2.彼女が甘やかしてくれるので、犬ライフを満喫しよう。

「よしよし、ごはんもきちんと食べれたね。えらいえらい、とってもえらい!」


「もうすっかり落ち着いたけど……朝はやっぱり眠たかったのかな?」


「ふふふ。今日はなんだかおねぼうさんの日だったんだね」


「いつもなら、ごはんのあとは朝のおさんぽに行くところなんだけど……」


「もうお昼前だし、外はとっても暑いから」


「おさんぽは夕方にして、おうちで私と遊びましょうか!」


「わわっ! そんな、飛びついてくるほど嬉しいの?」


「そんなに喜んでくれると、なんだか私も嬉しくなっちゃう!」


「なにをして遊ぼうか? まずは……お手! おかわり!」


「わあっ! よくできたね~! かしこいね~!」


「それじゃあ、おもちゃを持ってくるからね~! 待て、待てだよ~?」


(ごそごそごそ、とものをあさる音)


「いつものお気に入りなら……やっぱりこのボールかな!」


「むこうに投げるよ~? ほーら、とってこ~い!」


「わあっ! ナイスキャッチ!」


「じゃあ……わ、なにも言ってないのに、私の手元に戻してくれるの?」


「えらーい! とってもえらーい!」


「それじゃあもういっかい……それー!」


「よーしよーし、よくできたねー、えらいね~、えらいね~!」


(抱き上げられ、声が近くなる)


「こんなにもかわいいのに、こんなにもかしこいなんて!」


「んんー! かわいい、本当にかわいい!」


「ふかふかだねえ、かわいいねえ……」


「ほおずりしてもいいかな、いいよね?」


「んー! ふわふわで、あたたかくて、気持ちよくて!」


「一生すりすりできちゃう……すりすり……ふわふわ……」


「わっ、ほっぺを舐めないで!」


「嫌なんじゃなくて、くすぐったくて! あは、もう、それはだめだよ!」


「ちょ、ちょっと! ひゃうっ!」


「やめ、やめてっ、わたし、くすぐったがりなの!」


「は、鼻をかぷかぷしてるの!? やだ、なんだかそれ、ぞわぞわってするぅ」


「みみ、耳をはむはむしないでってばぁ!」


「おもちゃじゃないんだからぁ! ひゃう、ひうんっ!」


「ぺろぺろっ、してくれるのはっ、うれしいけどっ」


「だ、だめぇ、これいじょうは、ふふ、やだっ、もうっ!」


「……ふうっ! おしまい! おしまいだから!」


(地面に下ろされ、声がすこし遠くなる)


「はぁ……ふぅ……」


「もう……誰かと同じイタズラをするんだから」


「やめてって言ってるのに、くすぐったがりの私をつついたり、なでたりして」


「あんなふうになっちゃだめだよ?」


(小さな声で)


「まあ……いいところもたくさんあるんだけど……本当に嫌なことは絶対にしないし……」


「ん、ごめんごめん、なんでもない!」


「次はなにして遊ぼうか……って、んー、んん~?」


「ふわふわの毛なみが……汚れちゃってる……?」


「寝ぐせなのかな、それとも遊びすぎ?」


「そういえば、そろそろお風呂の日だったと思うし……」


「いっしょにお風呂、はいろっか!」

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