7.眠るときは、添い寝でおやすみ。

「それじゃあ、電気を暗くして……」


「テーブルライト、まぶしくないかな?」


「ふふ、大丈夫そうだね」


「じゃあ……よく眠れるように……」


「子守歌でも歌おうかな?」


「……いま、わかりやすく『イヤ!』って顔したでしょ」


「もー、そういうの、わかるんだからね!」


「言葉がわからなくても、大好きな家族のことだもん」


「顔を見れば、だいたいのことは、ね」


「大好き、大好きだよ~! うりうり~! なでなで~! わしゃわしゃ~!」


「ふふ、また迷惑そうな顔だけど……やめてあげなーい!」


「やっぱり今日のモコくん、アイツみたいに見えることがあるんだよねえ」


「似てるか似てないかで言うと、ぜんぜん似てないし」


「いままでそんな風に思ったこと、なかったんだけど……」


「うーん……」


「練習とか、しちゃったからかな?」


「どうして不思議そうな顔をしているの? したじゃない」


「すき、って」


「そう、伝える、練習」


「……これから毎日、モコくんを見たらアイツのこと、思い出しちゃったらどうしよう」


(小さな声で)


「いやまあ……普段からけっこう思いだすというか、想ってるというか……」


(声が戻る)


「んんっ、なしなし、いまのなし、ごほんごほん」


「なので、ちょっとだけイタズラしてもいいかなって、そう思っちゃいました」


「好きな人には、ほんの少しだけ、イタズラをしたくなるでしょう?」


「……それ以上に、伝えたくもなるんだけどね」


「大好きだって」


「ずうっとずうっと、いっしょにいてほしいって」


「……もう眠っちゃったかな。ふふ、子供みたいでかわいい寝顔」


「もう聞こえてないかな。聞こえてないよね?」


「だったら……もういちどだけ、練習させてもらってもいいかな」


「ちいさな声で、起こさないようにするからね」


(ささやく声で)


「……好き」


「好きだよ。だーいすき」


「いっしょにいると、とっても安心するんだ」


「毎日こうして添い寝して、かわいい寝顔を見てから眠って」


「となりどうし、手をにぎって、あたたかいねって安心して」


「ぐっすり眠ったあとはね、おはようって笑いあうの」


「……そんなふうになりたいなって、いつもそう、想ってるよ」


「ずっと、ずーっといっしょにいようね」


「……おやすみ」


「おやすみなさい。また明日」


「明日になったらね」


「今日よりももっと、もーっと」


「大好きだって、伝えるからね」

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