『ねぇ、お兄ちゃん…』

「今日はロリキャラをやるよ。あ、な~にその顔!」


「…そりゃ、私は低音寄りの声質だよ。でも、本気出せば可愛い声だって出せちゃうんだから!」


「この前、セクシーなお姉さんキャラの台本読んだじゃん?あれ、先生に褒められたんだよ」


「抑揚の違和感が減ってキャラが見えるようになった。いいよ、その方向でブラッシュアップしていって。ってね」


「キミのおかげだよ、得意な役ゲットだぜ~!」


「だから今後もキミにアドバイスしてもらえたら、色んなキャラ感が掴める気がするの。じゃ、早速…」


「あ、今回もまた男性向け音声作品の台本を使うけど、最後まで止めずに聞いてね」


「あえてこういうのをやることで、恥じらいがなくなってのびのびと演技できるようになっていくって寸法よ!」


「それじゃあ…コホン」


『ねぇ、お兄ちゃん…。わたしのこと、好き?』


「なに!?さっき止めんなっつったばっかじゃん!!」


「勢いなくすと恥ずかしくなるから~、う~」


「…ひどい歯抜け声だった?キツそう…無理してる感…?うそ…そ、そんなにひどかった?」


「…録音聞くね」


『ねぇ、お兄ちゃん…。わたしのこと、好き?』


「う、うぅ~。ヤバいって…これを自信満々で用意してた過去の私を殴りたい…」


「1人で聞いたときはいい感じって思ってたのに…」


「ひん…。どうすればよくなる?」


「いいじゃん、たまには年下のキミに甘えたって…。ほら、お兄ちゃん!ヒント出して!出して出して~!」


「おい、いい歳してって言うな。私まだピッチピチのハタチだから…!」


「…ん?何歳くらいのイメージだったか?…ロリだからなんとなく7歳くらいかな~って」


「なんとなくじゃダメ?…お兄ちゃんとどんな関係かもしっかり考えて演じないと?…そうだね、私ラクしちゃってたよ」


「少し時間をちょうだい。細かい設定を詰めるから」


………………………………………………………


「お待たせ、待った?えへへ、恋人みたいでしょ?」


「…はい、分かりましたよ、やりますよ。むう。…よし、すぅ~、ふぅ~」


『ねぇ、お兄ちゃん…。わたしのこと、好き?』


『ホント?…じゃあワガママも聞いてくれる?』


『わたし、お兄ちゃんにぎゅってされたい』


『ん~、ふふ、ありがと。お兄ちゃんかっこいい、だ~いすき!ぎゅ~っ』


「…ど、どうだっかな?」


「…年齢相応の幼さが出てた…声だけ聞いてると尊さで意識が飛ぶかと思った…?」


「ちょっ、ちょっと~。急に褒めすぎだよ~、もう!お兄ちゃんってばさ~」


「一応、もう一回やっても…」


「ん?ああ…もうこんな時間か…!今日は晩ごはんは?そう…おうちでね、分かった」


「……ねえ、隣おいでよ。ずっと向かい合ってちゃ疲れちゃうでしょ」


「ほらおいで~。…かかったな!罠発動!!」


「お兄ちゃん!いつもありがと!ぎゅ~っ。…ふふ、わ~い!今日も無事に【ミッション"キミの顔を真っ赤にする"】達成!っと」


「不意打ちに弱いんだね?キミもまだまだだな~」


「…好きだよ、お兄ちゃん。…ふふん、これも罠だよ。勘違いした?ざんね~ん、さっきの台本にあった台詞でした~」


「ここから先が聞きたければ製品版をご購入くださ~い、なんてね」


「あはは。もう、こんなんで怒んないの。じゃあ気をつけて帰ってね、って…お向かいだけど」


「…私、頑張るから…!ぎゅ~っ。…なんでまたって?…これはキミにエネルギーをチャージしてあげたの、嬉しいでしょ?」


「反応薄…。はいはい、じゃね」



………………………………………………………



「は~い、またね」


「……ふぅ~。エネルギーフルチャージ!明日の授業も全力だ~!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

年上幼馴染の声にあらゆる"性癖"を刺激される【ASMR】 とりどり @ru_ruru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画