そして無となり、風となり。

@chonta25

「そして無となり、風となり。」

時間の捻れ、空間の捻れ、魂の捻れ、 そういったものを知っていますか?この文章は2022年2月28日に行われたインタビューの記録です。

「記者の北川と申します。本日は取材を受けてくださりありがとうございます。」

私は今日、神隠しを体験したというカワカミさんの家を訪れた。

「大丈夫です。私の体験した事について興味を持つ人がやっと見つかり嬉しいばかりです。」

「早速なのですが、あなたが体験したあのことについて教えていただけますか?」

「大丈夫です。あれは、私が16歳だった時の事です、」

1月8日。この病室は暖房が効いてなくて肌寒い。どうも慣れない。他の人もいるし。私は今、ベットの上にいる。今日退院していいらしい。世間では明日、冬休みが終わって日常が戻るといった頃だが私は違う。しばらく学校には行ってない。高校生になったばかりだというのに自己嫌悪に至るしかない。私は高校は頭の良いところに入った。勉強も周りよりよくできていて自分で言うのもあれだが成績はトップだった。それで周りからはすごいとか頭いいねとか言われるものだから調子に乗ってしまったんだと思う。気づいたら、私は虐められていた。高校からできた友達はいつの間にかいなくなった。勉強も手につかなくなった。学校に行けなくなったのはそんな時だったと思う。ただ、明日久しぶりに行ってみようと思う。今日は気分が軽い。

2001年1月9日。いつもは憂鬱だったのに、今日はすんなり起きれてしまた。食欲はないし朝ごはんを抜いて学校に向かった。電車に乗るのもなんだか懐かしい気がする。学校に着いたけど、何かが違う、おかしい。みんな、先生も私がいるのに無視してくる。誰?知ってる人が誰もいない。誰も私に気づいてくれない、なんで、いじめられてるの?私。過呼吸になってしまいそうだった、すぐ今日は帰った。

2001年1月12日。ついに親もみんな、私のことを無視することになった。なんで、?もう、味方はいない。私は、死んでしまったのか?もうこの世に存在なんてしないのか?そんなことすら思って頭がおかしくなりそうだった。

2001年1月18日。今日、新しい友達ができた。新しいと言っても、元友達。復縁した。みんな私に気づいてくれないのに、その人だけ気づいてくれた。私を虐めた、あの人。彼は自分のせいで私を学校に行けなくさせたと思って生きる気力をなくした、学校に行けなくなった、と。私がそうなった原因は彼だけじゃないのに。

2001年1月20日。話を聞いているうちに、彼もみんなから無視されて、なき者として扱われて、そしたら私を見つけたって。私にずっと謝りたかったって。そんなことを矢継早に言ってきた。

そういう彼とはずっと一緒に時間を過ごした。学校にいるときはいつも一緒で、授業を抜け出して東京に遊びに行ったりもした!楽しかった。なんであんな事しようとしたんだろ。いつも後悔する。

2001年2月25日 朝、今日は雪が降ってる。どおりで寒い。そんなことを思っていたらLINEの通知が来た。今の私にLINEを送ってくるのは彼しかいない、どうしたんだろう。

「雪降ってるから外で遊ばね?」

「寒いからいやだね」

「釣れない女だな」

「ごめん笑笑今日は家にいたい」

「じゃあ今度映画とか見に行こうよ!29日の日曜とかどう?」

「いいよ行きたい!」

相変わらずのフットワークの軽さ。見習いたいなそういうとこ。今日はゆっくりする。

2001年3月1日 待ち合わせ場所の駅に来たけど全然来ない。集合時間まあまあ過ぎてるんだけどな、、呆れる。

応答なし

「まだ?寝てる???早く来てよ」

応答なし

「ねえ」

電話も出ないし。LINE見ろよ。そんなことしてるうちにもう時刻は昼になってしまった。諦めて一人でご飯食べに行くことにした。


それから先、彼に会うことはなかった。


誰も私の存在に気づいてくれない、また振り出しに戻った。友達もいなければ話す人もいない。孤独がこんなに辛かったんだって、初めて気づいた。

なんでなの?? なんで?


泣き崩れた女が一人、広い部屋の中にいた。

女は自分を殺した。


1992年2月29日

おい!!神隠しから戻ってきたぞ!

看護師「カワカミさんわかりますかー??」

母「あんたなんであんなこと、、昏睡状態から失踪したんだよ!どこに行ってたんだよ!!」

またこの病室、、?大人がうるさい。あの人、私を虐めた人、私の友達になってくれた人、私の好きな人、どこなの??また、私は私を殺しきれなかったの?


2022年

記者「それでその彼はどうなったんですか?」

私「彼。彼は私を追って死んだんですよ。でも私は死ねなかった。」

*「この後時間ありますか?私の部屋に行って二人でお話しませんか?」


*「まだ、諦めてないですよ、私は。どんな手段を使ってでも。」

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