たまごボーロ

てん

第1話

「っす。先輩久しぶりっすね〜。

元気してたっすか?先輩もう社会人すもんね。

今度飯奢ってくださいよ!」


ふひっといった表情で後輩は笑っている。


「てか先輩最近ちゃんと飯くってるっすか?

絶対コンビニ飯とかでしょ〜。

さっさとご飯作ってくれる彼女の1人や2人くらい作ってくださいよ。モテるんだから。」


そういって後輩は、手に持っていたたまごボーロを摘んで、口に投じた。


「たまごボーロってうまいっすよね。

最近ハマってるんすよね。インスタで流れてきて、懐かしいなぁなんて思って買ったんすよ。

そしたら意外とうまくって。」


幼稚園児の頃の記憶では、味も薄くて、パサパサしててあまり美味しいものではないものだったが、つい先日食べた時に、確かに美味しいと感じた。

大人になると味覚が変わるとは言うが、ことたまごボーロに関しては「味覚が変わった」と言うよりは、ノスタルジーに浸っているだけのような気もする。


「先輩も、このうまさわかるっすか!流石っすねえ!」


とはいえ、もう22にもなる。社会人になってからの忙しさで食に対しての興味を失いつつある。

もう、そんなに若くない。会社の先輩が言ってくれるほど、同期がいう「まだまだこれから」と言った元気も自分には無いのだ。


「でもいいやないすか。たまごボーロの良さがわかる良い大人なんだから。」

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たまごボーロ てん @kare_pantenten

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