第4話「契約」
ウィリアム・ランバートは呆れていた。自分と妻に、である。
妻のフェリシアにルイスのことを相談したところ、
「いいわよ?」
と二つ返事で了承されてしまった。
もちろん兄弟殺しの件も含めて話したが
「そう、ロベルト君が…でもルイスちゃんがそう言うならそうなのよね!」
だそうだ。
「ちょうど良かったじゃない。私たち、なかなか子を授からないものだから可愛がれる子が欲しかったのよ!」
とまで言うのである。
全く夫婦揃って親バカならぬ、親族バカである。まあ、これまでのルイスに対するガルムの態度よりはましだが。
そんな自分達に呆れつつ、ウィリアムは誓約書を書いていた。
契約内容は、ルイスの扱いについて。
朝、昼、夕の三回の食事、門限までの自由行動の保障、風呂場の使用許可などである。
「これであの子が納得してくれれば…」
後は養子縁組の手続きを行うだけである。
「誓約書を書いてきた。フェリシアにも許可をとったよ」
まさか、こんなに短時間で承諾してもらえるとは。契約書を受け取り、内容を確認する。
「確認しました。では署名を」
この紙は特殊で、術式が付与されている。そこに特殊なペンを通して自身の魔力を注ぎ込むのだ。
双方が魔力を流して初めて契約が成立する。破棄の際にも同じことが言える。また、契約を無かったことにすることもできない。紙を焼き払ったとしても術式が残るからだ。
僕と伯父上、二人の魔力が混じり合う。紙に刻まれた魔法陣が光る。
「契約成立だ。これからよろしく、ルイス」
「はい、お世話になります」
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