれませんが…」

エヴァレット様が机に視線を落とす。長い睫毛が目にかかっていると色気が増す。流石の美貌である。

…と、そうではなくて、選択授業を決めなければ。僕も同じように視線を落とす。

魔法科学は少し気になる。ルドがどんな教え方をするのか、家でからかってやるのが楽しみだ。あとは実践形式の授業が良い。座学は得意ではないのだ。主に術式が。

結局、魔法科学と実技、魔法薬学の授業を取った。お隣のエヴァレット様が何を選択したかも気になったがプライバシーがあるので聞かないでおいた。

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