第11話「授業」
夜、食堂に行くと、4人は座れそうなテーブルが料理で埋め尽くされていた。
ああ、またか…と苦笑する。
また、というのも、ここ最近食事の量が半端ないのである。
最初は喜んで食べたものの、ずっとこの調子だと困る。
こちらとしては伯爵やフェリシア様と同じ量で構わないのだが、あんなに純粋な笑顔で
「食べ盛りなんだから♪」
「遠慮しないで」
などと言われると流石に断れない。害意がない故、余計に断りづらいのである。
だがコース料理二周分は流石にきつい。
「ルイス、学院に行かないか」
伯爵に唐突に言われて咳き込んでしまった。
「…失礼。学院ですか?」
僕の質問に、伯爵は頷く。王立魔法学院アストル。貴族の子女が通う学校で、魔法学院というからには魔法はもちろん、行政や世界のことなど幅広く学ぶ。
しかし僕は体が弱いのでちゃんと毎日通えるか不安だ。
「実は学院長と知り合いでね。便宜を図ってもらおう」
「…すみません」
「すみませんじゃなくてありがとう、だよ」
「あ、はい…ありがとう、ございます」
学院に入学するためには試験があるらしい。魔法なんてろくに使えないのだが大丈夫だろうか。
「なあに、これからみっちり訓練してやろう、ルドルフがね」
えっルドルフが?
そう思って本人の方を見ると何故かニコニコしている。
「彼はこれでも宮廷に認められた魔法師だ。ちゃんと勲章も持っている」
伯爵が説明する。ええ、そんなすごい人だったの、ルドルフ君。
というわけで今日から魔法の授業が始まった。動きすぎると体を崩すため最初は座学だ。
「…というように、魔素と魔力は別物なのです」
魔法についての知識は全くなかったから新鮮で面白い。
そういえば、前に書斎を見せてもらった時に魔導書みたいなものがあった。
中に書いてあった言語?が複雑すぎて諦めたけれど。
「それは術式ですね。もう少し学習が進んでからお教えしましょう」
まとめると、大気中には魔素と呼ばれる粒子があり、それを体内に取り込んで圧縮すると魔力になる。
魔力を用いてなんらかの現象を起こすことを魔術と言い、起こった現象を魔法と言う。
そして、魔法には属性があり、人それぞれ適性があるそうだ。火、水、土、風、雷の五大属性と希少属性の光、闇。
属性相性というものがあり、火は水に強く、水は土に強い。土は風に強く、風は雷に強い、といった具合だ。他にもたくさんあるがここでは割愛しよう。
光と闇は相反するので互いに有効だ。魔法師の実力で決まると言ってもいい。
「これが魔法、及び魔術についての概要です。本日はここまでとしましょう」
明日から魔法の訓練が始まる。ちゃんとできるだろうか。
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